株式会社エヌネットワークス

株式会社エヌネットワークスは、2001年設立のMSP事業会社だ。MSPとはマネージメント・サービス・プロバイダーの略で、企業がサーバ、ネットワークなどを介して提供するサービスが安定して稼動するよう、システムを運用・監視する専門業者のことである。ECショッピングサイト、アフィリエイトサイト、転職求人サイトなど、サーバやインターネットに依存するビジネスは、万一システムにエラーや故障が発生してサービスが停止すると大きな損失を被る。システムがダウンしてしまった際にも、最小限の時間内に復旧させることが重要な課題である。

同社は、ITバブル崩壊の最中にMSPの将来性に着目し「必要とされる＝Necessary」を社名とした前身の会社を立ち上げた。24時間365日の運用・監視サービスを提供するというMSPサービスは顧客に受け入れられ、まったくコネクションがない状態でのスタートだったにも関わらず、最初の1年で10社との取引を開始したという。その後は同社の柔軟なサービス体制が評判を呼び、現在では顧客は100社、稼動サーバ台数は1800台を超えるまでになった。

MSP事業者には、データセンター（サーバやネットワーク機器をレンタルする業者）を主たる事業とするものがオプションサービスとして展開している例もあるが、昨今では、ハードウェアを提供するだけでなくソフト面でのサービスが求められており、MSPを中心に事業を展開してきた同社の個性が引き立つ環境となっている。

というのも、国際的な競争激化の波の中、顧客はコア事業にリソースを割かざるを得ず、サーバの運用監視などには手が回らないのが実情だからだ。したがって、同社のように専門家として価値を発揮するアウトソーサーが活躍できるフィールドは大きい。

同社では、MSPサービスを中心に様々なオプションを用意し顧客の要望にきめ細かく応えている。中でも最もニーズが高まっているのが「マネージドハウジングサーバーサービス」で、機器のセットアップから運用、監視までをオールインワンで請け負うもの。このほか、サーバ構築・移設作業、日々のサーバ情報のレポーティングサービス、サーバ証明書発行サービスなど関連サービスがある。

同社が競合他社に比較して優位な点は、顧客のサービスの内容にまで踏み込み、そのサービスの拡張性までを考慮した機器構成設計からデータセンターの選定、運用・監視をトータルに行なえることだ。これも、同社が顧客のニーズに真摯に応える体制を整え、柔軟にスピード感を持ってサービスを提供することで顧客満足度をあげてきたからこそ、信頼を得て任される仕事の範囲が広がったのだといえる。同社がほとんど広告費をかけることなく、口コミや紹介で展開ができていることもその裏づけとなる。

同社の代表取締役である成田氏は、今後もサーバ運用・監視のアウトソーシングの需要は拡大していくと予想している。それも、運用・監視だけではなく、トータルなサービスへのシフトが進むため、同社にとってはますます追い風が吹いてくるだろうという。

今後は、MSP事業における安定した収益をベースに新しい事業の柱を立ち上げるべく、さらに顧客のニーズを拾っていく。既にいくつかの新規サービスが立案され、実行を待つばかりだという。あくまでもユーザの求めることを実現していく、それこそが「必要とされる＝Necessary」ネットワークを提供するエヌネットワークス（N-networks）の存在意義なのだ。

2021年4月現在、同社のメンバーは全部で68名。設立20周年を迎え、従業員数は年々増えているものの、全員が自社で勤務していることもあり、部署を超えてのコミュニケーションも活発で、フランクな社風を維持している。経営陣もエンジニア出身で現場に出ており、エンジニアの志向性やキャリアパスなどについて理解があり、社員ひとりひとりを大切に考え、気になることがあればすぐに声をかけて解決しているという。

成田氏は今後、人員の増加と共に今以上に権限委譲を進めていく方針で、このため、経営視点とマネジメントスキルを持つ人材の育成も急務となっている。一方で、マネジメント層だけがこの会社を作っていくわけではない。あくまでも現場の声が会社を動かすとの考えの下、「自主性を持ってほしい、ボトムアップで物事を決めていきたい」と成田氏は語っている。

入社後の研修を経て独り立ちすると、すぐにも担当を持って中心的な役割を担っていくことになる。厳しくもあるが、そこで得た経験や人脈は後に必ず自分に返ってくるだろう。着実な成長を遂げてきた同社は、これまでの約20年を受けて、今後の方向性を決めていくための重要な位置にある。チャレンジ精神旺盛な人にぜひ挑戦してほしい。