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インタビュー画像代表取締役社長 CEO 西村 邦裕氏 左から2番目 取締役 CTO 青木 貴司氏 右から2番目 西村氏:2001年、東京大学工学部機械情報工学科卒業。2006年同大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程修了。博士(工学)。同大学の研究員・助教を経て、2011年に株式会社テンクーを創業、代表取締役社長に就任。 青木氏:2006年、東京大学工学部機械情報工学科卒業。2008年同大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻修士課程修了。2011年にテンクーを共同創業、取締役に就任。

西村様と青木様が貴社を立ち上げた経緯を教えてください。

西村氏:私と青木は同じ大学の研究室で共通の研究プロジェクトに入っていました。私が博士課程3年の時に青木が学部4年、私が助教の時に青木が修士、という関係です。お互いの興味や考え方が似ていて、「会社を作りたい」という思いも共通していました。アカデミックインパクトだけではなくて、ソーシャルインパクトも狙いたいと思っています。当社の設立は2011年4月ですが、さかのぼって2008年頃には二人でいろいろ話をして『テンクー』という社名を考え出し、「xcoo.jp」というドメインも会社設立に先行して取得しています。 青木氏:私は、大学というアカデミックでの研究に限界を感じていました。特に情報系の研究は、今で言えばGAFAのような企業に先行されることが多く、社会的なインパクトを与える研究を大学の中だけから発信することが、一部を除いて難しくなっていると感じています。社会への貢献を考えるなら、アカデミックの研究で論文を書いて、作ったソフトウェアを10~100人に使ってもらうよりも、実際に社会に出て多くの方に使ってもらった方がいい。そういう点で西村と考えが一致したので、当社の設立にジョインしました。

設立後12年間で、成長にドライブがかかったタイミングはありますか。またどのような仕事にやりがいを感じますか。

西村氏:当社にとって、2017年2月は大きな転換点だったと思います。それ以前は、過去に蓄積されたデータや研究で取得したデータを基にゲノム解析を行っていました。過去のデータからの解析結果をもとに社会にインパクトを持たせることは難しいです。しかし2017年2月からは、ゲノム医療研究として、実際のがん患者さんの臨床データを解析できるようになりました。その結果を基に、患者さんにどのように情報提供を行い、サポートしていくかという社会的意義が高まっています。 青木氏:もっとも、私個人はやりがいを感じたくてこの仕事をしているわけではなく、「やらなければならない、だからやっている」と捉えています。私は家族をはじめ様々な社会的な支援の中で好きなこと勉強させてもらい、コンピュータサイエンスを中心としたさまざまな知識や技術を得ました。現在も、周りの方々に支えられながら、日々勉強させていただいています。私は、そのような中で身に付けた技術や知識をもって、社会に少しでも貢献することに使命感を感じています。当社の「Chrovis」の提供を通じて、より多くの患者さんに正しいゲノムの情報を届けていきたいと考えています。

Clojureというプログラミング言語を選んだ理由を教えてください。

青木氏:ゲノムのシークエンスデータは数TBオーダーの膨大な量になります。そのためには高速かつ容易にスケールアウトできる形で、配列情報の解析ができることが必要です。リスト構造の処理を得意とするプログラミング言語は、Lispです。ClojureはLispの1つであり、JVM(Java Virtual Machine)の上で動くのですが、Javaの安定した環境の中で、高速な並列処理を、Lispの抽象度の高い強力な表現で実装できることが特徴です。当社の「Chrovis」は、ゲノム解析という特性上、高度なアルゴリズムを実装しなければならず、それなりに規模が大きいシステムなのですが、Clojureを採用したおかげで、現在の20数名という人数でもメンテナンスができています。C言語であれば1,000行以上を必要とする実装を、Clojureは50行程度で実装することも、場合によっては可能です。もちろんチューニングしたC言語の実装の方が実行速度は圧倒的に上ですが、プラクティカルにはそれほど大差はありません。加えてメンテナビリティという観点からも、Clojureの採用したことは、Chrovisの開発において正しい選択だったと考えています。 西村氏:メインのプログラミング言語としてClojureを採用している会社は、恐らく日本に10~20社程度と思います。

貴社のエンジニアには、どのようなパフォーマンスを求めていますか。

青木氏:誰にでも「興味が持てるもの/あまり興味の持てないもの」「得意分野/不得意分野」があるはずです。エンジニアの皆さんには、「興味が持てるもの」または「得意分野」を伸ばしていくことで、高いパフォーマンスが発揮できるように業務をお願いしています。また、エンジニアの皆さんには、極力、外部からのノイズをシャットアウトできるように、ミーティング数を最小限とし、コーディングやアルゴリズムを考えることに集中してもらえるように社内環境を整えています。そのような環境の中、会社へ最大限に貢献していただければ良いなと考えています。「興味が持てないもの」や「不得意分野」でいくら頑張っても、本人も会社も不幸になるだけですから。 西村氏:社内には「Analysis」「Database」「Report」「Infrastructure」、そして「Chrovis」を使う「Operation」と五つのエンジニア関連のチームがあります。一人ひとりのアウトプットは相互のピアレビュー等を通してチームで品質を担保しています。また、「デザイン」チームと連携して、UX/UIを一緒に考えて実装していくこともあります。個々人の力を合わせて会社の総合力を高めていってほしいですね。

最後に、求職者の方々にメッセージをお願いします。

西村氏:当社が向き合う社会課題は解決が簡単な課題ではないため、エンジニアの方にとって相当の技術力や思考力が要求されるでしょう。がん等の病気は、現状、全てデジタルな情報に置き換えられるわけではありません。例えば肺がんに限っても、ゲノムのパターンをはじめ病気の状態は千差万別です。医学や生物学の複雑に入り組んだ課題を、情報技術を使いながらどのように解決に導くか、挑戦し甲斐があると思います。その高いハードルを乗り越えた先には、エンジニアとしてのスキルを大幅に上げられると思いますので、是非トライしていただければと思います。 青木氏:社内には優秀なエンジニアが沢山集まっています。もっとも、誰もが医療や生物学に詳しく、また、初めからClojureを使いこなせたわけではありません。勉強会やチームの仲間からのアドバイスで、いくらでもキャッチアップできる環境ですので安心してください。また、当社はまだ小さな会社ですから、チャレンジしたい人は大きな裁量を持って仕事ができます。技術を極めたい方には、最適な環境だと考えています。

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