起業の経緯を教えてください。
総合商社にいた時、トルコでクーデター未遂事件に遭遇したのです。2016年のことでした。命の危険を感じるようなことはありませんでしたが、死生観は変わりましたね。「人生は1回だし、やりたいことをやろう」と、一層強く思うようになりました。それが起業のきっかけです。 自分でビジネスをやるからには、10億人を相手にできるビジネスをしたい。そこまで多くの人が対象となると、水や空気のような当たり前のものを扱う必要がある――そう思った時、バックパッカーで海外を回っていた時のことが思い出されました。「体験」が切り口になるのではないか、と。ある人にとっては当たり前でも、他の人にとっては価値のある体験をシェアできれば、ビジネスになると考えました。 私が起業を考えたタイミングはVR元年で、360度動画を簡単に撮影できて共有できる製品が発売された時でした。その製品を試した時に鳥肌が立ち、VRで世界を変えられると思ったのが、今のビジネスに繋がっています。
その後川崎さんと出会い、イマクリエイトを設立することになったのですか?
最初は体験シェアリングという社名で、私一人で仕事をしていた時、開発は海外のオフショアに依頼していました。私は、技術的なスキルを持っていませんでしたから。しかしビジネスは上手くいかず、修正したいことが発生してもスピーディーな対応ができない等、思うような対応ができなかったのです。やはり、開発は内製化しないと駄目だというのが、この時得た教訓の一つでした。 その後、縁あってXRで有名なVCのアクセラレータープログラムに参加することになり、そこで同期だった川崎と会社を合併して、当社がスタートしました。川崎は電気通信事業会社の研究所に9年在籍、『けん玉できた!VR』を開発した技術者ですが、営業経験はありません。私はその逆で、二人であればお互いのない部分を補い合えると思ったのです。彼もそう感じてくれたのか、合併は5秒で決まりました。
社員への思いや期待することを教えてください。
当社のメンバーは、XRやそれに関わる技術が好きで勝手に触っているような人達ばかりです。そこは、これからも無くさないでほしいと思っています。ずっとワクワクしながらXR系に関わっていてもらいたいです。 XR領域は、これからどう発展していくか分かりません。正解のない世界です。そのような中、多くの人を相手にできるビジネスをつくり、広めていくには「好きだからやる」という純粋な気持ちがとても大切だと思います。 その上で期待することを挙げるとすると……質・スピード・再現性を意識して、仕事をしてもらいたいということでしょうか。当社との協働、お客様としてお付き合いしている会社は大企業であり、常に高いパフォーマンスを求められるからです。あとは、小さなことでも約束したことはきちんと守ることです。目の前の小さな約束事をきちんと守れなければ、大きなことはできないと思うからです。
山本さんの仕事観を教えてください。
淡々と高いパフォーマンスを出し続けることです。昔は、センスが仕事の良しあしを決めると思っていたのですが、今はアスリートのように、日々着実に改善を積み重ねていくことが大切なのだと思うようになりました。 イチローさんもそうだと思います。今日、駄目なことがあったら何を改善すべきか考え、練習を重ねる。それを何年も繰り返した結果が、あの偉大な記録を生み出しているはずだからです。とても地道な努力ですが、それが一番大きなインパクトを出す方法だと考えています。 だから、私は当たり前のことを当たり前のように実行するよう心掛けています。例えば、届いたメールには1時間内に返信する。遅くともその日中には返すようにしています。その上で、相手の期待値を超えることを意識していますね。
最後に、応募者へのメッセージをお願いします。
当社は以前、家族的な雰囲気の会社でしたが、今はスポーツチームのような色合いが濃くなってきています。サッカーで例えるなら、ボールがきたらシュートを打てるチームといえばいいでしょうか。シュートを打たなければ、相手は脅威を感じてくれません。それに、常にシュートを打つためにいかにボールをもらうか、受けたボールをいかにゴールへたたき込むかを考え、自分を磨き続けることは、メンバー自身にとってもプラスになると感じています。 もちろん、メンバー同士がシュートを狙い合って社内がギスギスしているようなことはありません。それぞれが自分の好きな領域で自らのスキルを主体的に高めていて、必要な時に力を合わせる。それができるチームになってきているな、と。 こんなメンバー達と一緒に、XRが日常に溶け込み、誰もが何でも体験できる世界をつくりませんか。