アプリエンジニアのキャリアのスタートは?
新卒でシステム開発会社に入り、業務系システムの開発を担当。大手メーカーの現場で8年間、受発注システムの開発・運用を手掛けていました。Windowsの構築環境でしたが、サーバやその他の機器のサポートが5年で、それに合わせた周期で開発と運用が回っていました。長く同じ現場で働く中で、新しいことにもチャレンジしたいと考え、転職しました。 冷蔵庫や冷凍庫の温度管理プログラムを開発する会社で空調システムの保守をしました。その後、携帯向けの公式サイトを運営する会社でエンジニアをすることになり、AndroidやiOSアプリの企画に携わりました。それまでのキャリアは、業務向けのシステム開発。初めてBtoCの開発を経験し、ユーザーの反応がダイレクトに分かるのが面白く、アプリエンジニアのキャリアを歩みたいと考えるようになりました。
独立したきっかけは?
3社目の会社で、子供の写真を撮影するスタジオ運営事業が新規に立ち上がることになり、エンジニアの私もその担当になることに。プログラミングから離れてセールスをやっていました。会社に営業マニュアルがあって、そこには「自社サービスのストロングポイントを徹底的にアピールせよ」と書いてあったのですが、セールストークが苦手な私は、お客様の声に耳を傾けることにしました。徹底的にお客様の話を聞いて、眠っているニーズを掘り起こして、それをセールスに生かしました。 私のやり方は間違っていなかったようで、部署で売上トップのセールスになりました。今から思うと、あの時のセールス体験が、その後のエンジニア人生で上手く生かせているようです。徹底的にヒアリングする中から、お客様も気付いていない潜在ニーズを掘り起こすことで、より高いレベルで顧客満足が実現することを知りました。エンジニアの仕事も上流になると、このヒアリング力が大切になってきます。思いの外セールスの仕事が楽しかったのですが、会社に対して不満が募っていたので、独立することにしました。
自社アプリ事業を立ち上げた経緯は?
独立当初はWebサイト制作から始め、アプリ開発も手掛けるように。その頃は、受託開発がメイン事業でした。黒字にするまで、とにかく働きました。朝9時から夜の11時まで働き、土日も仕事。このペースでは身体が持たないと思い、自社アプリ開発をスタートさせました。 最初にリリースしたのは、電卓でした。実は、電卓アプリの開発は前職時代に会社に提案して却下されたアイデアでした。プリインストールされているアプリをわざわざインストールして使ってくれるわけがない、と。しかし、私には確信がありました。プリインストールされているアプリには、みんな満足していない。ユーザーが満足するアプリを作れば使ってもらえる。実際、電卓アプリは見る間にダウンロード数が増えて、自社アプリ収益はサラリーマン当時の給与収入を超えました。
独立してから現在までの歩みは?
自社アプリ事業が順調に伸びていたのですが、2016年には頭打ちしました。受託開発も上手くいかなくなって資金繰りに苦労するように。実は、当時一人だけ知り合いのエンジニアを雇用していたのですが、事業を立て直すために会社を辞めてもらい、私一人でSES事業を手掛けて稼ぐことにしました。そこから業績の乱高下を経験し、それもようやく落ち着いて、ここ数年は堅実に業績が伸びているので、会社を安定させる意味もあって、エンジニアを雇用してSES事業の拡大を決めました。 資金繰りが上手くいかなくて大変な思いをしましたが、その中で会社経営について学びました。無駄な経費を削減すれば、自然と黒字になります。業績が良いからといって過度な投資に走らず、コツコツと利益を積み上げていけば、道は自ずと開けます。会社が苦しい時、周囲に相談したところ「会社の清算」を勧められました。しかし、自分が苦労して育ててきた会社なので、いばらの道かもしれないが潰さないで立て直そうと頑張ってきました。だから、私が引退した後も当社が法人として残ってほしいと思っています。
仕事をする上で大切にしていることは?
メンタルも含めた体調管理です。私は毎年新年にブログで今年の目標を書いています。その中に「体調管理」の項目を入れています。現在は、週3日のペースで筋トレを行い、週に4日はランニングをしています。元々運動は嫌いなタイプでしたが、疲れやすかったり朝起きて調子が悪かったりしたので、筋トレとランニングをしたところ、嘘みたいに調子が良い。会社の業績も上がってきて良いことが続く。それで、体調管理には気を配るようになりました。 私にとって仕事はあくまで「手段」です。仕事が全ての人間になってしまうと、家族や趣味の時間がなくなり、味気ない人生になりかねません。家族で旅行したり、美味しいものを食べたり、いろんな経験が人を豊かにすると信じています。私の趣味はバイクに乗ること。20年近くハーレーに乗っています。ハーレーには国産バイクにはない魅力があります。大雑把な作りで特に速いわけでもなく、比較的よく壊れる。けれども、独特の見た目は、ハーレーにしかない魅力です。自分のバイクに見惚れている瞬間が、最高に楽しいです。