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インタビュー画像執行役員 統括マネージャー・山北 崇由氏 1982年生まれ。大学卒業後、塾講師を経て、2007年4月、アルバイトで株式会社ネットアーツに入社。WebデザイナーとしてWebサイトの受託制作に従事。2010年4月、Webディレクターとして正社員登用。2013年4月、第2制作部長に就任。2015年、グループ会社が運営する、放課後等デイサービスに向けた施設運営システム『HUG』を開発。2016年4月、HUG事業部立ち上げに伴い事業部長に就任。『HUG』の開発・営業・ユーザーサポート全般を推進。2020年4月より現職。

児童福祉の領域に特化した事業を始めて、社内に変化はありましたか。

事業がスタートして、当社は大きく変わりました。以前は、売上ノルマがあり、それを追いかけているばかりでした。今では掲げている経営理念の“創造無限 人への念いが創造の源になる”を元に人にどれだけのことをしてあげられるかを考えながら仕事をし、「全ての人が共に輝ける社会を創る」事を目指して様々な取り組みを行っています。 新規事業への挑戦に対する反発もありました。実際、当時は何名か社員も退職しています。私自身も迷いましたが、逆にチャンスかもしれないと思いました。元々“売上目標何%達成”という話には、あまり馴染めませんでした。Web制作の受託会社にWebディレクターとして転職しても、結局やることは一緒かなと思いましたので、前向きにトライしてみようと決めました。 それ以降は、事業内容に共感してご入社される方が増えて、退職者は激減しました。現在は皆さん、使命感を持って働いてくださっています。HUG事業部が立ち上がって7年経ち、たくさんのお客様にも感謝され、新しい取り組みにも挑戦していきたいと思っています。

HUG事業の立ち上げはスムーズにいきましたか。

最初は苦労しました。これまでは制作だけをやっていたのですが、事業全般に関わらなければいけません。 新規事業ということでネームバリューもありません。お客様に製品の紹介をしてもあまり良い反応ももらえませんでした。東京で会場を借りてセミナーを開催しても一人しか来ないこともありました。導入件数が増えると今度は、お客様からの使い方や福祉への質問の電話がたくさんあって、対応に苦慮した時期もありましたね。 大変すぎて何で苦労していたのか、あまり記憶にないぐらいですが、福祉の知識が全くなかったことが根本的な要因でした。わからない事は調べたり、グループ会社でも放課後等デイサービス『ココトモ』を運営していましたので、そちらへの確認を取ったり、沢山のお客様に教えていただいて、頭にたたき込んでいきました。そうしながら、次々と出てくる課題をいかに仕組みに落としていくか試行錯誤しながら取り組みました。 課題を解決すると、最後には「ありがとう」とお客様からお礼を言われる事が励みに取り組んでいました。 現在は、施設運用のことまでご相談いただけるようになっています。セミナーを開催すれば50名、60名ぐらいは安定してお集まりいただけますし、多い時は300名ぐらいの方にご参加いただいています。

コロナ禍で事業への影響はありませんでしたか。

コロナ禍は、事業が成長するきっかけになりました。3年間で売上は倍増しました。 伸びた理由はいくつかあります。まず、テレワークが急増して業務そのものをICT化したい、というニーズが増えました。 また、子ども達も通所できなくなり、事業者にもオンラインによる療育が求められるようになったことも影響しました。「そもそもどう運営しているのか」といったご相談が沢山寄せられました。関係会社が運営する『ココトモ』でも、試行錯誤しながら対応していましたので、そこで得たノウハウをできる限り共有しました。また、報酬請求の制度変更にも対応しました。オンラインでの療育に対応するため行政が緊急措置を取りましたが、混乱していたこともあり、提出する書類が増える等、非常に複雑な制度になってしまったのです。そこで、全国の事業者から何とかしてほしいというご要望を頂き、当社も緊急対応で機能を改修しました。他に対応できた開発会社がありませんでしたので、大変感謝していただきました。このようなことから新規需要だけではなく、乗り換え需要が一気に増えました。 現在、保護者向けマイページのアプリ化や、相談支援事業に対応した機能の正式リリース等を控えていますので、今後ますます導入数が増える見込みです。

就労継続支援B型『ココトモワークス』は、ネットアーツ社として取り組まれるのですか。

はい。当社は2019年6月から、名古屋市内で就労移行支援事業所『ココトモカレッジ』を運営してきました。その中で、様々な課題があることに気が付きました。一口に障がいといっても、得意な事は一人ひとり違います。安定して働ける方は、正社員として働けるのが一番良いと思うのですが、難しい方もいらっしゃいます。そういった方々の居場所を創るための取り組みをしているところです。 そのために、ICTのシステムも活用しながら、試行錯誤を続けて良いモデルを作っていこうとしています。現場で起こることを、我々自身が知らないければ本当の意味で使えるシステムはできないと思っています。『HUG』を立ち上げた時と同様、自社で事業所を立ち上げ、現場を見ながら仕組みを作り、将来的には全国の事業者様にも役に立つような形で提供できればと考えています。

『ココトモファーム』の構想をお話しください。

『ココトモファーム』は、農福連携×6次産業に取り組む会社です。愛知県犬山市で、約2,000坪の田んぼでお米の生産をしています。そのお米を自家製粉し、バウムクーヘンに加工して販売しています。 元々は『ココトモ』が放課後等デイサービスを運営しながら、子ども達が将来自立した生活を送るための受け皿が必要だと考え、農福連携型の放課後等デイサービスを立ち上げたことが始まりでした。なぜ、農福連携かというと、障害を持ったお子さんが増える一方、農業の担い手は急激に減っているという背景があります。国も一生懸命推進してはいますが、実際にやってみると、農機具は高いし、収益性が低く、人手がかかります。そもそも障害があるお子さんの保護者も、自身が死んだ後のことは心配していても、子どもに農家になってほしいとは思っていません。そこで、農業と福祉の間に商業と工業を入れて、“農商工福の連携”という形にすることで、様々な仕事が生まれ、様々な特性を持った方の居場所を創ろうと考えました。 私達は、障害を“劣っているのではなく、違っているだけ”だと考えています。あくまで個性なので、向いている仕事と向いていない仕事があります。それは障害のあるなしに関わりません。『ココトモファーム』には、事業に賛同した健常者の方々も沢山就労していただいています。 1次産業(農業)と2次産業(工業)、3次産業(商業)を混ぜて6次産業化することで、そこに仕事が沢山生まれます。その中で多くの方々が働ける場所を見つけて、働きがいや居場所を作る取り組みにしていきたいと考えています。 当社は、そのような取り組みをICTで間接支援する役割を担っています。現場で起こる様々な問題や課題をITの力でどう解決していくのかを考えながら取り組んでいきたいと考えています。

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