御社設立に至るまで、吉田さんの人生はかなり波乱万丈だったようですね?
はい、社会人になってから起業するまで4社経験しましたが、その間3回ほど体調を崩していますね。とにかくハードワークだったんです。大きな仕事を任され、会社からも評価してもらえていると感じていました。でも気付けば、血圧190超え。妻にもかなり心配をかけました。もう自分を追い込みすぎるのは止めようと思って4社目を辞めた時、「自分はもう、“社員”でいることはないな」と感じたんです。 正直、実際に自分で起業するタイミングまで、起業意識があったわけではありません。父も商売をやっていましたが、その会社を父が畳むのをそばで見ていたものですから、自分で会社を持つのはピンと来なかったんですよね。 でもこれまでの会社で、自分に合った働き方ができないことも痛感していました。ハードワークはもちろん、方向性の合わない会社、人間関係に悩んでばかりだった会社……。だとしたら自分が経営する立場に回り、自分らしく働ける環境を自分で作るしかないと思ったんです。
御社のビジョン「余白のある働き方を広げる」にも繋がりますね。現在は代表としてどんな仕事をされていますか
以前は完全に経営側に振り切っていた時期もありますが、最近はプレイヤーとしても動いています。 最近は私直属のチームも作ったんですよ。代表直下のチームなので「社長室」なんて案もあったんですが、実際に行うのはもっと泥臭く物事を実行して終わらせていくことをミッションにしているので「実行係」というチーム名にしています。 実行係の任務は、誰も手を付けずに社内に転がっているボールを拾うことです。ISMSなどの情報統制とか、このような採用活動のお手伝いとか、必要なだけどだれもできていないタスクを実行する。それから、セールス面もサポートしています。当社のメインのクライアントは中小企業やベンチャー企業が多いんです。でもありがたいことに、大手企業から問い合わせを頂くこともあって。そういった時に、実行係が大手企業向けの泥臭い提案活動を行ったりしていますね。
代表として、吉田さんが日々大切にしていることは何でしょうか
大きく二つあります。 一つは、私もメンバーも「幸せになるために働くこと」。もちろん、お金を稼ぐのも大切なことで幸せになるために不可欠なものではあります。ですが、それがすべてではないので、そのためだけに働くのではなく、仕事を通して何かを手に入れたり、自己実現したりするためにだって頑張れるのではないでしょうか。だからこそ、働くって面白いと思うんです。 その上で大切にしているもう一つのことは、「一人ひとりの価値観や個性を殺さないこと」。組織には様々な人がいますから、「あちらを立てればこちらが立たない」なんてことが起こりがちです。でも、均一な組織にもしたくない。そこで私は、“ルール”はなくてすむならない方が良い、“ガイドライン”を作ってほしいと行っています。みんなを縛り付けるための決めごとではなく、支えるためのベースを作るんです。 社員一人ひとりが目標を持ち、一人ひとりが思う「かっこいい」「面白い」に思い切り挑戦できる。そんな組織を作ることも私の仕事です。
メンバーを大切にされていますね。コミュニケーションで心掛けていることはありますか
当社は基本的にフルリモートワークのため、全国各地はもちろん、海外から勤務しているメンバーもいます。ですが、顔が見えないというのは、やはりどこかで孤独感やすれ違いが生まれてしまう心配があります。 もちろん私が一人ひとりと関わることは心掛けています。ですがそれ以上に、各チームのマネージャーを含めたメンバー間の交流を大切にしてもらっています。例えば「遠くでもいいから会って話せる」制度があります。悩みを抱えていたり、チームのコミュニケーションが上手くいっていなかったりするときだけではなく、チームを作っていくときに直接顔を見合わせて話すだけで、解決する課題ってたくさんあるんですよね。そのときに使う交通費や飲食費の予算も各チームに割り当てているので、少しの間でも会って話してほしいと思っています。 できれば、同じ景色を見ながら一緒に働きたいですから、そういった交流は大切にしています。
最後に、皆さんの退勤後や休日の過ごし方を教えてください
私はもっぱら、土日は家族と過ごしています。妻や娘と庭の畑を触ったり、登山やスキーへ出かけたり。次は娘を釣りに連れて行きたいなぁと思っています。 メンバーに関しても、小さな子供のいる人が多いです。フルリモート・フレックスを駆使して、朝子供を送った後、早めに仕事を始めて、お迎えの時間になればピタッと仕事を終えていますね。一方で一人暮らし等のメンバーは、朝ゆったりと仕事を始めて、その分少し遅くまで勤務する人もいます。ですが、遅い人でも20時までには業務を終了していて、日常的に21時を過ぎても働く人はいないです。 自分に合った「余白のある働き方」、社内でも叶えられているのではないでしょうか。