アメリエフ株式会社

遺伝子のデータ解析を通じて、医学研究や薬の開発のための支援を行っているアメリエフ株式会社。生命現象を、ITやコンピューターを活用して研究する「バイオインフォマティクス」の分野におけるリーディングカンパニーの一つで、「健康と治療を最新の科学で更新する」をビジョンに、製薬・科学企業、大学・医療研究機関向けにサービスを提供している。

創業者であり、自らもバイオデータの研究やプログラミングを行ってきた代表取締役CEOの山口昌雄氏は次のように話す。

「遺伝子情報から分かることがすごく多くなっています。臨床情報や遺伝子情報を基に、なぜ病気になったのかはもちろん、どうして重症化したのか・しなかったのか、薬が効いたのか、なぜ副作用が出たのか、といったことを個人差に注目して解析することが可能です。遺伝子解析を通じて原因となるバイオマーカーを探索したり、それを指標に有効性や毒性、副作用を予測したりすることで、製薬や治療法を新たに作ることができるため、当社ではそのためのデータサイエンス側の支援を広く行っています」

同社の事業は大きく四つ。受託解析、研究のコンサルテーション、解析のトレーニング、そしてシステム開発販売事業だ。

お客様に解析システムの提供をしたり、必要であれば受託解析でデータを取得したりすることもできる。そこで得られたデータについて複雑な解析をしたい場合は研究コンサルテーションを提供することもでき、さらには出来上がった解析手順についてシステム化して大規模に回したいとなれば、システム構築も可能となる。その上で担当者のトレーニングが必要であれば、そこも担うことができる。

「それぞれの事業をやっている会社はもちろんありますが、全てを一社で行っているところは世界を見渡してもないでしょう。総合力が我々の強みです」と、山口氏は胸を張る。

なぜそれが可能か。それは山口氏のバックボーンに関係がある。

山口氏は、元々自然科学の総合研究所の研究員であり、データサイエンスの技術を使って病気に関係する遺伝子の探索を行っていた。さらに、中学の頃から独学でプログラミングを学び、大学時代からバイオデータをプログラミングすることをテーマに取り組んできた。加えて、塾講師の経験が長く、教えることに対するモチベーションが高い。

「自分の得意なこと・好きなことを全て掛け算にした結果、生まれたのが当社です」と山口氏は語る。

「データサイエンス業界はどこも人手不足です。研究者がデータをきちんと扱えるようになれば研究効率は上がるため、日本の生命科学研究を効率化させるためにも、プログラミングやデータサイエンスの初歩的な部分についても、研究者一人ひとりに身に付けてもらえたらいいなと強く思っています」

社名の由来は、「効率を高める」という意味のフランス語をもじっている。ここからも「研究の効率を高めること」が会社のDNAになっていることがよく分かる。

同社のバイオインフォマティクスグループは、解析チームとシステムチームに分かれている。近年、システムチームの中で新しい動きが着々と進み始めている。

「受託開発を続ける中で、一定の共通するニーズが見えてきました。製薬においてビッグデータが活用されるようになったことでデータの扱いが難しくなったという声も増えてきており、一人ひとりの研究者が簡単に扱えるソフトウェアの開発を進めています」（山口氏）。

それが2022年秋にリリースされた初の自社プロダクト『Amelieff Quick Start Package』だ。既に大学等の研究機関や製薬会社、バイオベンチャー企業等での導入が進んでいる。現在は、さらにその先の「チームで扱える新しいパッケージ製品」の開発も進んでいるという。

「当社のパッケージ製品はクラウド上で動くものであり、海外の製薬会社も当然ターゲットになっていきます。2020年に大手グローバルヘルスケア企業であるPHCグループに入りましたが、それは海外市場でも製品を売っていくことを視野に入れているから。親会社が持つ世界中の販路に対して製品をアピールしながら、同時にプロダクトをさらに磨いていきます」（山口氏）。

既にアメリカの有名大学に導入が決まる等、海外展開はまさに今始まったばかりだ。もちろん本腰を入れていくのは国内である程度の市場を取ってからにはなるが、メンバーを増強しながら、アジアやアメリカから販路の拡大を目指していく。

今の同社にジョインするメリットについて、山口氏は次のように話す。

「市場を、そしてプロダクトを1から作れるところは大きいと思います。まだまだ作りたいプロダクトのアイデアは沢山あるので、失敗も含めてどんどんトライしていきたい。大きな視点で仕事をしていってもらうことになるので、チャレンジ精神の強い人の方がフィットするかもしれませんね。いずれにしてもチャレンジしがいがある環境は整っています」

社内にはバイオ系の修士号や博士号を持つメンバーが多く、いわば「バイオのプロ」として彼らが受託やコンサルテーションを主に担当している。一方で、システムチームが求めるのは「システムのプロ」だ。山口氏も、「チームワークで働くので、バイオとシステムの両方を知っている必要はありませんよ」と笑顔で話す。

「バイオの知識や専門性よりも、『システムのプロとして誇りを持って働きたい』という気持ちを持った人であれば大丈夫です」

同社の働き方の一番の特徴は、フレックスとテレワークをうまく組み合わせていることだ。例えば、有給休暇とは別にフレックスを利用してお休みを取ったり、子供のお迎え、病院や仮眠のため長めの休憩を取るなど、自由度が高い。
クリエイティブな対話をする等、業務上必要であればいつでも出社は可能だが、特に必要がなければ効率のいい方を自由に選んで良い仕組みとなっている。何より自由度を優先していて、ワークライフバランスを大切に考えていることの表れでもあるだろう。

ただ、チームワークを大切にしているからこそ、歓送迎会は意識的に実施し、チーム単位でのコミュニケーションの場が毎日ある。また全社会議をオンラインで毎月実施しており、全員の顔を見ながら近況報告等を行っている。

「特にエンジニアはスキルアップが必要だと思いますので、インプットの時間を多く取れるように配慮しています。エンジニアの勉強会が業務時間中に開催されていますし、業界の新しい技術に触れていただくために会社の指示で学会に参加するような場合もあります。スキルアップすれば半期に一度の査定で昇給や等級を上げることは十分に可能です。きちんとした評価とそれに見合った査定はしっかり行いますので、年齢に関係なくリーダーシップを発揮してもらいたいですね」（山口氏）。

これから伸びる分野で唯一無二のサービスを提供する同社だからこそ、社内には知的好奇心旺盛な人達が集まっている。特にエンジニアについても、新しいテクノロジーに感度が高い人が多いので、そういう人にとっては楽しい職場になるだろう。

「ゼロイチで、いろいろなものを立ち上げていきたい人にはいい環境だと思います。まだ二十数名の会社で役員との距離感も近く、みんなが何をやっているのかが見えやすく、風通しの良さもあります。マネージャーに決裁権を与えているので、スピード感もすごいです。小さく閉じこもるよりも、オープンマインドで働きたい人には最適な環境だと思います」（山口氏）。