<strong>業務役員 人事部長　 西田 直樹 氏</strong> 1982年、大学卒業後に富士火災海上保険株式会社に入社。以来、11年半をIT部門でSEとして従事した後、労働組合に4年間出向。その後、社長室、経営企画などを経て、2006年から現職。

御社の人事ポリシーについて教えてください。

私が若かった頃の日本では、損保業界は護送船団などと呼ばれており、何もしなくても会社はどんどん伸びていきました。そのような中では、個々の社員のキャリアは会社の成長と直接リンクするものではありませんでした。しかし、規制がなくなって自由競争の時代に入り、会社はこれまでのようには伸びなくなってきます。すると、従来の人を“マス（塊）”で捉える人事では社員を幸せにできず、幸せでない社員が会社を成長させることはできないという状態になってきました。今の損保業界では、社員一人ひとりの意志を尊重し、できる限り会社の事情とマッチングをさせることが必要なのです。そうすることで、社員がモチベーションを上げて仕事に取組める。換言すればこのマッチングこそが、人事が果たすべき機能になってきたのです。 そこで、当社では、社内FA制度や社内求人制度、自己申告制度などを設け、個人が意志を表明できる仕組みを整えてきました。一方で、社内カウンセリング制度を立ち上げ、キャリアワークショップというものを開いています。これは、カウンセリング資格を取得した人事スタッフが、社員のキャリアの相談に応じるもの。時には、本人も気づいていないようなキャリアの可能性を提案するようなこともあります。積極的にマッチング機能を果たすべく、当社の人事部は進化し続けています。

中途採用で重視することは。

経営テーマに「変革」を掲げていますので、それを本当にもたらすことができるエネルギー源となる人を求めています。金融業界での経験はまったく問いません。その分、教育コストがかかったとしても、むしろ、変革を起こすポテンシャルを買います。面接で直接お話をしなければ何も分かりませんから、書類選考よりも面談を重視しています。当社は今、変革の時にあるのです。何でもやってみたいと言う好奇心の旺盛さを何よりも重視します。

御社の社風はいかがですか。

堅苦しいルールやしきたり、敷居の高さなどがない、なじみやすい会社だと思います。 中途入社の人数も多く、いろんな人がいますので、中に入ってしまえば意識することもなくなると思います。また、好奇心がある人にチャンスを与えられる会社です。研修はすべて自主参加ですし、海外研修に参加していただく機会もあります。 会社に溶け込んでもらう策として、以前は2週間だった導入研修を一気に2ヶ月に伸ばし、現場とのギャップがない様に、綿密に育成して違和感なく仕事を始めてもらえるようにしています。研修の内容も、日々、進化しています。 また、配属後のサポートとして、研修スタッフが「エルダー」として相談相手になります。エルダーとは、一般に言うメンターのようなもの。上司には言いにくいようなことも、エルダーに相談することができるようになっています。また、問題があればすぐに私にも連絡が入るようになっており、適切な対策を取れるように配慮しています。入社後3年くらい経って、その人が安心して全力投球できるようになるまで、きちんとサポートしていきます。

社長はどんな方なのでしょうか。

“人と違うこと”しかやらない人です。また、とても頼もしい人物だと私は思っています。 損保業界は、これまでずっと競争もせず、皆で同じようなことをやってきました。経営方針、商品、価格も横並び。しかし、今は差別化の時代です。そのような中で、彼はとても頼もしいリーダーシップを発揮してくれていると思います。当社は、規模では大手に勝てないかもしれませんが、“変わった”損保になることはできます。変化のリーディングカンパニーを目指して、彼がどんどん引っ張ってくれていますよ。 また、彼はいつもニコニコしていますね。よく怒りもしますが、女性には優しい社長です。彼の就任後は特に、女性社員へのキャリアサポートが充実しました。その一つの表れとして、彼の就任当時、立った一人だった女性の管理職が、現在は25人になっています。物腰も柔らかいので、やはり女性社員にも人気がありますよ。