株式会社東北システムズ・サポート

株式会社東北システムズ・サポート（略称：TSS）は、システム開発、システム基盤、無線機器ソリューションサービスなどを提供する会社だ。システム開発やシステム基盤では東北地方に根を張り、無線機器ソリューションでは日本全国にサービスを展開している。2017年には、経済産業省により「地域未来牽引企業」（第一期）に選定された。

【事業内容】
1. 情報システムのコンサルティング
2. アプリケーション開発受託全般
3. インフラ構築・保守・管理
4. パッケージソリューションの開発・販売
5. 無線システム構築・機器販売（バーコード、RFIDほか）

会社設立は1976年7月で、本社所在地は仙台市青葉区。同市宮城野区には開発センターもある。そのほか、岩手県盛岡市に盛岡事業所と盛岡開発センター、東京都文京区に東京支社を置く。

主な業務は、（1）受託ソフトウェア開発と、（2）RFIDなど無線機器を使用したシステム開発および機器の販売だ。ソフトウェア開発では、「一括受注力」と「納品品質」の2つを特徴とする。「一括受注力」に関しては、受託ソフト開発外販力は東北6県で5本の指に入る規模。加えて300人月程度の開発力を有していることから、首都圏に本社がある大手企業からのニアショア開発受注も増加している。2019年5月に新設された盛岡開発センターは、50名規模にまで拡大した。

売上高の推移を見ると、東日本大震災があった2011年までは年10億円前後だったが、2012年に急拡大し、2018年度は25億8000万円、2019年度は28億8000万円に成長。2013年～2017年の5年間では、売上高伸張率が東北6県の同業でトップとなった（東京商工リサーチ調べ。対象企業規模：資本金1000万円以上、社員数100名以上）。

TSSは、地方で生活しながら首都圏と同等の年収を得られる企業を目指す。「今後3年以内に売上高30億円、営業利益率は常時4％」の目標を掲げ、スタッフには明確な評価基準で成果に応える。残業も減らして働き方改革を実践しながら、過去最高額の営業利益額と賞与支給を実現していく。

TSSの強みは、まず独立系であること。そして東北人主体の組織であることだ。多様なビジネス体験ができ、我慢強い東北人の気質を活かして仕事に取り組んでいる。具体的なビジネス視点で述べるなら、ソフトウエア受託開発では創業から40年以上の開発実績がある。もう一つの柱である無線機器販売では、日本で早くからRFID（無線タグ）技術の製品ソリューションを手がけ、全国に2000店以上あるauショップの在庫管理案件を納品したこともある。現在は、カシオ計算機株式会社や株式会社キーエンスなどと協業を推進している。

無線ソリューションの基盤技術であるRFIDの黎明期から携わってきた点と、自社製品を海外メーカーに委託して製造販売できる点も強みだ。RFID製品の実演ができるラボも、盛岡駅前に設置している。日本ではRFID製品の普及はまだ始まったばかりだが、実際に体験してもらうことでさらなる普及につなげていく。今後は海外展開も視野に入れる。

RFIDリーダー機器を使用した在庫や物品管理のソリューションでは、TSSは自社製品にこだわることなく、大手メーカーとのアライアンスによる柔軟なソリューションを提案している。自社でもハンディ型製品などを手がけているが、ゲート型RFIDリーダーやテーブルスキャナなどを複合的に組み合わせたソリューションを提供し、前述のauショップ以外にも、全国300～400店規模の携帯ショップや小売店チェーンなどへシステムや製品を導入してきた。

もう一つの事業の柱であるソフトウエア開発では、「ニアショア開発」に注力。首都圏の技術者の慢性的な不足、通信環境の改善による遠隔共同作業の低コスト化など、「ニアショア開発」は近年、急拡大している。TSSでは仙台と盛岡に開発拠点を置き、一定規模以上の案件を受託できる人的・スペース資源は大きな差別化要因となっている。人材面では、東北地方の情報系学生の地元採用に力を入れ、今後は宮城・岩手以外への事業所進出も見据えている。

東北地方の同業他社は、雇用拡大に意欲的な会社が少ない。そんな現状があるなか、TSSは東北での雇用を拡大し、事業所を増やし、開発規模と実績で差別化を図ろうとしている。2020年4月時点の従業員数は204名。ライフワークバランスにも注力し、東北の全拠点で「通勤時間は片道1時間以内」や、「結婚・出産によって職を離れた女性のテレワーク活用」を目指している。

勤務時間はフレックスタイム制（コアタイム10：00～15：00、標準労働時間7時間45分）で、休みは完全週休2日制（土日祝）。年末年始などには連休もあり、有給休暇（初年度14日）、半日休暇、特別・慶弔休暇、産前産後休暇、育児休暇、介護休業制度などの制度も手厚い。

昇給は年1回、賞与は年3回支給される。手当の項目は、交通費（月4万円まで）、残業手当、家族手当、役職手当、奨学金補助手当など。東京勤務者は住宅家賃補助も受けられる。主な福利厚生は、各種社会保険完備、定期健康診断、退職金(勤続3年以上)、慶弔見舞金、財形貯蓄、盛岡つなぎ温泉保養施設といったものがある。

専門学校で講師を務めるメンバーも多く、人材育成のノウハウは多い。新技術や流行の技術を深めるため、外部研修の受講も推奨している（首都圏開催も含む）。自己啓発支援としては、規定の資格（情報処理技術者資格、各種ベンダー資格）を取得した場合、受験料に加えて合格一時金が支給される。基本情報処理技術者以上の資格保有者には、資格手当が毎月支給される。

TSSは、東北エリア最大の開発実装＆先進的無線システム企業を目指している。東北にこだわり、地元に仕事を創出し、地域の未来を創造しようとしている。情報サービス業界はあらゆる業界で必要とされる数少ない成長産業の一つだが、東北の情報サービス業界はまだまだ成長途上にある。TSSは、安定した環境のもとでじっくりと腕を磨き、首都圏企業レベルの収入が得られる「地方RICH」を実現することができる、稀有な企業だ。