株式会社FERNET

同社のビジョンは明確だ。「プロジェクト環境、開発環境のプラットフォーム企業」だ。ビジョン実現に向けて、社員一丸となり新たなスタートを切ったのだ。具体的には、プロジェクト環境、開発環境の近代化を図り、ソフトウェア開発の生産性向上、スピードアップ、品質向上に貢献する企業を目指している。

その背景には、代表取締役 丸山貞良氏が感じている、日本の中小ソフトウェアハウスが抱える課題感がある。
「今やITはなくてはならないものですが、それによりさまざまな課題が表出しています。発注の多層階層で下にいくほど技術も収入も向上しない構造は言うまでもありません。グローバル化による単価の低下と、コスト削減によりスクラッチ開発の減少。セキュリティの強化で客先常駐型が増えていますし、SIerやユーザ企業のマネジメント力も低下の一途です。人件費や間接経費に圧迫されて営業利益率が上がらず、経営効率も悪く、経営基盤が脆弱になれば先行きも不透明……。とにかく課題が山積みです」

これまではコンサルティングやプロジェクトマネージメント実行支援等のITマネジメントサービスを強みに成長を続けてきた同社。加えて、「Web」「モバイル」を中心に大規模システムなどの請負・SESによるソフトウェア開発を手掛けてきた。特に大手企業との直接取引で信頼関係を築いている。

Web事業としてはサイト制作やWebシステム開発を行っている。カード会社や派遣会社、薬品会社などの企業サイトを手掛けるほか、海外向けモバイルサイトや通販ポータルサイトの構築などを経験。

モバイル事業は、スマートフォンやスマートタブレットのアプリ開発や、サーバを含めたさまざまなサービス・ソリューションを、企画から開発までワンストップで提供する。コミックビューアや音楽ダウンロード・再生ソフト、画像認識システム、携帯向けWindowsフレームワークなど幅広い。

また、代表の丸山氏自身は元エンジニアで、大手IT企業の開発部長や役員を歴任しており、豊富な人脈を持つ。自動車メーカーや通信キャリアなど、誰もが知るような大手企業との取引が多いのも納得だ。

取締役システム事業部長の山中氏は、「この規模の会社なのに、大手からの直受けで、しかも上流から手掛けられる。他では経験できない仕事ができるのが、うちの特徴ですね」と語っている。今後は受託開発の割合も増やしていく予定だという。

同社が方針として掲げているのが、労働集約型（ＳＥＳ型）から知識集約型（ソリューション型）への変革の第1歩を踏み出すこと。これは、先述の課題解決、そして会社の再定義のためには非常に重要だ。そして、それを実現できるだけのノウハウ、知識を積み上げてきていることも、同社の強みと言える。
「ソフトウェアの開発も含めたITマネジメントサービスにより、プロジェクトを目的達成志向でサポートし、お客様のプロジェクトを成功させます。さらに、お客様のソフトウェアの生産性向上策、スピードＵＰ策、品質向上策の提案を行うなど、弊社にしかできないソリューションの提供を心掛けていきたい。組織として高付加価値の提案・提供に一層力をいれていきたいですね」（丸山氏）

ソリューションの提供という点で、今後の軸になっていくのが、自社サービスの存在だ。具体的には、ASPやパッケージソフトの開発事業に着手しており、リリースに向けた営業活動もスタートしている。

「弊社が得意としている、開発のための構成管理ツールがまもなくリリース予定です。外国産では近しい製品がありますが、実は日本の企業にマッチした開発ツールというのは国内製のものはほとんどないのが現状です。私たちが培った独自のノウハウをパッケージ化し、オンリーワンの事業として拡大させていきたい。さらにその技術を企業に合わせてカスタマイズしていくことで、より多くのお客様にソリューションを提供していきたいと考えています」（丸山氏）

さらに、受託開発を通じて知見を得たマーケティングツールの開発も進行中だ。Webカメラを使ったツールや、ロボットやビッグデータ、AI等の最先端技術へのアプローチにも力を入れていく。

もちろんそれ以外のことであっても、社員たちの「やりたい」を実現できる環境を整えていきたいと丸山氏は語る。山中氏も「今のタイミングでうちにジョインすることが一番面白い」と断言する。

「自分自身の手で自社サービスをつくり、それを世の中に出していくことができます。幸い弊社は、これまでも多くの大手企業様と取引があり、『こんなことに困っている』というサンプルはたくさん溜まっています。それを解決していけるものを、これからも作ってきたいと思っています」（丸山氏）

もちろん、ソリューション型の事業を推進していくうえでは、最新技術は欠かせない。クラウド、ビッグデータ、AIといった最先端技術に触れられる機会は多く、技術者としてそこから様々なことを吸収していける環境であるのは間違いなさそうだ。

現在の社員数は、34名。東京本社を中心に、名古屋事業所や顧客先などで、20代から50代までのメンバーが和気あいあいと仕事に取り組んでいる。経営陣との距離も近く、風通しの良い意見の言いやすい環境だ。

そんな同社が今後目指す方向性は、「Great Place to Work」という一言に集約されている。
「会社やマネジメント層への『信頼』、仕事への『誇り』、仲間との『連帯感』といったキーワードのもと、今まで以上にクリエイティブな仕事ができる環境にしていきたいという思いがあります。そのためには、目標達成のための施策を立てて進捗管理を行ったり、プロジェクト原価管理のための仕組みの構築などを考えています。お客様や協力会社様とのコミュニケーションの強化も図ろうと考えており、最低でも2カ月に一度はお客様を訪問して情報交換を行うつもりです」（丸山氏）

勤務時間の改善として、勤務時間の30分短縮や、有給休暇を5日間まで1時間単位で取得可能にする取り組み、さらに残業時間の計算を1分単位で行っている。もちろん、産休・育休などの福利厚生や社内制度もこれまで通りだ。

「外部研修の受講や、書籍の購入については、一人年間10万円までの支援金を提供します。日頃の努力や成果に対してきちんと表彰する取り組みを導入することで、より個人の能力が発揮でき、組織目標を達成できる職場へと変えていきたいですね。人材育成にも一層力を入れていくつもりで、ジョブローテーション制度の導入も検討中です」（山中氏）

現在は少数精鋭のチームで構成されているが、今後5年間で50名程度の規模にまで拡大予定だという。そうすることで、10年以内に単独での売上を10億円規模にまで成長させることを目標に掲げている。そうした具体的な目標の実現に向けて一緒に力を合わせていけることが、同社で働く大きなモチベーションになっていくのは間違いないだろう。

最後に、求める人物像について丸山氏に伺った。
「今回、IT/Web業界の開発経験者で、Webやモバイルに長けた方を求めています。自社開発のサービスを手掛けていただくことを考えると、自ら考えて行動ができる人が必要です。会社として新しい取り組みを積極的に進めていきますから、そうした方針に対して共感してくれる人だといいですね。新たなことに挑戦する意欲を持っていてほしいと思います」（丸山氏）