株式会社SONIC SQUARE

株式会社SONIC SQUAREは、主にSES事業を手掛けている情報システム企業。2023年10月1日に設立35周年を迎えた。

同社の強みはまず、5社の取引先と創業期以来30年以上にわたって良好な関係を続け、安定した事業基盤を構築している点にある。その5社は、財閥系総合電機メーカーや電気部品メーカー、外資系メーカー、リース・金融サービス業で、いずれも東証プライム上場大手もしくはそのグループ企業。その5社にエンジニア10～30名を客先常駐もしくはリモートで派遣、全80名ほどの在籍エンジニアのほぼ全てを賄っている。
「当社は離職率が2～3%と低く長期間担当するメンバーが多い一方、お客様はいずれも大手で人事異動があり、カウンターパートとなる人よりも当社のメンバーの方がお客様の事情に詳しいというケースがよくあります。加えて、お客様ファーストで対応するメンバーばかりであるところから、大いに信頼いただけていると自負しています」と取締役システム事業本部本部長の井上徹氏は胸を張る。

手掛けている業務内容は、基幹システムや業務システムの運用保守が主。当該システムの初期開発工程から参画しているケースも多く、システム改修や仕様変更の際も力を発揮している。
「しかしながら、これらのお客様だけでいいわけではなく、新規のお客様や事業の開拓は常に考え、アプローチに努めています」と代表取締役の福山和歌子氏は話す。

その武器ともなるのが、独自考案し2021年12月に特許も取得した『Remote Communicator』。同社が培ってきた仮想化技術のノウハウを生かしたEAI（Enterprise Application Integration）で、既存のオンプレミス環境のシステムとクラウドの周辺システムとの連携等がシームレスに行える技術だ。
また、販売管理や生産管理、勤怠管理、倉庫在庫管理といった各種業務システムの基本システムをパッケージにした独自プロダクトの『SS Base』もある。
「お客様へのヒアリング等の際に画面の例としてお見せし、具体的にイメージしていただけるツールとしても活用できます。これをひな形としてカスタマイズすれば、業務システムを安価かつハイスピードでご提供できます」と開発を担当した常務取締役の松澤隆太氏は説明する。

なお、新規事業として同社は既に「施設の営業を続けながら、安価かつスピーディーに施工できる吊り天井補強工法」の営業代理店となる災害対策推進事業も展開している。その工法を開発した建設会社とのネットワークを生かして事業化した。
「主要取引先とのさらなる関係強化を図りながら、その安定的な事業基盤の上で、新規事業に積極的にチャレンジしていきます」と福山氏は力を込める。

同社の設立は、1988年10月。創業者の故・矢部健二氏は、大学卒業後にテレビ局に入社し、コンピュータ化の黎明期にプロ野球中継の“S（ストライク）・B（ボール）・O（アウト）”の画面表示システムを開発した人物。その後、計算センター会社に転じ、顧客である電気部品メーカーと意気投合し、独立してシステム開発会社を設立。翌1989年10月に日本ユニアンドソニック株式会社に社名変更する。その電気部品メーカーの情報システムの開発や保守・運用をメインに、早々に現在の主要顧客の5社体制を固めてきた。

その矢部氏が病気を患ったことを機に、2019年12月に当時の専務取締役であった福山氏に社長を交代。そして2020年12月、社名をSONIC SQUAREに変更する。
「経営体制が変わったこともあって、新たな企業イメージの構築とさらなる社業発展を期すために社名を変更することにしたのです。新社名は全社員から案を募って決めました」（福山氏）。
2021年3月には、東京都府中市から東京都港区に本社を移転するとともに、埼玉県所沢市に埼玉事業本部として実質的な本社オフィスとなる新社屋を竣工させた。

「新社長に就任した際、全社員の前で次のような主旨の話をしたのです。当社は創業期からこれまで、上場企業のお客様に恵まれてきました。当社のエンジニアはそのお客様の現場に入って仕事をしているわけですが、給与金額はお客様の社員と大差ないものの、賞与では大きな差がついていたのです。私は社員を我が子のように思っているのですが、当社の社員がその差に中小企業の悲哀を感じていると思うと可哀想で仕方ありませんでした。なので、社長として賞与をお客様のレベルまで近付けると約束したのです。社員の頑張りで2022年度は業績好調となり、賞与を思い切って4.5カ月分出して約束を果たしました。そして、所沢の新社屋は、社員の誰もがいつでもお客様の現場から我が家に帰って来られるようにとの思いで建てることにしたのです」と、福山氏は社員への思いを語る。

そんな同社が掲げる経営理念は、次の通りだ。
【Try to the next　今の自分を超えよう　夢を語ろう　そして、次の時代へ】
1.己を超え続ける
昨日より今日、今日より明日、日々自身の成長を感じよう
2.夢の創造
自身の夢を創造して語り合おう
3.あらたな時代へ
あらたな可能性を追求して形ある価値を社会とお客様に提案し続けよう

2023年9月現在、同社の社員は約80名。日頃、客先に常駐していることの多い社員同士のコミュニケーションの機会づくりとしては、顧客の状況によって帰社日が異なるため、いきおい常駐先単位でまとまることが多い。そこで、「誰でもいつでも帰って来られるように」との福山氏の新社屋への思いに繋がる。
「社員には、よく私の方から話しかけています」と福山氏は話す。4階建ての新社屋の2階フロアの片隅にはバーカウンターも設置されていて、終業時間後に社員は自由に利用できる。
「17時半になったら、私が率先してバーカウンターに座り、社員を誘っています」（福山氏）。
そのほか、2階フロアにはダーツやシミュレーションゴルフ、カラオケも用意。社員が仲間と共にリラックスして楽しめる環境を用意している。
その2階フロアの広いフリースペースで、2023年11月3日に全社員を集めて設立35周年パーティーを行う。全員が顔を揃える貴重な機会だ。

なお、フットサル部やゴルフ部等の同好会活動もコロナ禍までは活発に行っていた。特にフットサル部は、東京都情報サービス産業健康保険組合が主催する大会で2年連続して優勝するほどの強豪。「当時の主力選手は退職しているものの、コロナ禍が落ち着いたので再開させたい」と松澤氏は話す。

人材育成においては、未経験者を中心に基礎的なスキルや知識を外部の研修制度を活用して習得した上で、応用面はOJTで身に付けている。その点、主要顧客へは10～30名といったまとまった人数で常駐しているため、先輩から学べる機会は潤沢にある。
「お客様との信頼関係があるので、未経験者もチームに加えてOJTを図る“チャレンジ枠”を認めていただけています」と井上氏は言う。

そんな同社が求める人材像について、井上氏は次のように期待を寄せる。
「好奇心が旺盛で、ハキハキとしたコミュニケーションができるような方にぜひ加わっていただきたいと願っています」

社員思いの風土を“我が家”として、そこから信頼関係の深い顧客に赴いて貢献する。あるいは、新規事業にチャレンジする。いずれにおいても、同社には楽しく成長していける環境があると言えるだろう。