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インタビュー画像代表取締役社長 清水 清人氏 歯科クリニックを運営しながら、歯科クリニック向けのカタログ通販という新しいビジネスを創造。今も常に最前線に立って働く、クリエイティブかつアクティブな社長で、アイデアを生かした新規事業を次々に立ち上げ、会社を成長させてきた。歯髄再生やデジタル歯科技工等、医療の最新技術にもチャレンジ。石川県から全国の医療を進化させる。非常に独創的なアイデアが魅力の経営者で、今後の動きに注目。

歯愛メディカルを立ち上げた経緯は?

私は歯科医です、生まれ育った石川県白山市で歯科クリニックを経営していました。歯の治療だけでなく、日々のメンテナンスの必要性を広めるための活動もしていました。ある時、患者が普段使っている歯ブラシを見せてもらったところ、毛先の広がった歯ブラシを使っている人が大勢いました。当時、歯科医院で販売していた歯ブラシは、300円~400円。歯科医院専用の口腔ケア製品を、普段使いできる価格で提供できれば、歯の寿命を長くすることができると思っていました。 そんな折、歯科研修会で東京へ出張した際に、通りかかった浅草橋の問屋街で、子供に治療のご褒美であげていたおもちゃが、地元ディーラーの仕入れ値の5分の1で売られているのを発見。研修仲間の歯科医と共同購入して全国に発送する「まとめ役」を買って出たのが、当社の源流です。当時、宅配便の代金引換が始まったばかりで、代金引換宅配便で全国の歯科医院向けに、大量購入で安く仕入れた口腔ケア製品をカタログ販売するビジネスを始めました。

事業の立ち上げから現在までどんな苦労がありましたか?

最初の社屋は、私が経営していた歯科クリニックのスタッフルーム。細々としたスタートでした。事業を始めるに当たって「無借金」を妻に約束していました。現在のようにインターネットが発達していなかったため、Eメールもありません。郵便でDMを送るにも費用が十分ではなく、まず新規顧客の開拓に苦労しました。 歯科業界向けのフリーペーパーに広告を掲載したのが、最初のターニングポイントでした。広告を掲載するたびに全国から注文が入り、当社の業績は順調に伸びました。ところが、突然発行元から掲載打ち切りを打診されました。編集部に多くの反響が寄せられたことで、その会社が独自に通販事業を始めるとのことでした。当社がフリーペーパー制作を事業にしている背景には、この掲載打ち切りが大きく影響しています。 商品の調達でも苦労しました。歯科業界は、口腔ケア製品や歯科材料をメーカー、一次問屋、二次問屋、そしてディーラーの営業によるルートセールスという商流が確立しており、通販会社である当社には商品を卸してくれませんでした。

事業を成長させるために大切にしていることは?

ユーザー目線の徹底を挙げたいと思います。当社にとってのユーザーは、歯科クリニックと消費者です。歯科クリニック向けには、良い商品を安く提供することにこだわってきました。そのためには、他社に共同でDMを送ることを提案してコスト削減をしたり、クリニックで使う紙コップに広告を印刷することで収益を稼いだり、商品を安く提供する努力を続けてきました。 一般消費者向けには、自社開発製品のクオリティーにこだわりました。例えば、歯ブラシ。歯科医である私と歯科衛生士でチームを組んで、企画開発ミーティングを重ねて設計し、製品化にこぎ着けました。価格も1本30円に抑えることに成功しました。あまりに低価格だったため、最初は「使い捨て歯ブラシ」と疑われました。グッドデザイン賞を何度も受賞し、新規利用者やリピーターが順調に増え、今や歯科業界No.1の販売数を誇る歯ブラシとなりました。 2017年に上場するまで、私は歯科クリニックを運営しながら当社の経営をしていました。だから、歯科業界の現状や患者の声を肌感覚で知ることができ、ユーザー目線の徹底に繋げることができたと考えています。歯科医師として活動しながら会社を成長させるのは苦労しましたが、そのおかげで今の当社があると思います。

歯科医と経営者の二足のわらじは大変でしたか?

歯科医との二足のわらじだったため、いろいろ大変でした。県外に商談に行くにも、診療が終わってから。海外出張へ行く際は、朝の飛行機に乗るため、ワンボックスカーに布団を積んで、空港の近くで仮眠をとったこともあります。楽しかったので苦に感じたことはないですが、今にして思えばよくやっていたなと思います。 会社経営をする中で、いろいろ失敗をして悩むことも多々ありました。「社長とは、どうあるべきか」を模索し、稲盛和夫さんの著書「生き方」を読んで「利他」の精神にたどり着きました。稲盛さんの経営哲学に触れ、「会社は社員が幸せに生きるための基盤。社員が安心して将来を託せる会社にするのが社長の仕事」だと気付きました。 2012年に稲盛さんが主催する「盛和塾」に入り、経営の神髄を学びました。社員同士で意見を出し合う機会を設け、会社の在り方を突き詰めて考えました。そして、その集大成として社員達と「Ciフィロソフィー」を作り上げました。毎朝の朝礼で「Ciフィロソフィー」を社員みんなで読んで、互いに意識を高め合って同じベクトルを向いて歩めるようにしています。

どんな人材と働きたいと考えていますか?

アクティブな人がいいですね。何事にも積極的に取り組む人材と働きたいです。「困難は解決を連れてくる」という言葉が好きです。困難に直面すれば大変ですけど、努力を惜しまなければ「解決」に至ります。達成感を得られますし、何よりも困難を乗り越えることで成長できます。 知恵を使わないと利益は出ません。社員にいつも言っています。私自身、考えるのが大好きです。当社のビジネスはどれも知恵をひねって作り上げたものばかり。社員にはその過程を楽しんでほしいと願っています。私にとって、当社の仕事は趣味の延長かもしれません。 歯科大学に進学しましたが、高校は文系を卒業しました。将来は弁護士になりたいと思っていました。歯科大学に入ってからも、経済新聞を読んでいました。そういう意味では、ビジネスに興味があったのだと思います。歯科医になったのも「稼げる」と聞いたから。私は社会貢献を表にアピールをするのは嫌いです。仕事を頑張って収益を上げ、税金を納める。これが最大の社会貢献だと考えています。

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