株式会社パイプシェル

エンジニアなら、社名を聞いてニヤリとしてしまうかもしれない。株式会社パイプシェルは2008年5月の設立以来、主にスマートフォンのネイティブアプリ開発や、付随するサーバーアプリの開発を行ってきた。

代表取締役の山田将章氏はアクセルマーク株式会社の創業メンバーの一人で、自身もエンジニア。彼の人脈もあり、アプリ開発以外にも、ソーシャルゲーム黎明期から数々の開発実績を積んできた同社。たとえば、Nintendo3DSのサーバーサイド側の通信機能の開発や、ソーシャルゲーム系のプロバイダー側システム開発、パイオニア社によるGPSを使った「サイクルラボコンピュータ」など、ウェブサービスも含めて幅広く手掛けてきた。

そんなパイプシェルにとって、2015年は大きな転換期になった。新規事業がスタートしたからだ。

「IoTが広まるにつれて分かってきたことがあります。例えば体重計がネットに接続されていれば、毎朝乗るだけで記録しグラフ化してくれます。さらに、同じ人がIoT対応の活動量計を付けていれば運動量と体重の変化のデータが集まります。当然、これらの関係が分かってくればダイエットや健康維持について今までよりもさらにきめ細やかなサービスを作り出すことが出来ます。

こういったIoTからの一ひねり先に産まれるイノベーションはこれからどんどん出てくるでしょう。私たちも、この時流の中で出来る事はないのか？と考えており、今年度からはヘルスケア系の商品開発の協力や、詳細は明かせませんが宇宙機器に向けての流用などを進めています。

これらはまだ誰もやったことがない技術へのチャレンジです。新しいことに飢えている人であれば、絶対に興味を持ってもらえる分野だと確信しています。うちは、そうしたエンジニアの興味をくすぐるような仕事には事欠かない会社ですよ」（山田氏）

同社の強みとして高く評価されているのが「負荷に対する強さ」と山田氏。どの製品に対しても、「ここまで使ってもちゃんと動く」「どんな状況下でも守るべき部分は守る」といった安心と安定を提供できる技術力に信頼が寄せられている。つまり、大規模案件を安心して任せる会社であるということだ。

「開発環境、特に言語に対しては柔軟に対応しています。どちらかというと、お客様のニーズを伺ったうえで今の時流にどれが一番合うのかを考えて選択できるよう、新しい情報は常に取り入れ、積極的にチャレンジできる環境をつくっています」（山田氏）

さらに特筆すべきは、エンジニアが働きやすい環境づくりには徹底的にこだわっている点だ。同社の社員はほとんどがエンジニア。山田氏は「開発のために必要な環境はとことん用意するつもり」と断言する。

たとえば、社内はフリーアドレス。その時々のプロジェクトごとに自由に集まって仕事がスタートできる環境を用意している。

また、全社員にノートPCを1台ずつ用意するが、一方で社内には「籠もり部屋」も用意。広いディスプレイと速いネット環境を用意したその部屋にいる間は誰も声はかけないと決められており、好きなだけ作業に没頭できる。

ペアプログラミングしたい場合も、20インチ程度のディスプレイが複数設置された空間を用意。社内の全ての会議室にはホワイトボードと液晶を設置し、すぐにディスプレイを映しながら議論できる態勢を整えている。

社内の勉強会も充実。新しい技術に対して、皆でテーマを決めてキャッチアップ目的に行う場合、必要な機材があれば会社負担で購入し、実際に触りながら覚えることも多いという。過去には100万円程度のハードウエアを購入したことも。

「最近、私が忙しくて勉強会の開催をさぼっていたら、社員から『次はいつなんですか？』とツッコミが入り始めて（笑）。それくらい、楽しみにしてくれているようです」（山田氏）

こうした環境整備に力を入れるのも、思う存分仕事に打ち込める環境を用意したいからに他ならない。

「私はいつも、エンジニアの心得として『心体技』という話をするんです。この仕事は責任ある情報に触れてしまえる仕事だけに、情報をねじ曲げたり不正をしない強い心を持つことが非常に大事です。心の次は体。元気に働ける体力も必要で、特に運動不足になりがちな仕事だからこそ、日々運動はしましょうと。そのうえで技術を磨いてほしい。たとえば100の仕事を8時間でできるとして、技術を習得してその仕事を4時間でできるようになれば、浮いた4時間は自由に使えますよね。そうやって時間を作り、好きなように使ってもらいたいんですよ」（山田氏）

なお、社内に唯一ある部活が、ロードバイク部だ。レースを見に行き、実際に練習をしてレースに出ることも。ストレスを運動で発散する。そんな社員が多いそうだ。

事業内容や仕事の中身が変わってきている中、社員のモチベーションも大きく変化しているという。

「以前の仕事に比べて難易度は上がっています。ですから、正直言うとそれについていけなくて辞めた人もいるんです。でもほとんどの社員は『これを機にステップアップしていかなきゃ』と意識を変えて、必死で打ち込んでくれています。だから、今いる社員は皆、どんどん研ぎすまされています。頭を抱える厳しい案件もあるし、当然納期もある。その中でもがきながら、仕事を通じて成長してくれています」（山田氏）

だからこそ、「乗り越えた時の達成感が以前にも増して大きくなっている」と山田氏は語る。パイプシェルの社風は、「遊ぶ時は徹底して遊ぶ」。だからこそ、社員からは「しんどい仕事があっても会社に来るのは楽しい」という声が普通に上がる。

「もしうちで働くメリットを挙げるとしたら、確実にスキルアップできることと、各メンバーのキャリアパスについて真剣に考えてあげられることの2つは約束できると考えています。うちは役職が上の人間ほどスキルセットが高いので、技術的な部分で的確なアドバイスができる自信がありますね。キャリアプランはそれぞれだからこそ、考えられる選択肢ごとのメリットやデメリットも含めて話をしたいと思っています」

もし、あなたが新しい仕事に飢えていて、なおかつ正しく評価されていないことに不満や不安を感じているとしたら、それを一気に解消できる場所がパイプシェルで間違いなさそうだ。