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インタビュー画像田邊 学司 代表取締役 20年間、博報堂でマーケティングの最前線にいた経営者。ニューヨークにてニューロ・マーケティングシステムの会社であるバイオロジー社の創設社外取締役を務めた後、2013年株式会社GFLを設立。 ウインドサーフィンや釣り、日曜大工、プラモデル製作と多くの趣味をもつ。最近は家庭菜園で栽培した食材で料理を作るのに凝っている。ベーコン作りも10年のキャリア。フランス人とブルースバンドも組んでいるとか。

博報堂でのキャリアは?

博報堂では、マーケティング局に所属し、プランナー、コンサルタントとして、定量・定性の消費者調査や企画立案などを担当していました。その後、会社派遣でカナダのウェスタンオンタリオ大学にてMBAを取得。帰国後はブランド戦略を扱う仕事に就き、ブランドのシンボルマークや会社のビジョンの策定に携わっていました。当時はおもしろい体験をたくさんさせてもらいました。 コンセプトワークをする中で、企業のブランドコンセプトをユーザーに伝えるには、触り心地や匂い、音など五感に訴えかけることが重要だという考えに至り、「五感ブランディング」という本を先輩や仲間と共著で執筆しました。さらに「五感に訴えかける」というのを突き詰めた結果、脳科学にたどり着き、脳神経科学を活用した「ニューロ・マーケティング」の会社の立ち上げにも携わり、社外取締役としてニューヨークに通ったりもしました。

株式会社GFLの設立経緯は?

ニューロ・マーケティングの会社では、ヘッドキャップを使って脳波や脳血流を測定し、マーケティングが脳に与える影響を研究していました。研究の一環でプライミング効果やIAT(潜在連合テスト)を使った調査も手掛け、早押しクイズ形式のアンケートの効果なども研究していました。 それらの研究を通して、アンケートのゲーミフィケーションのアイデアを思いつき、事業化しようと考えました。事業リスクも高く、自分を逃げ場のないところまで追い込んでやらなければ成就しない気がしたのと、勤続20年という節目であったのも手伝い、独立することを決意しました。 独立の直前、高校時代の友人に久しぶりに再会し、アンケートのゲーミフィケーションで人間の本音を引き出してデータベース化するという話をしたところ、その友人がシステム会社の経営に携わっていることがわかり、一緒に会社を立ち上げることになりました。

GFLでどんなことを成し遂げたいですか?

『不動産AIセールストーク』によって、駆け出しの営業マンや言葉が不得手な不動産の営業担当者に、デキる営業マンとして活躍してもらいたいです。 不動産営業の世界では、口の上手い人間が成果を出すということがよくあります。人当たりが良くて実直な性格だけど、言葉は巧みに操れない。そんな人が『不動産AIセールストーク』で言葉を上手に操る技術を手に入れれば、不動産営業の世界が一変する。真面目な性格の営業マンがAIによって上手に営業できるようになれば、顧客にとっても有益なことだと思います。 博報堂で在籍している際に「生活者発想」の考え方を学びましたが、今私は「従業員発想」に関心があります。『不動産AIセールストーク』というサービスで、営業マン一人ひとりがプライドを持ち、顧客に最適な提案をできるようになれば消費者利益にも直結しますし、社会をより良いものに変えていくことができると信じています。

GFLが大切にしている文化・価値観は?

外国語大学の出身ということもあって「コスモポリタニズム」を大切にしています。人種・性別・年齢・嗜好を超えて尊重しあうこと。いろんな人間が分け隔てなくフラットな視点でコミュニケーションがとれる会社にしたいと思っています。国籍やジェンダーで差別的な考えを持つ人とは一緒に働けないです。アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)は誰でも持っているものですが、偏見を堂々と口にするのは絶対にダメです。 誠実公正。正直であること・フェアであることも大事にしています。透明性が失われるとビジネスは間違った方向へ進みます。嘘をつかないのはとても難しいこと。会社のカルチャーであると同時に、自分自身への戒めでもあります。 もう一つは「人間中心」。当社が作っているのは、いわば「義足」のようなもの。作文や分析が苦手な人をAIで補い、その人が持つ良い面を引き出したいと思っています。当社ではAIを開発していますが、そのAIは人間に取って代わるためのものではなく、人間が活躍するためのものです。

社名である「GFL」の意味は?

GFLはGut Feeling Laboratory(ガット・フィーリング・ラボラトリー) の頭文字。ガット・フィーリングとは直感や「なんとなく」の意味です。 Gutとは、腸・はらわたといった意味を持つ言葉。日本でも「腹落ちする」という言葉があるように、はらわたを捕まれた時に人は行動を起こす生き物なのです。人間は論理的なように振る舞っていますが、実際ほとんどの行動や判断は瞬間の「なんとなく」で動いているといわれます。私は長年にわたり、人間の「なんとなく」に訴えるマーケティングのしくみを追求してきました。 博報堂を辞める直前に『なぜ脳は「なんとなく」で買ってしまうのか?』というタイトルの本を執筆しました。私の博報堂時代の集大成。「なんとなく」に訴えるマーケティングのしくみを追い求めた私のすべてを盛り込みました。もう10年前の本ですが、今でも私の考えは変わりません。あの本を書いた時から、考え方をほとんどアップデートしていないので、GFLの基本思想もあの本の中にあると思っています。

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