株式会社アド・ベスト

1979年から40年以上にわたり、広告代理店としての事業を展開し続けている株式会社アド・ベスト。年間約200社のクライアント、そして約500社の協力会社との取引を行う独立系総合マーケティングエージェンシーとして、業界内の地位を確立している同社だが、その事業の特徴は「ユニークな本質を捉えた戦略アイデア」を継続して提案し続けている点にあると言えるだろう。

その特徴の表れの一つと言えるのが、約25年前から同社のビジネスの軸となっているという「ライフステージマーケティング」という戦略である。一人の人間の一生においては、様々なライフイベントがあるが、そのステージの切り替わりに着目しながらマーケティングを行うというのが同社の手法なのである。その内容について、同社の取締役である安倍淳夫氏に話を聞いた。

「ライフステージの切り替わりのタイミングにおいては、選択する商品やサービスに関するブランドスイッチが起こります。その事実を踏まえ、中でも大きな行動の変化が起こる“妊娠期”と“子育て期”にフォーカスしたマーケティング支援を行うというのが、当社の事業コンセプトになっています。例えば、子供が生まれる前後のタイミングでは、住まい探しではデザインよりも広さを重視するようになる、自家用車はファミリータイプのものを選ぶ、食べ物はおいしさよりも安全性を優先する、流通に関しては通販の利用が多くなる。当社は、そうした変化を捉えた広告マーケティングで、クライアントの利益向上に貢献することを目指しているんです」（安倍氏）。

加えて近年はテレビや新聞、雑誌といった媒体でのプロモーションが中心だったがWeb広告へとシフトし、さらにはWeb媒体も細分化が進む等、メディアを選択する上での戦略も多様化している。その状況の中で、マスメディアに限定することなく、長年の実績や知見を駆使した適切なマーケティングの提案ができることが、同社の強みになっているということだ。

「消費者が検討するタイミングできちんと価値を提供することが、効率良く見込み客を獲得することができると、当社では考えています。また、この手法を取り入れるメリットの一つと言えるのが、多くの消費者が体験するライフステージの切り替わりは常に発生し続ける、つまりマーケットが生まれ続けること。その成功パターンを継続することができる部分にも、当社の強みがあると思っています」（安倍氏）。

一方で安倍氏は、少子化に伴う市場の縮小が進む日本国内の状況にも対応した、新たな戦略も実行していると語る。その戦略の一つが、外部企業との連携による海外マーケットへの進出である。実際に同社では、中国マーケットに対する日本商品の展開を支援する事業をスタートさせており、動画SNSを活用したファン獲得施策等の取り組みを推進しているということだ。

「現地資本の企業と提携することで、支社設立のリスクヘッジをしながら海外市場でのマーケティング支援を行う、というのが当社の取り組みです。その上で、動画SNSに企業公式アカウントを開設し、EC機能等も活用しながらクライアントの利益向上をお手伝いしているんです。クライアントとしては、日本国内にいながら、ECを活用した海外での売上増、そしてファン獲得が実現することが最大のメリットになりますので、今後はこの取り組みをさらに積極的に展開していく考えです」（安倍氏）。

あるSNSのアクティブユーザー数に関しては、日本国内で1,800万人のところが、中国では8億5,000万人となっているデータもあるという。その事実からも、海外マーケットには大きな可能性があること、そしてSNS等のITを活用したマーケティングには大きなチャンスが秘められていることが分かると、安倍氏は語っている。

「大きなマーケットに対し、生活者に“安全・安心”という高い価値を提供できる日本ブランドの商品やサービスを提供できることから、そのチャンスの大きさを実感しています。特に中小企業にはまだまだビジネス拡大の余地が残っていると思いますので、その活動はさらに進めていきたいと思っています」（安倍氏）。

その業務を担う上では、自身のコミュニケーション力を発揮することでクライアントと関係性を築き、広告マーケティングをツールにしながら世の中に価値を提供する面白さを感じることができると安倍氏は語る。そして、自身の思いを基に意欲的にプロジェクトを牽引することで、数字に表れる結果から大きな達成感を得ることもできるということだ。

「海外に関する事業を通して実感したのは、これからの取り組みにおいては“受け身”ではなく、主体性を持って自社を、そしてクライアントのビジネスを牽引していくことが大切だということ。その意味では、意欲次第で事業や成果を大きく伸ばすことができると思いますので、是非そのやりがいを感じていただきたいですね」（安倍氏）。

現在は17名の体制となっている同社では、営業職として9名のメンバーが在籍。新たに参画する人材はその少数精鋭体制の中の一員となるわけだが、安心して業務に取り組めるよう、入社後のフォロー体制も充実させていると安倍氏は語る。また、社内での情報共有も徹底しており、全体会議で新たな情報を全社に浸透させるための制度もあるという。

「その制度の一つが、月曜と木曜を8:00出社としている勤務時間の設定です。その目的は、クライアントの始業時間の前に全体会議でインプットを得た上で、すぐにアウトプットできるようにすること。社内で共有した情報を、即座にクライアントへの新たな提案に繋げるということができるのも、このスケジュール設定が大きく影響しているんです」（安倍氏）。

社内の雰囲気は、という問いに対して「真面目なメンバーが多い」と答えた安倍氏。それと同時に、誰とでも意見交換ができる「開かれた雰囲気がある」とも答えてくれた安倍氏は、その環境の中で積極的にアイデアを出しながら活躍してくれる人材を求めているとも語っている。

「これからの当社の事業にマッチするのは、既存の業務で結果を残すだけではなく、ご自身の経験や実績を新たな事業へと転化できる、いわば“0”から“1”を生み出せるような方だと思っています。言葉で言うほど簡単なことではありませんが、総合マーケティングエージェンシーとしての長い歴史、そして豊富な実績と知見がある当社の環境であれば、アイデアを生かす施策は必ず形にできるはずです。その特徴は他社にはない魅力になるはずですので、意欲のある方には是非チャレンジしてほしいと思っています」（安倍氏）。

最後に、転職者に向けたメッセージを安倍氏に送ってもらった。

「新たな価値をつくり上げながら、クライアントのビジネスに大きな利益をもたらす、そして社会的に意義のある取り組みを主体的にリードできる。そんな仕事を自分自身が楽しめる環境が、当社にはあると思っています。特に、妊娠期や子育て期にフォーカスしたライフステージマーケティングを展開する当社の事業は、消費者とクライアントを繋ぐタッチポイントが多く存在しますので、様々な取り組みによって幅広い知見を得ることもできるはずです。多様な仕事で視野を広げながら、自社とクライアントの利益に貢献するだけではなく、ご自身の成長も実現していただきたいですね」（安倍氏）。