株式会社アイムービック

株式会社アイムービックは、愛媛に本社を置く受託開発会社である。社内にはAWS認定ソリューションアーキテクト有資格者が在籍しており、AWS導入・構築からAWS環境でのWebサイト、システム開発、ECサイト開発を得意としている。加えて、企画・戦略策定といったディレクションからデザイン、フロントエンド、バックエンド、保守運用までワンストップで対応が可能なところもクライアントから高く評価されているポイントのひとつだ。
「ミニマムな構成からスタートするアジャイル開発を得意としており、お客様のビジネスがスケールしていけば、グループ会社のオフショア開発拠点も活用する等、プロジェクトの性質に合わせて柔軟に社内の機能を組み合わせることで、クライアントの期待に応えることを大切にしてきました」（代表取締役・森本健一郎氏）。

さらに、クライアントのニーズを抽出してゼロから企画する力も高い。例えば、世界数千人のスタッフを抱えるメーカーの社内アプリケーションポータルのUX改善プロジェクトでは、スタッフが使用する端末や画面、課題、期待値等の聞き取りとUI/UXの事例リサーチ等を行う「ヒアリング・リサーチ」を実施し、その結果を基にモックアップを作成。プロトタイプ開発を行い、リリース後は、稼働状況やユーザーフィードバックを基にデバックや機能追加を手掛けた。
「ここまでワンストップで対応できる会社は、四国では限られています。おかげで、四国の受託案件の多くが、エンドユーザーであるお客様と直接取引をしている状態です。そのほか間に会社が入る取引の場合も、一次請け、二次請けといった上下の関係ではなく、互いにない機能を補完し合うパートナー関係として受託するケースがほとんどです」（森本氏）。

四国内のクライアントは地元企業や自治体が多くを占めているが、クライアントやパートナー企業からの紹介で、首都圏からの依頼も多いという。クライアント側にしてみれば、首都圏で依頼するよりもコストメリットがあるだけでなく、確かな仕事ぶりが評価されているからこそだろう。

株式会社アイムービックは、「人とテクノロジーで地域の変化のチカラになる」ことをビジョンに掲げ、「2030年を目標に四国のデジタル推進を丸っとお任せいただける四国4拠点の開発体制と、全国から四国への仕事、人材の流入に大きく貢献できる会社」を目指している。
「本社は愛媛県の松山市ですが、2020年4月に高知県、8月には徳島県に拠点を設置。現在、香川県でも拠点設置の準備を進めているところです。これによって、愛媛だけでなく、四国全県どこのお客様との物理的な距離を近付けることができ、よりきめ細かい対応が可能になります。また、働く側にとっても、四国内どこでも働ける状態が整うことに。高校まで四国の地元で暮らしていて、大学から県外へ出た人が『地元で仕事がしたい』と思った時の受け皿になれればいいと思っています」（森本氏）。

四国活性化に貢献するため、2022年にはホールディングス化を行い、子会社が事業運営に専念できる形を整備している。アイムービックもその一社として受託開発に集中することで事業効率とクライアントへの提供価値を高めていくことを狙っている。
「過疎化、高齢化が進む四国の活性化になればと、1次産業とITを組み合わせた事業を行う子会社の立ち上げも考えているところです。これはひとつの案であって、四国の活性化に繋がるのであれば、事業可能性を吟味しながら堅実に事業を広げていきたいというのが、私の考えです。ホールディングスであれば、このように色々な事業を手掛ける子会社を設置しやすいですから」（森本氏）。

現在アイムービックの従業員数は45名ほどだが、今後は1拠点30名、4拠点合計120名ほどの規模を想定しているという。しかし拡大することを目的にしているわけではないと森本氏は話す。
「会社を拡大していきたいというとイケイケな会社と思われるかもしれませんが、私は自然に過ごしたいタイプですし、会社の雰囲気ももっと落ち着いたもので、イケイケというイメージは当てはまりません。そのため、“拡大”という言葉は使っていません。あくまでも、お客様に価値を提供すること、期待に応えるために120名という人数が必要になるほど、お客様から声を掛けていただける存在になりたいということです」

会社の変革期という意味では、働く環境の整備という点でも同じことがいえる。アイムービックでは2019年からみなし残業の段階的な削減に取り組み、2022年時点でみなし残業ゼロを達成している。
「この取り組みを通じて、メンバーの時間単価や工数に関する意識が高まったおかげで、残業自体もだいぶ減りました。現在は、月平均20時間くらいになっていて、もちろん残業代は全て支給しています」（森本氏）。

人事考課制度の改革も進めており、One on Oneによる面談をはじめ、メンバーを適正に評価する仕組みを整えると共に、学びの支援制度の整備にも着手している。例えば、研修会社に依頼して年4回研修を実施するほか、自己研鑽に繋がる書籍の購入費や外部セミナーへの参加費の補助、資格取得については補助金の支給や資格手当の導入をしているそうだ。
「心理的安全性を意識して、社内制度を整えています。メンバーが自分の意見を発信しやすい雰囲気を醸成して、自分らしく仕事に取り組める環境をつくるのが、経営陣の責任ですから」（森本氏）。

以前は、トップダウンで物事を進めることが多かったが、近年はメンバーの意見が社内の仕組みづくりに反映されることが少なくないという。また、メンバー自身が課題感を持って自分達で変えていこうという雰囲気が醸成されつつあり、「自走感」が出てきたとも。それに伴い、メンバー同士で意見を交わし、何をすべきか考える「共創感」も育まれつつあるという。これら改革が進むに連れて離職率も低くなっているそうだ。

このような環境で力を発揮できる人とはどのような人なのか。森本氏は「Web開発が好き」なことと「四国の暮らしが好き」であることを前提とした上で、次のように話してくれた。
「情報を収集することと学び続けることに対して積極的であることが大切です。ITの世界は、次々と新たな技術が登場してくるため、『ここら辺でいいか』と歩みを止めてしまうと、あっという間に取り残されてしまうからです。また、共創感が出てきている中、チームとして力を最大化するには仲間を想う気持ちや多様な価値観を認める気持ちが欠かせませんし、顧客を想うプロ意識も重要になります。組織が機能するには規律ある行動のできる人であってほしいし、現状を把握して改善していく意欲と行動力もあればいいですね」

森本氏が語る人材像に心当たりのある人で、ビジョンやミッションに共感できるのであれば、変革のただ中にあるアイムービックで様々な体験・経験を積みながら成長していけるはずだ。