株式会社スターシステム

システム開発会社の株式会社スターシステム。名古屋市に本社を構える同社は、大手のITベンダーや機器メーカー等の主要顧客との直取引が売上の80%ほどを占め、顧客に入り込んでエンジニアリングサービスを提供している点が強みだ。契約形態の割合としては、SESが60%、受託が40%。サービス領域の割合では、業務改善（DX）のためのアプリケーション開発が60%、制御設計と車載系組込開発が40%。主要顧客特化や技術領域別、地域別の事業部を設け、専門性・専属性を深めているところが特徴的だ。主な事業部の業務内容は次のとおり。

●主な事業内容
・システムの受託開発
・愛知県に集積する、自動車業界を中心とする製造業向けの車載系組込開発
・主要顧客である大手機械メーカー向けに、制御系からDXまでを包括的に提供する業務
・中小～大手も含めた、DXをテーマにコンサルティングからシステム開発までを担う業務
・大手ITベンダーを中心に、官公庁等首都圏のDX案件に幅広く対応
・大手ITベンダーと共に各種自動車メーカーの販売管理システムの開発案件

●事業拠点
・名古屋本社（愛知県名古屋市）
・東京事業所（東京都港区）
・犬山開発室／犬山ファクトリーセンター（愛知県犬山市）
・広島事業所（広島県広島市）
・伊勢営業所（三重県伊勢市）

主要顧客の大手機械メーカーにおいては、顧客の社内に同社専有スペースを設け、事実上顧客の一部門として機能しているほど密な関係性を構築。同社の事業スタンスの象徴と言える。
業務内容は、エンジニアによるシステム開発が中心であるが、顧客ニーズに対応し、企画部門でのビジネスアシストやPMO等の付帯業務も幅広く手掛けている。

「基本的に、お客様と直取引の上でお客様と一緒になって業務改善や製品開発のお手伝いを行うのが当社のスタンスです。客先常駐や当社に持ち帰っての受託開発という業務形態は、その必要性に応じて使い分けています。お客様との距離が非常に近いので、技術力だけでなく人間力も求められます。したがって、ビジネスマンとしての能力をあげるための育成には特に力を入れています」と代表取締役の稲葉弘承（いなば・ひろつぐ）氏は強調する。

なお、同社には営業専任者は不在で、顧客からの追加オーダーや新規案件の要請、さらに他部門や他社の紹介だけで賄えているところも同社の信頼性の表れと言える。

同社の設立は2005年5月。システム開発会社でSESの営業に従事していた稲葉氏が、エンジニアのより良いキャリア構築を目指して独立・創業した。
「当時、主にCOBOLを使う40代以上のエンジニアの仕事が少ない状況にあったのですが、私はこうしたフリーのエンジニアと当該案件を集めてマッチングする業務に力を入れました。すると、双方から大いに喜ばれ、人も案件もさらに集まってきて非常に充実した仕事ができたのです。そして、エンジニアが落ち着いてキャリアデザインが描けるよう正社員として雇用し、派遣することを会社に提言したところ、雇用リスクを恐れて受け入れられませんでした。ならば自分でやろうと会社設立を決めたのです」と稲葉氏は振り返る。

4年ほどで50名程度までエンジニアを増やしたが、その後離職率も増えていった。その主な理由は「ここでは、なかなかスキルが高まらないので不安」。そこで稲葉氏は人材育成強化に力を入れるべく、優秀なエンジニア等に協力してもらいながら研修制度を整備していった。
一方、案件への取り組みでは、3次・4次請けの悪条件であっても、最後まで責任持って完遂させることにこだわる。こうして泥臭く実績を積むと、徐々に顧客に評価されて信頼関係を構築し、2次、直契約といったように立場が改善されていった。そして、現在の大手企業を中心に直契約が大半を占める存在となる。
「どんな仕事でも絶対に逃げず、コツコツ向き合ってきたことが評価されたと自負しています。これによって、お客様の中に入り込んで長く取引できるようになりました」（稲葉氏）。

この間、エンジニアがプログラミングスキルはさることながら、ヒアリングや要件定義といった上流工程まで担うようになり、顧客と直接やり取りする上でのコミュニケーション力や交渉力、思考力等も高めてきたのである。

そんな同社の経営理念は、次のとおりだ。

【私たちスターシステムグループは常に感謝の気持ちを抱き、徳を積む仕事をする事で、人間力と技術力のある人を育て品格を高める事を目的とする会社を形成します。
全社員が一丸となり、お客様に最大限のサービスを提供します。
ただ利益を追求するだけの会社では無く、仕事を通じ幸福を追求します。
企業価値の向上により、社会に認知され、いい人たくさん（IT）で社会貢献し続ける企業を目指します。】

2023年度の売上高は21億円。これをまずは40億円まで伸ばすことが当面の目標だ。そのために、案件が集積する東京本部の規模拡大と、半導体やIT関連の産業が集積し、市場がホットな福岡地区への拠点展開を図る。
「いずれにせよ、基本は人材力です。そこでリーダークラスのエンジニアを採用し、メンバー育成を強化していくことが不可欠。この『Green』でのご応募を期待しています！」と稲葉氏は呼び掛ける。

同社では経営理念を実現すべく、社員に対して次のような行動指針を掲げている（一部・全11項目）。

・いつも全力でそこにある自分の仕事をこなす
・仕事は楽しく笑顔で心から感謝しながら働く
・常に背筋を伸ばし 身だしなみを整える
・自身の仕事は責任をもって最後までやり遂げる

この行動指針は定性評価の項目にも組み込まれており、年2回の人事考課の際に上司との面談において実践度合いを振り返り、浸透・推進を図っている。また、一般社員からリーダー、マネージャー、エグゼクティブへと昇格する際の指針ともなっている。

同社の理想とするエンジニア像は、技術だけでなくビジネスマインドやビジネススキルも身に付けた総合力の持ち主。そこで、プログラミング等の基礎的な集合研修や各現場で必要な技術を教えるだけでなく、「5S」「7つの習慣」「PDCA」といったマインド/スキルを高める独自のカリキュラムも用意している。特に「PDCA」に関しては、元・重工業メーカーの幹部に専任の嘱託講師を要請し、独自のテキストで徹底的に教えている。そのほか、自己表現力を高める一環で、元アナウンサーの講師が発声練習を指導するといった力の入れ様だ。

そして、ユニークなのが「チャレンジアップ認定制度」。向上心のある社員が、より付加価値が求められる場で活躍しやすい環境を提供するものだ。チャレンジが認められれば、その時点で職務内容に相応しい報酬が毎月の給与にオンされる。チャレンジの成功・失敗基準が予め設けられ、成功すればオンされた給与金額が基本給となり、失敗すればオン分のない元の給与金額に戻る。チャレンジには、一般社員がリーダー職として一定のメンバー育成を目指すことや、より高次元のスキルを要する業務への従事等がある。
「なかなか昇給できず転職を考える社員が、転職のリスクなくレベルアップにチャレンジできる機会としてリテンションにも役立っています」と稲葉氏は話す。

そのほか、次のような社内プロジェクトもある。
・絆プロジェクト：本社と東京本部でそれぞれ隔月のペースで、役員クラスと一般社員の計5～6人が高級な弁当を食べながら会社への思いや意見交換、個人的なアドバイス等を密に行い、会社と社員の絆を深める。
・技プロジェクト：会社の業務とは別に1年間の期間で好きな社内メンバーと新しい技術を使って好きなものをつくるコンテスト。成果物は社員が審査し、優勝者には賞金20万円を授与。
・整流化プロジェクト：受託開発におけるツール類の整備や開発手法の標準化等を行う。
働き方においては、拠点のない地域に移転する社員のフルリモート勤務を認めたり、フレックスタイム制を導入したりする等、柔軟に働ける。

そんな同社が求めるエンジニア像は、経営理念等を理解・共感するとともに、技術だけでなくアナログなコミュニケーション力もあり、若手メンバーや顧客と調和的に業務を遂行できる資質の持ち主。
顧客と密に業務が行える環境を求める人材にとって、同社の募集は見逃せないだろう。