株式会社クエスト

ITコンサルティング、アプリケーション開発・運用・保守、ITソリューションやインフラソリューションの構築・提供を事業内容として掲げる株式会社クエスト。1965年5月に「株式会社京浜計算センター」として設立された同社は、創業以来一貫して顧客企業に対するシステム構築サービスを手掛けている。現在は、AI、マルチクラウド、RPAといった新たな技術分野にも積極的な投資を行いながら、自社の基本方針である“圧倒的な顧客視点”を重視した事業を展開し続けている。その姿勢は、国内に6拠点を構え、従業員数も1,000名を超える等、大手IT企業へと成長した現在も変わりはない。同社社長である清澤氏は、新たに「データ活用」という要素を自社の重要テーマとして設定し、その取り組みを強化していく方針を打ち出している。

「データ活用を重視しながら、サプライチェーンやCRM等の領域でデータドリブンな意思決定をしていく必要があると、当社では考えています。現在は、顧客に対してだけではなく、社内でもデータ活用を強化しているフェーズと言えるでしょう。また、直近ではM&Aも手掛けており、取引社数や規模の拡大によって社内のデータ量も増えています。そこを上手くデータ化し、活用を推進することで、正確かつ迅速な意思決定や新しい事業モデルの策定を進めていきたいと考えているのです」（清澤氏）。

清澤氏は、自社の成長戦略となる『Quest Vision2030』を策定。最終的な結果として“企業価値250億円超”を狙うポジションを目指すと清澤氏は語るが、その思いの背景について次のように語っている。

「世界的にもパーパス経営が注目されている中、当社でも長期的な視点で企業としてのパーパスを定義したいと考えていました。短期的な目線や目標設定だけではなく、当社が今後30年、50年、100年というスパンで、必要とされ続ける企業にしていきたいと思っています。これまでのクエストは、大体3年程度での中期計画は立てていましたが、もっと長期的な視点から現在を捉えることが必要だと感じ、『Quest Vision2030』を定義しました。最終的な結果を目指す上では、その過程・プロセスの中で当社全体が成長する必要がありますが、メンバー全員の力を結集して必ず実現できる、という強い思いもあったので、この戦略を掲げることにしたのです」（清澤氏）。

「私達が掲げた目標は、もちろん簡単に実現できるものではありません。既存のサービスポートフォリオだけでは課題に直面するでしょうし、より積極的に新しい分野にチャレンジしていかなければなりません。また、これからの時代においてはさらに“技術革新”も加速していきますので、ERPやCRM等による単純な業務オペレーション効率化のフェーズから、その先のビックデータ活用という時代に突入していくと確信しています。その確信を基に、その領域でのビジネスチャンスの発掘にチャレンジしていきたいと、当社は考えています」（清澤氏）

具体的な取り組みとしては、AI、クラウドの二つの新規事業分野へのチャレンジを計画していると語る清澤氏。AIに関しては、先の言葉にあるように、ビッグデータ活用がビジネスの展開に不可欠な要素になると考える一方で、その技術領域の開発事業者や専門企業となる考えはないと清澤氏は語る。

「AIは、あくまでもDX化を推進するための道具であり、その活用において課題となるのは莫大なデータを管理することだと私は考えています。十分ではないデータ量だと正確性が発揮できないという特性がある以上、AIは莫大なデータを管理することで初めて信頼性のある結果を導き出すと言えます。クラウドに関しても、高い専門性を有しながらセキュリティ維持、構成変更、サポートまで対応できる体制づくりにチャレンジしたいと、当社では考えているのです」（清澤氏）。

清澤氏自身、AI活用に関心が高い。データハンドリングとオペレーションに関する業務負荷の大きさを熟知しており、オンプレ環境からクラウドへのリフト＆シフトに関しても、その実現後の運用・保守までをカバーする必要があると考えている。そうした技術の活用を目指す企業にとって、共通の課題を解決するビジネスの創出にチャレンジすることが、同社の今後のビジョンなのである。

同社では、『技術を探究し、価値を創造し、お客様とともに成長する』という企業理念を掲げている。その内容は同社の原点でもあり、強みであるとも言えるだろう。今後の企業としての成長に欠かせない、そして忘れてはいけない思いであると、清澤氏は語っている。

「どんなシステムでも活用できるようにサービスを展開することが、まさに当社のバリューであり、日々ユーザーと近い距離で業務を理解し、変わりゆく状況に合わせてサポートする姿勢があったからこそ、当社は成長できたと思っています。徹底して顧客に向き合う姿勢こそが、当社の最大の特徴であり価値であると、私は思います」（清澤氏）。

もちろん、その姿勢に技術力という裏付けがあったからこそ、信頼を勝ち取ることができたと清澤氏は指摘している。常に顧客に寄り添うことで信用を獲得し、高い技術力でサポートすることによって信頼を獲得する。その循環の中で価値を創造し、顧客と共に成長し続ける未来を描いていきたいというのが、同社の考えなのである。

「顧客から信頼されるために、傾聴力・理解力・説明力を深いレベルで実現するコミュニケーション能力を磨き上げる必要があると思います。企業の成長フェーズに合わせて、社内の仕組みや制度とともに、働く社員一人ひとりのさらなる成長は不可欠です。企業価値の向上を目指す上では、会社、そして働く社員全体が成長できるような取り組みを停滞なく推進し続けていくことこそ、今後の当社に必要なことだと考えています」（清澤氏）。

ダイバーシティマネジメントやシニア活用、女性活躍にも積極的に取り組む同社。社内体制の充実によって、社員のモチベーション向上、そして知識・経験を未来に繋いでいきたいと同社では考えているのである。清澤氏は最後に、同社への転職を目指す人材に向けて次のようなメッセージを送ってくれた。

「お客様から信頼され、安心して長くお付き合いできる。そして、相手の立場から物事を考え、同時に自ら積極的に学びを得る姿勢を持ち、新しいことに挑戦できる。そんな人材が、現在の当社には必要だと思います。顧客志向、成長志向、好奇心――そんな素養を発揮できる方が活躍する環境が、当社には整っています。今後100年以上続く企業として成長するために、ぜひ一緒に頑張っていきましょう」（清澤氏）。