ご略歴をお教えください。
高校からの推薦で大学の情報科学科に何となく進学し、1999年の卒業後は、その流れで何となくハードとソフトの両方を手掛ける大手ベンダーに入社するというキャリアのスタートでした。1,000名ほどのソフトウェア部門に配属されましたが、仕事は面白かったですね。当時はレガシーシステムからWebに移行する時代で、プライムの立場でお客様と直に接し、面白そうな技術が出てくればそれを取り入れたデモ画面をつくって提案するといったことをしていました。PCの前に座る以上に人と接することが多かったのは、自分に合っていたと思います。 しかしながら、30歳を目前にした時、このままこの会社に居続けていていいのかと疑問を持ち、キャリアチェンジをしたくなったのです。外資系に移るか、スタートアップを経験するか、会計士資格でも取って独立するか、と。そんな時にたまたま人材サービス会社からシステムクォートの創業社長を紹介されたのです。その当初は一つの候補に過ぎませんでしたが、月1回の会食を重ねて半年後に入社を決めました。 同社が実践していた「分社化戦略」に興味を持ったからです。経営を学びながら起業を目指すのも面白そうに感じました。 入社後、その社長の近くでいろいろ学ぶことができました。特に、社長がバブル崩壊で借金を抱えた時、次々に社員が退職する中で五人のメンバーが残って少しの間無給で働いてくれたことで立ち直ることができ、社員の大切さが身に染みた話が印象に残りましたね。その五人に資金を提供し、自らの利益を顧みず独立させたことが分社化戦略の契機となったわけです。 そして私も分社化戦略に応じて、7年後に15名のメンバーと共に当社を設立し、独立しました。
御社をどういう会社にしていこうと考えていますか?
設立時から当社でも分社化戦略を取り入れました。非常に理に適っている考え方だからです。経営者になることを前提とする、主体性のある人材が採用しやすくなるとともに、そういった人材の集団として活性化した環境の中で切磋琢磨し合い、ビジネスにポジティブに取り組み、お客様満足に心を砕くようになるからです。 また、分社化の際は資本金に充当してもらう資金を支給しますが、決して出資ではありません。あくまでもオーナー社長になってほしいからです。したがって、分社化した会社が好業績を上げても当社の利益にはなりませんが、私利私欲よりも人のためになることを考えることも、システムクォートの創業者から学びました。 会社は誰のためにあるのかという議論がよくありますね。法的には株主のためかもしれませんが、私は完全に「社員のためにある」と捉えています。社員がいてくれるからこそ、経営者をやれている、と。
そのために社員に対して期待することや、社員が御社でどんな人生を過ごしてほしいかの思いをお聞かせください。
分社化戦略を掲げていることで、入社した社員には“やらされ感”を覚えている者は一人もいないと思います。アサインされているプロジェクトにはどんな意味があり、どんなことをすればいいのか。このプロジェクトで当社をアピールするにはどうすればいいのか。そんなことを主体的に考えて行動できる者ばかりです。最初は会社から与えられたプロジェクトをこなすことになりますが、私としては社員がやりたいプロジェクトをやりたい人と取り組めるよう、営業や人集めも自らやってほしいと期待しています。 また、会社説明会等の時によく話すこととして、「社会人になるなら経営者を目指してほしい」と言っています。今はどんな会社であっても、ずっと安泰であるとは言えません。また、ビジネスマンは“雇う側”と“雇われる側”に二分されます。雇われの身では、いつクビになるか分かりません。どんな状況になっても、自分の力で生き残らなければなりません。だからこそ、経営者を目指してほしいとの思いがあります。 求職者の方へのメッセージとしては、これまでスペシャリストとしてキャリアを歩んできた方が、マネジメントや経営を意識しゼネラリストになりたいという場合、当社はうってつけだと思います。私自身がそういうキャリアを歩んできましたから。 30歳までに、どんな人生を歩むかとのビジョンを描くべきだと思っています。そして、その先においてはいろいろな経験をし、刺激を受けて視野を広げることでより充実したキャリアデザインができるのではないでしょうか。当社ならば、それが可能であると申し上げたいと思います。
五十嵐さんの仕事観をお聞かせください。
もちろん、食べていくための手段でもありますが、仲間と共に目標に向かって取り組んでいくことにやりがいを感じられると思うのです。仕事とは、そんな手段であると思いますね。つまり、仕事とは人生そのものでしょうか。
オフタイムは、どういった過ごし方をしているのでしょうか?
週1回はゴルフをラウンドしています。社員と回ることも多いですよ。 それと、これは仕事でもありますが、毎晩会食しています。半分は社員とで、残りは経営者仲間やお客様ですね。 社員との飲み会では元気をもらえるし、とにかく楽しいです。社員もみんな好きで参加してくれます。新人でも私を直接誘いに来ますが、そんなフラットな関係性が当社にはあります。