仕事観についてお聞きします。河代表にとって仕事とは何ですか?
「やらなきゃいけないからやっている」という言葉が、私の仕事観を象徴しています。 昔から世の中にある不条理を見過ごせない性分で、今まで見てきた様々な不条理――例えば、親との関係性に悩んだり、いわれなき差別に苦しんだりしている人々など。不幸な人を一人でも減らし、誰もが自分の生きたいように生きられる社会をつくりたい。学生の頃から持ち続けてきたこの思いが、ずっと私を突き動かしています。 携わる仕事を通じて、少しでも多くの人が幸せになれるように、そして自分らしく生きられるようにしたいと考えています。
創業のきっかけを教えてください。
共同代表である山本との出会いが大きなきっかけです。 まず私自身は、2013年から代表取締役を務めているWarisの「Live Your Life」というビジョンを、生涯を通して実現したいと思っています。私は、学生時代から、女性、障害を持つ方、LGBTQの方など、マイノリティが自分の生きたい人生を生きられるように、さまざまな足かせを取り除きたいという強い思いを持っています。 山本は在宅医療機関を経営する中で、多くの看護師の採用に携わってきましたが、その過程で採用市場が旧態依然であることや看護師があまりにも正当に評価されていない問題に直面した経験があります。看護師は、今後不足する職種のトップクラスに挙がるほど重宝されているにもかかわらず、ほとんどスポットライトを浴びていません。医療機関も従来型の人材紹介会社などに高額な料金を支払って採用するしかないという悪循環が起きています。 山本と知り合うのと同時期にLER*の考え方を知り、山本が「これを日本の医療業界でできたら面白いのではないか」と、私に声をかけてくれました。山本から勧められて多くの看護師さんにインタビューしてみたところ、私が想像していた看護師像や看護師の転職イメージは、実際のそれと全然違うことがわかりました。 転職意欲はあっても、適した媒体がなく情報収集ができない。情報収集したいなら、医師や先輩看護師に聞いて回るしかない状態です。そんなみなさんの困り事を聞いてしまったら、解決しないと気が済まなくなってしまい、私から起業を提案しました。 *LER:Learning and Employment Records。個人の大学等の教育機関の学習データや研修・職業訓練データ(業界認定資格等を含む)、軍事教育データのほか、職務経歴や収入に関する情報を蓄積記録し、個人、教育機関、企業、政府機関の間での共有を目指したデジタルデータ標準である。/経済産業省「第1回 デジタル時代の人材政策に関する検討会」より引用
今後の長期的な展望を教えてください。
短期的には看護師のダイレクトリクルーティングで、年間成約数を伸ばすことが目標です。看護師向けの新サービスとして、学びのコンテンツやキャリアログの開発もこの1〜2年で着手したいと考えています。 さらに、今年中には看護師以外の医療従事者向けのダイレクトリクルーティングにも着手し、拡大したいです。来年度中にはLERの開発に着手する見込みです。 また、2027〜2028年頃のIPOを目指しています。その過程で、2025年を目処に医療機関へのLERの提供を検討しています。職員に学びを提供をしたい医療機関側のニーズに応える目的です。さらに、キャリアログは看護師から医師、療法士、薬剤師、技師などへの横展開も想定しています。N/thestoryで採用された方たちの現場での活躍まで支援できれば、エコシステムになると考えています。 誰もが高齢化社会の当事者です。そんな私たちを支えてくれる医療従事者の方々が生き生きと働けなければ、彼らは業界からいなくなってしまいます。高齢化社会を支えるエッセンシャルワーカーの方々がウェルビーイングできるように、高齢化社会の当事者としてこの事業を進めていきたいと思っています。
社員に対する思いをお聞かせください。そして最後に求職活動中の方々へのメッセージもお願いいたします。
代表の私は「ポンコツ」ですが、社員の皆さんはその分しっかりしてくれていて、「ありがとうございます!」しかありません。 一人ひとりの社員がいなければ、ここまで会社を続けてこられなかったでしょう。苦しい時期でもポジティブに取り組んで成果を上げてくれる姿には、感謝とリスペクトの気持ちしかありません。私が社内で発信する「向き不向きより前向きに」という言葉を、社員達はチームで実践してくれています。 苦しい時期も手を取り合って前向きに進んで行ける力のある方と是非ご一緒したいと思っています。