株式会社WUUZY

ECマーケティングに特化したプロ人材と企業のマッチングサービス『ECのプロ』。2024年10月時点で4,500名以上が登録している。このサービスを運営するのが株式会社WUUZYだ。

同社設立者の一人である代表取締役・竹中星矢氏はこう語る。

「日本の人口動態が改善しない今、企業は一人でも優秀な人材を切望しています。また、リモートワークも広まり、都市部・地方関係なく働ける環境も整ってきました。このような社会で、フリーランス人材や複業人材に注目が集まるのは必然と考えています。予算も限られる中、スポットで活躍する人材は企業にとっても貴重な存在で、Win-Winな関係をつくることができるのです」

確かに昨今、ITやマーケティングにおけるフリーランスや複業は広まりつつある。しかし、“EC×マーケティング”に特化している点は珍しい。この領域に着目した経緯を、竹中氏は次のように語る。

まずはEC市場について。ローコード・ノーコード開発やAIが普及し、プログラミングスキルがなくても簡単にサイト構築できる環境が生まれた。さらにEC市場においては、一般の事業者が簡単にネットショップを開設できるサービスが広まっている。実際、ECを活用する事業者は年々増加傾向にある。

「つまり企業やお店にとって、ECの“始め方”というハードルは下がっているんです。しかしそこから先で、実際に商品を世に広げて売上に繋げるという“売り方”のハードルは、未だに高いままではないでしょうか。だからこそ、ECならではのマーケティングノウハウを提供できないかと考えたのです」（竹中氏）。

そしてこの市場におけるフリーランス・複業人材の可能性について、竹中氏はこのように述べた。

「ほとんどのECマーケティングのプロフェッショナル人材は、“自分達の市場価値”を自己認識していない印象です。というのも、彼らの多くはマーケティング企業や広告会社で活躍していたわけではありません。メーカー等で偶然EC担当になって、独学しながら業務に当たるうちに、高い知見やスキルを付けた方々ばかりなんです」（竹中氏）。

多くの企業のECを支えるような、高い市場価値を持つ人材達。その素晴らしい価値を、自分達がそのスポットライトとなって照らしたい。そんな思いを基に、このようなミッションが生まれた。――『全ての人に強みを活かせる機会を』

こうして同社は“プロファースト”な目線で、クライアントとのマッチングを支援。そして設立から5年を迎えた2024年には、博報堂DYグループである株式会社大広へのM&Aを実現させた。

「当社には、非常に多くの優秀なプロ人材が登録しています。プロが活躍する機会を、まだまだ沢山創出したい。そのためにもっと販路を広げたく、大広へのグループ入りを決めました」（竹中氏）。

同社のサービス料金は定額制であり、有名ブランドを持つ大手企業とも、地域の小さな菓子店とも同じ料金体系で取引している。その上かなりリーズナブルだ。大手企業に固執せず、多数の企業とのプロジェクトを進める背景には、「一つでも多くの事業者を支えたい、そして一人でも多くのプロに活躍してもらいたい」という思いがある。

しかしリーズナブルであっても、多くの事業者と取引しようとも、同社のサービスの質は決して低くない。そのポイントは、クライアントとプロとの高いマッチング度だ。

例えば若年層向けのファッションブランドと、高級フルーツを取り扱う青果店とでは、その特性やアプローチすべき消費者はまるで違う。当然マーケティング戦略は異なり、一辺倒な知識や施策では上手くいかない。

しかし同社には、4,500名以上にも及ぶプロが在籍。この中から課題を解決するための最適なプロとマッチングすることで、より高いパフォーマンスが期待できるのだ。もしかすると、クライアントと同じ業態の企業で活躍していたプロもいるかもしれない。

この高いマッチング度には、同社の手厚いフォローも関係している。

同社は登録したプロ全員と、複数回にわたって面談を重ねる。「どのような強みがあるのか？」「どこが弱みで、それを社内でどうサポートできるか？」まで丁寧にヒアリングして可視化。そしてクライアントとプロとの三者面談を開き、担当者がプロの魅力をプレゼンテーションする。

「そのプロの魅力はどんなものか、それをどうプレゼンテーションすればクライアントに響くか、その点をどんな企業よりも研究していると、胸を張って言えますね」（竹中氏）。

ここでいうプロの魅力とは、技術や知見だけではない。価値観やキャラクターも重要な“魅力”として大切にしている。その姿勢を象徴するプロジェクトを紹介したい。

とある健康食品会社は、自社ECサイトを手掛けるプロの採用にじっくり時間をかけたという。同社はクライアントの課題にマッチしそうなプロを複数人ピックアップし、全員と三者面談を重ねた。カスタマーサクセス担当者はこう振り返る。

「クライアントは最終的に、“考え方や価値観”までマッチしたプロを指名されました。もちろんスキルも大切なのですが、こういった“人柄”をすり合わせることも重要なんです。人として一緒に仕事をする仲間ですから」

だからこそ同社は、プロ一人ひとりを、できる限り深く理解しようと努めるのだ。

その結果同社は数々の事業から信頼を得て、毎年200～300%レベルで成長を遂げている。新規商談数も月200社以上を達成。ウェビナーには月約2,700社の企業が申し込んでいる（2024年10月時点）。

しかし、同社は現状に満足しない。「私達の目標は、EC支援のリーディングカンパニーになることです」と竹中氏は語った。都市・地方関係なく、あらゆる事業者から頼りにされる存在だ。そのためにも、『ECのプロ』での人材マッチングをはじめ、クライアントの課題をスピーディーに解決する新サービスも展開していく。

『全ての人に強みを活かせる機会を』――実は同社はこのミッションの下、社員とも真剣に向き合う。その結果は、離職率が創業以来0%（2024年10月現在）という事実にも表れている。

「プロの方と同様、社員に対しても個性をリスペクトしたキャリア支援体制を整えています。それぞれの強みを存分に生かすにはどうすれば良いか。それを一緒に考えるんです」（竹中氏）。

ここで特に取り上げたいキャリア支援体制は二つある。

一つ目は、教育制度。

同社は業界未経験でスタートしたメンバーが多い。そのような人も立派に活躍できるよう育成するため、同社では「マニュアル」「オペレーション」「オンボーディング」を軸に置く教育システムを築いた。

まずは、IT業界やEC市場の知識を基礎から学べるマニュアルを作成。次に、入社から独り立ちまでの研修スケジュールをしっかり組み立てる等、研修を徹底的にオペレーション化。そしてオンボーディングでは、新メンバー一人に対して、マネージャー以上のメンバー二人（直上司とメンター）が付き、責任を持ってフォローしている。

「もちろん本人の努力は欠かせませんが、 “一定のラインまでは会社の責任としてしっかり育てていく”という気概を持って、教育システムをつくり上げています」（竹中氏）。

そしてもう一つのキャリア支援体制は、ジョブローテーションだ。

同社では半年ごとに部署異動できる機会を設けて、社員の20%ほどが異動しているという。

「このジョブローテーションは、決して会社都合のものではありません。メンバー一人ひとりに“本当に自分に合ったキャリア”を見つけてもらうためのものです」と竹中氏は強調した。

入社時に判断した適性が、必ずしも正解とは限らない。本人の希望するキャリアも、仕事を進める中で変わるのは当然のことだ。メンバーがよりやりがいを持ち、より高いパフォーマンスを発揮できる場所へアサインすることは会社の責任である、と竹中氏は述べた。

その責任感はかなり強い。というのも同社では、なんと毎週1on1をメンバー全員と実施しているのだ。相手となるのは役員クラスのメンバー。フリートークや悩み相談を通じて本人のキャラクターや価値観を掴む場でもあり、理想の将来像についてとことん話し合う場でもある。

もはや同社は、“プロファースト”であり、“社員ファースト”ではないか――。取材者がそのように投げかけると、竹中氏は間髪入れずにこう答えた。

「もちろんです。事業やサービスに負けないくらい、私達は“社員と向き合うこと”に全力を注いでいます。当社には、ハングリー精神や向上心が強く、真っすぐに仕事と向き合う人ばかり揃っているんです。そんなメンバー達がもっともっと誇れるような組織にしていくつもりです」

自分のキャリアを見つめ直したい。もっともっと自分はやれるはず――。あなたに今、そんな気持ちが渦巻いているならば、ぜひWUUZYに飛び込んでみてほしい。「これだ！」と思える自分と、きっと出会えるはずだ。