京都大学工学部数理工学科卒業。米国マサチューセッツ工科大学（MIT）大学院機械工学科ロボット工学の分野で博士号( Ph.D. )取得。産業用ロボットなどの各種産業装置の制御機能を向上させる制御ソフトウェアを開発。その研究成果をもとに1998年、米国ボストンでSoft Servo Systems, Inc.を創業。その後、日本法人、韓国法人を設立し、代表取締役社長を務める。2023年3月からモベンシスグループ会長に就任。

ご経歴や学生時代のことを教えてください。

京都大学大学院に進学後、MIT教授と共同研究する機会があり、その教授の誘いでマサチューセッツ工科大学（以下：MIT）に留学することになりました。これだけ聞くと、華々しい人生のように感じられるかもしれませんが、若いころは波乱の人生だったんです。運良く京都大学に入学できましたが、高校は家庭の事情で中退しなければいけなくなりました。アルバイトに明け暮れながら高卒認定試験を取り、大学受験と沢山苦労をしましたね。MITに入学後は、ロボティックスを専攻して博士号を取得し、その後はMITで研究助教授として5年間勤務しました。 学生時代は、「自分は一体何者で、何のために世の中にいるのか」をよく考えていました。理系だけでなく、社会系や哲学系の書物を沢山読みました。4年生になって配属になった研究室は、いい人ばかりで、何か新しいことを生み出そうとする環境が好きでしたね。「何か世間にない新しいことを生み出すこと」こそが、自分の存在意義だと意識を持つようになりました。これは今のモベンシスの経営理念にも繋がっています。 また、MIT時代は死に物狂いで勉強、研究に明け暮れ、土日の休みもほとんど取れないくらいで、地獄のような日々でした。（笑）そこを乗り越えられたことで、モベンシス起業後の色々な苦労も前向きに乗り越えられたと思います。

会社設立の経緯、きっかけを教えてください。

MIT研究助教授時代に、ロボット制御を向上させる研究をしていたのですが、既存のロボットコントローラ（HW）では、いくら制御理論を考えてもそれを実装できませんでした。そこで思いついたのが、「市販PCのソフトウエアだけで自由に制御理論を実装できる環境」です。それが現在のモベンシスのコア技術である「ソフトモーション技術」の原点になっています。PCだけでロボットが動作するデモを見た企業から、製品化を望む声があり、同僚と起業しました。

創業からの道のりはどのようなものでしたか？

とても大変な道のりでした。。今でこそ時代も変わり、ソフトモーションはスマートファクトリー時代の新たなソリューションとして色々なメーカに採用されていますが、創業当初は、なかなか受け入れられませんでした。 今思えば、我が社の技術は10年以上時代を先取りしたものだったので、みんな半信半疑だったんだと思います。なので、資金繰りにはいつも苦労し、ギリギリの経営状態が続きました。 そんな中でも、我が社の技術を信じてついてきてくれた従業員、投資をしてくれた投資家、顧客の方々がいてくれたお陰で、なんとか生き延び、現在の発展に繋げることができました。

現在のモベンシスはどのようなフェーズにいるとお考えですか？また、今後のビジョンを教えてください。

ちょうどスタートアップフェーズから急成長し、大手企業と十分に競争できる状態にまで来ています。IPOも視野に入れて動いているところです。 日本、韓国、韓国、中国の各拠点に在籍している優秀なエンジニアが1つのチームとなり、世の中にない技術の開発のために熱心に研究に励んでくれています。また、MITをはじめ、各大学との共同研究も盛んに行っています。三菱電機を含め、多くの大手企業と事業・技術提携を結んでおり、世界市場で勝負できる基盤を作っているところです。 今後のビジョンとしては、我が社のソフトモーション技術が世界のスマートファクトリーのプラットフォームになることを目指しています。 工場の自動化、スマート化が急速に進む現代において、工場内のデータ活用や、AI、デジタルツインのようなIT技術との統合が喫緊の課題となっています。その流れの中で、各装置の制御はPLCのようなハードからPCベース、ソフトウエアベースのソフトモーション技術に急速に移行しています。 我が社はソフトモーション技術のパイオニアとして、新しい技術を開発し続けることで、世界のそのような流れを加速化させ、グローバル大手FA企業とも対等に連携し合っていきたいと考えています。

応募者にメッセージをお願いします！

縁があって、かつ我が社を信じて入社してくれた社員は、宝のように大事な人材です。私としては、社員一人一人が成長できることを最優先にしています。もちろん、末長く我が社で勤務していただければ最高に嬉しいのですが、事情があって転職されたとしても、我が社で経験したことを、より大きな会社やより責任のあるポジションで活かしていただけたら、私としては嬉しい限りです。 我が社は社員同士の仲が良く、お互いを助け合うという企業文化を大切にしています。また、技術者、非技術者に関わらず、一般常識にとらわれない、「社会、世界を変えたい」という熱くクレイジーな社員が多く在籍しています。そのような企業文化に共感し、一緒に歩んでくれる方にぜひ入社していただきたいです。 モベンシスはまだまだ小さな会社ですが、世界各国に拠点があり、複数の大手FAメーカと取り引きがあるグローバル企業です。今後よりグローバルに事業を拡大できるよう、社員一丸となって頑張っています。ぜひこの成長過程の主要メンバーとなり、自分の存在価値を強く感じてください！