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京都電子計算株式会社

  • IT/Web・通信・インターネット系

自治体と大学に特化。安定した経営基盤の下で事業転換を目指す老舗IT企業

自社サービス製品あり
シェアトップクラス
残業少なめ

企業について

京都電子計算株式会社は、約60年の歴史を持つIT企業だ。1964年、京都で最初の情報処理サービス企業として設立。当初は民間企業をはじめとする地元顧客向けに総合的な情報処理サービスを提供していたが、時代が下ると共に自社で情報システム部門を抱えてIT化を推進する企業が増えたため、公共分野と文教分野に軸足を置いた事業展開へとシフトし、現在(2023年1月)に至っている。

現在の主力事業は、全国の地方自治体や私立大学に向けたパッケージ製品の開発と導入だ。公共分野では、地方自治体の基幹業務(税金の計算、住民情報の管理、社会保険等)を支援するシステムを自社開発し、大手メーカーのブランド名で提供するほか、全国の自治体が集まる連合会を通して販売している。同社が開発する自治体向けパッケージの導入自治体の数は、現時点で約300団体に上る。

一方、大学向けに関しては、別な大手メーカーの文教分野向けパッケージ開発に参画、ユーザーへの導入や保守サポートを担当する一方、自社ブランドのクラウドサービスも展開している。代表的なシステムが、大学入試のインターネット出願システム『Post@net』(ポスタネット)だ。

同サービスは、ピーク時には受験者数200万人に上ったこともある検定試験の出願データを処理するWebシステムのノウハウを元に開発されたものだ。検定試験と異なり、大学受験では複雑な条件が求められる等の事情もあり、2000年代前半のリリース時は、なかなか受け入れられなかったが、2010年代半ば、ある大手私立大学がインターネット出願に切り替える方針を打ち出したことで状況が好転。約5年間で導入数は一気に増え、業界トップクラスの約200校を数えるまでになっている。

この他、京都府および滋賀県の顧客に関しては、地元の利を生かしたビジネスも展開している。顧客ごとの要望に合わせてシステムを構築する受託開発から、サーバーやネットワーク等のインフラ構築およびパソコンをはじめとするハードウェアの販売。さらに顧客の情報システム部門に対する技術支援やデータ入力サービス等、手厚い情報サービスを提供している。

以上、地方自治体と大学のマーケットに特化したビジネスを展開し、それぞれの領域で確固とした実績を残してきた同社。そのような同社も、社会情勢が劇的に変化する昨今、事業内容、企業文化の両面で変貌を遂げようとしている。安定した事業基盤を背景にビジョンの達成を目指す。

2010年代半ば、同社が中期経営計画で掲げたビジョンは、“ものづくりからサービス業への転換”である。常務取締役 執行役員 経営推進担当・北川勝彦氏が語る。

「当社は、元々ソフトウェアを開発して顧客に納品する、どちらかと言えば製造業に近い会社でした。しかし現在は“サブスクの時代”と言われるように、サービスへの対価を売上とする時代に変わっています。作った物を売って収益を得るという発想ではなく、いかにサービスをマネタイズしていくかという発想が必要です」(北川氏)。

この経営計画に基づいて2017年に立ち上げ、試行してきたのが『Cloud PARK』というプラットフォームビジネスだ。『Cloud PARK』は、簡単に言えば、アプリケーションのビジネスモールだ。様々なベンダーが開発する各種アプリケーションをシームレスに利用できる環境を構築してユーザーに提供するサービスである。

「例えば一つの自治体で、税金の計算はA社のシステムを使い、戸籍の管理はB社のシステムを使っている場合。個別に契約して導入・保守を受け、運用上トラブルが発生した場合も、個別に対応してもらう必要があります。それは不便な状態なので、ベンダー同士が手を組んでお互いの製品を販売し合える土俵を作ろうというのが趣旨です。また医療機関や民間企業等を得意とするベンダーの参画も歓迎です。従来の系列にとらわれず、一緒にやっていきましょうというのがコンセプトです」(北川氏)。

少子高齢化が進行し、労働人口の減少に歯止めがかからない中で、民間企業のみならず、自治体や大学でも様々な課題を抱えている。そういった課題に対し、AI技術をはじめとするテクノロジーで解決しようとする動きが活発化しているが、様々なベンダーが大規模な予算をかけて開発する時代は終焉を迎えている。そこで各ベンダーが開発しているアプリケーションを集めてシェアすることで、社会課題に対応することが同社の狙いだ。

将来的には『Cloud PARK』事業で売上の核を作るべく、計画を立てている同社。しかし、計画を着実に推進する傍ら、各業界でDXの波が起きたこの数年間で、新たな課題も生まれている。デジタル庁が2025年の実現を目指す、自治体情報システム標準化への対応である。これまで自治体向けのシステムを開発してきた企業の中には、これを機に撤退する動きが見られることもあり、同社にとっては一つのビジネスチャンスでもある。2025年に向け、従来以上に自治体向けシステムの開発部隊を拡充して対応していく計画である。

「もちろん『Cloud PARK』も止められません。企画部隊を新設し、アライアンスパートナーを探しながら、その先の展開を模索しています」(北川氏)。

以上、中長期的なビジョンや短期的な課題に取り組む上で問題となっているのが、全社的なリソース不足である。開発、インフラ、企画営業等、ありとあらゆる職種を対象に、積極的な採用活動を行っているところである。

“ものづくりからサービス業への転換”という中長期的なビジョンを実現するため、同社は企業文化の刷新にも着手し始めている。元々は地域に密着したサービスや、経営基盤の安定性を背景にしたアットホームな雰囲気が魅力の会社だが、時代の変化に合わせ、新しいことに積極的にチャレンジする社風の醸成を図ってきた。

2022年5月のオフィス移転も、その取り組みの一例である。1978年から長年入居して手狭となった賃借ビルから、交通至便な京都駅前の新築ビルへと移転。開放感溢れるオフィスデザインにフリーアドレスの執務スペース、カフェを備えたオープンスペースやミーティングルーム等、約60年の歴史を持つシステム開発会社のイメージとは違い、成長著しいベンチャー企業のような構えだ。

また、コロナ禍が日本を襲う前の2019年秋からテレワークを試行し始め、コロナ禍に入り本格的に導入してきた。現在は全社員の半分、開発部門においては、約8割がリモートで勤務している。その反面、孤立感を抱いたり、帰属意識が失われたりしないよう、若手社員には育成担当者を当てて、仕事を進める上での課題や悩みをフォローするようにしている。さらに、出社する際の服装はドレスコードフリーにする等、働きやすさを優先したルールを採用している。

「経営陣の旗振りだけで企業文化を変えることはできませんので、働く環境や社内制度、事業方針等、外堀から変えようとしているところです。昨年は人事制度を見直し、年功序列を廃止しました。現在は純粋に能力と成果を評価する制度に切り替えています。厳しい会社になった代わりに、能力が上がれば給与も上がる仕組みです」(北川氏)。

以上の通り、大きく変貌を遂げようとしている同社だが、人間関係の良さはこれまで通りだ。それを含めた就労環境の良さが、同社の大きな魅力だ。

「転職はチャンスでもあり、リスクでもあります。当社に入社することで、リスクを減らし、チャンスを増やしていただければ嬉しいです。年収だけを見たら、上には上があります。しかしそれをリスクだと思うと、転職はつらいだけです。そうならないためには、“この仕事こそがしたいのだ”という、転職動機をしっかり見つけてからご来社いただきたいと思います。そのためにも、当社の良いところをしっかり見てもらえるよう、我々も頑張ってアピールしていきたいと考えています」(北川氏)。

同社が中途採用で求めるのは、イノベーティブな人材である。自分自身が力を発揮して、会社を引っ張っていくことに喜びを感じるような人材に期待を寄せる。

募集している求人

エンジニア・技術職(システム/ネットワーク)の求人(5件)

インタビュー

京都電子計算株式会社のインタビュー写真
常務取締役 執行役員 経営推進担当・北川 勝彦氏 1964年生まれ。1986年、大学卒業後に新卒で航空測量会社に営業として就職。コンピュータへの関心が強まり、2年目に退職。短期講習と独学で基礎的な知識を身に付け、1987年、京都電子計算株式会社にシステムエンジニアとして入社。大学向けシステムのソフトウェア技術者としてキャリアを積みながら営業職も経験。その後はネットワーク技術者のキャリアを積み、総務人事を経て、現在はコーポレート担当役員を務める。

── 北川常務ご自身もご転職の経験がおありですね。経緯をお話しいただけますか。

初めてコンピュータに関心を持ったのは大学時代です。大学時代、私は地理学を専攻していました。地理は、高校の社会科ではあまり人気のない科目ですが、大学で専門的にやると非常に数学的な要素や理学的な要素が必要になってくる学問です。演習で多変量解析が必要となり、手計算では限界があったので、友達が持っていたポケットコンピュータを借りて計算していました。今後は、電卓以上の機能を持った電子計算機が必要になってくるということを学生時代から感じました。

学部卒業後は、航空測量会社に営業職で入社しました。測量や地図に関わる仕事がしたくて応募しましたが、一番入りやすかった... 続きを読む

企業情報

会社名

京都電子計算株式会社

業界

IT/Web・通信・インターネット系 > ソフトウェア/パッケージベンダ

IT/Web・通信・インターネット系 > システムインテグレータ・ソフトハウス

IT/Web・通信・インターネット系 > インターネット/Webサービス・ASP

企業の特徴
自社サービス製品あり、シェアトップクラス、残業少なめ
資本金

5,000万円

売上(3年分)

202236,441百万円

202137,111百万円

202036,085百万円

設立年月

1964年10月

代表者氏名

代表取締役社長 森口 健吾

事業内容

システム開発
パッケージソフトの開発
システム・インテグレーション(SI)サービス
アウトソーシングサービス
データ処理サービス
クライアント/サーバー型システムの開発
通信システムの開発
インターネット環境構築
イントラネット環境構築
ネットワーク構築・管理
セキュリティシステム
システム機器販売
パソコン、関連機器、サプライ品販売
ユースウェア

株式公開(証券取引所)

従業員数

330人

本社住所

京都市下京区木津屋橋通新町西入東塩小路町601 NUPビルディング京都駅前

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