株式会社Aww

株式会社Awwは、「バーチャルヒューマン」を創造するアジア初の会社だ。最も知られているバーチャルヒューマン『imma（イマ）』をはじめ、『Ria（リア）』『Ayayi（アヤイ）』等、何人ものバーチャルヒューマンをプロデュース。世界的なブランドのCMに登場したり、有名ファッション誌の表紙を務めたりと、世界が注目する存在となっている。Awwは、バーチャルヒューマンのプロデュースのほか、IPキャラクターやバーチャルファッションの開発などにも取り組み、NFTやメタバース領域のマーケット開拓にも注力している。

そもそもバーチャルヒューマンとは何か。既存の言葉で表現すると、3DCGで制作したキャラクター、アバター、IPである。が、世界が注目し驚愕したのはそのクオリティーだ。あまりに高精細で実在の人物と見まごうほど。実際immaが世に現れたとき、彼女は実在するのか否かという議論とともに、その姿はSNSなどで広く拡散した。「いわゆる、バズる現象が起こりました」と当時を振り返るのは、Aww代表取締役の守屋貴行氏だ。

immaを生み出したのは、Awwの創業者でもある守屋貴行氏と岸本浩一氏の2人だ。映像プロデューサーとして経験豊富な守屋氏と、3DCG業界で著名且つ実業家の岸本氏、2人の技術を融合し、ゼロから創造したのがimmaだ。ピンクのボブヘアーに圧倒的なスタイルとビジュアルを備え、これまでに世界50か国、5000以上のメディアで話題となった。SNSの総フォロワーは100万人を超え、2020年には世界で活躍する実業家や社会活動家・芸術家等と並んで、Forbes社の「Women of the Year 2020」にも選出された。

この唯一無二のタレントに、Porsche、BMW、SK-II、IKEAなど数々の世界的ブランドや有名企業も注目。広告モデルやプロモーションに採用している。神秘的なルックス、imma自身の発信するメッセージへの共感、バーチャルヒューマンを代表するアイコンという付加価値、さらに「最先端」や「未来」のイメージを体現した存在であることから、多くの企業から様々なコラボのオファーが引きも切らない状態だ。

バーチャルヒューマンと同様にAwwも注目を集めている。その先進性と希少性、将来の成長可能性を見込まれ、昨年アメリカのVCが出資。世界の市場を視野に入れ、展開を加速していく。

具体的にどのような事業を手掛けているのか。根幹となるのが、カリスマモデルであるimmaのようなバーチャルヒューマンを開発し、プロデュースやマネジメントを行うテクノロジー×タレントエージェンシー的な業務だ。さらにここから派生し、ライブストリーム配信、海外市場を見据えたアニメ制作、バーチャルファッション、ライセンス供与、AIが搭載されたバーチャルヒューマンの研究等の各事業を展開する。

ライブストリーム配信はスマートフォンのカメラで映した人の表情、体の動きを、バーチャルヒューマンがリアルタイムで同じ動きをするという新しい技術を活用して行うものだ。声は専属のタレントを起用する。2023年6月に配信をスタートし好評だ。今後は新たなバーチャルヒューマンを開発するとともに、「中の人」をオーディションで選び複数のバーチャルヒューマンタレントをデビューさせた。今後は海外でもデビューさせる計画だ。

バーチャルファッションはデジタルとリアルが融合する領域だ。今後、大きく成長するだろう。2023年5月、immaが率いるストリートファッションブランド『Astral Body（アストラルボディ）』がスタート。有形アイテムの販売から始まっているが、今後は仮想空間用の製品も投入し、外部のブランドやパートナーとの連携も進めながら、デジタルファッションWeb3の世界でさらなる展開を構想している。
ライセンス事業は、企業などの要望に応じてオリジナルのバーチャルヒューマンを開発する。すでに何体ものバーチャルヒューマンが活躍中だ。その一つが、中国で活躍しているAYAI（アヤイ）で、中国におけるバーチャルヒューマンプロジェクトの中心的存在だ。Awwは開発だけでなくその後の運用までをサポートする。

このようにAwwはtoC、toBの両面でビジネスを展開する。toCで露出が増えると、toBの引き合いも増える。海外ハイブランドだけではなく、最近では野村證券のNISAのプロモーションにimmaが採用され話題になった。toC、toBともに市場は広がる一方だ。

バーチャルヒューマン自体もますます進化する。今はAI搭載に向けて研究開発を進めているところだ。先頃、日本人ながら海外を拠点とする機械学習の専門家がジョインした。「バーチャルヒューマンのIPとAIを重ねることによって広がるAIの可能性、そしてAwwにしかできないグローバル展開に興味を持ち、仲間になってくれました」と守屋氏。目指すのは機械的に正確な答えのみを返すロボットではない、より人間らしい姿だ。「今、騒がれているChatGPTのはるか先を目指しています。ある意味、違和感なく人間と会話ができるAIのバーチャルヒューマン。仕草や、ときには間違えるなど人間らしい親近感の沸くAIです」（沙羅氏）。今は高精細が圧倒的な強みだが、AIでも際立つ存在になる。それができるだけの人材・技術がAwwにはある。

2023年7月、テレビ東京のワールドビジネスサテライトで、バーチャルヒューマンの快進撃と、様々な事業展開を進めるAwwが紹介された。このように、エンタメ・ビジネスの両面から注目を集めるバーチャルヒューマン。その先にAwwが目指すのは、バーチャルヒューマンの世界的スターを生み出すことだ。ファンコミュニティーができ、経済圏が生まれるような圧倒的なスター。そのとき「バーチャルヒューマンと言えばAww」という存在になっていたい。

バーチャルヒューマンに国境は関係ない。言語の壁もない。Awwのメンバーには海外経験豊富な人材がズラリ。そしてリード投資家はアメリカのVCだ。世界に打って出る土壌は十分にそろっている。サブカルやアニメで知られる日本のイメージも強みに、日本発のバーチャルヒューマンのスターとしてアメリカへ、アジアへ、ヨーロッパへと展開していく。高精細の表現にAIが掛け合わされ、Awwにしかできないバーチャルヒューマンを実現する。Aww単体か産学連携か大企業とのオープンイノベーションか、最適な手法を選んで世界に羽ばたいていくつもりだ。

バーチャルヒューマンに魅せられた優秀な人材も、続々と集結している。海外の機械学習・AI専門家のほか、今回インタビューに答えてもらったプロデューサーを務める沙羅・ジューストーは、先頃、Forbes社の「世界を変える30歳未満の30人の日本人」（Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023）リストに選出された。これまでもグローバルに活躍してきた女性リーダーだ。

沙羅氏自身も日本、アメリカ、カナダで幼少期を過ごしてきた人物だ。日本の良いものを世界に発信したいという思いが強い。技術チームにはゲーム会社など近い業界から来たメンバーたちが集い、ゲームの世界では表現しきれなかったものをAwwで実現したいと意気込む。今ある世界のその先を見たい。そんな思いを持つメンバーばかりだ。バックグラウンドも多様なら国籍も多様。全メンバーの半数弱がバイリンガル人材だ。ためらうことなくチャレンジする人材が集まっていることも強みだ。

これから仲間になる人たちにも期待する。組織はグローバルだが、「現段階で英語が話せなくても、苦手意識がなければ大丈夫です」と沙羅氏。語学力は後からついてくる。何よりビジネスのスピードが速く流動性が高いため、検証とチャレンジを繰り返して自走できることのほうが重要だ。それさえできればカルチャーフィットするだろう。「不確実性を楽しめる人がいいですね。そしてジェネラリストよりスペシャリスト。グローバル展開するけれども日本という価値を外すことはありません。世界1のバーチャルヒューマンブランドになる。その思いに共感する人に来てほしいです」（沙羅氏）。

2022年秋に資金調達を行い、現在は、テックチームを中心に組織を拡充し、本格的にスケールしていくフェーズだ。どんな世界を実現できるか。ワクワクしかない会社だ。