イー・エージェンシーを立ち上げた経緯について教えてください
イー・エージェンシーは、学生時代に出会った仲間と、私が大学を卒業した翌年の1995年に立ち上げた会社が始まりになっています。 実は、私は別の会社に就職するつもりだったんですが、その会社の入社前研修に参加した際に、とあることがきっかけで「この会社で人生が終わってしまうのか・・」と考え、内定を辞退したんです。 その直後に阪神・淡路大震災が起こったのですが、ニュースを見ていたら「電話が繋がらないため、インターネットで連絡を取っている」という話が紹介されていたのです。インターネットという言葉を初めて聞いたのはその時でした。 私は気になったことはほうっておけないタイプなので、インターネットについて早速調べ、パソコンやモデムなどの機器も揃え、実際につないでみました。本に書いてあった通りにチャットにつないで「Hello」と打ち込んだら、見ず知らずの人から「Hello」と返事が返ってきたんです。これが衝撃的でしたね。誰だかわからない相手から返事が来たことが怖かったのと同時に、「これしかない」と思ったんです。それが、私がインターネットを自分の生業にしようと決めた瞬間です。 そこからすぐに検索エンジンを立ち上げたのですが、当時はまだウェブサイト自体が少なかったこともあり、世界中からものすごい数のアクセスがありました。こちらは個人でやっているのに「事業提携したい」という連絡が来たり、あらゆるビジネスの話が届いたりするように。じゃあ広告をつけてみようという話から、法人にしようということになり、イー・エージェンシーの前身となる会社を立ち上げた、というのが経緯となります。
経営者として大切にしていることは?
会社の成長フェーズによって変わってきてはいますが、今の時点でいうなら「将来につながる環境をいかに作るか」を常に大切にしています。 それは、自分自身も含めて特定の人やモノや状況に依存していては成長できないからです。そのためにも次の世代が「この仕事は面白い」と情熱を持ってもらえるように環境を整えておく必要があると思っています。次の世代の人たちが活躍するための環境づくりについては、いつも考えていますね。 会社を立ち上げたばかりの頃は、「仕事」を起点に物事を考えていました。しかし、今は「人」を起点に考えるようになっています。「その人に合う仕事とは?」「一人の人としてどんな繋がりやコミュニティを持てば楽しいのか?」…そんなことを考えるようになっています。
ご自身の性格についてどのように分析されていますか?
まさに起業を引き寄せたインターネットの話がそうなのですが、「気になったら動かずにはいられない」というタイプで、「とりあえず行動してみる」ことを大事にしています。 よく人は行動する手前で何が正解なのかを探そうとしてしまい、結果、自分で無理だと答えを出してしまったり、動くタイミングを失ったりしてしまうものです。大学の時に気づいたのは、実はすぐに行動する人というのは、世の中にはほとんどいないということでした。 私はそれまで、社会はすごいアイデアを持った行動力のある人たちが動かしていると思っていました。ところが、必ずしもそうとも言えないし、逆に頭が良くて勉強ができる人ほど、行動しない傾向があると気付いたんです。だったら、勉強がずば抜けて得意なほうではない自分でも、すぐに行動することを武器に、人とは違う人生を歩めるかもしれないと思いました。 結果的にそれが会社を経営するところで本当に役立っています。今でも、何かあればすぐに動き、すぐに対処することを心がけています。それだけで、相手は本当に喜んでくれるものなんです。 実は最近、子供の影響で虫のYoutubeにハマっているのですが、これも興味を持ったら調べずにはいられないという性格がきっかけで夢中になりました。 ただ、いろいろなことに興味があるものの、「これ」と特定できるような趣味がないため、そこが自分の弱みなのかなと思ったりもしています。
常に心がけていることや意識されていることはありますか?
『頭を切り替える』ということを常に心がけています。 悩んでいる時間というのは、心身ともに良くないですし、そのことで時間を取られてしまえば周囲に迷惑をかけてしまいます。私はあるときに、頭を切り替えないことがどれだけ人生において損失であるかということに気づき、それ以来、できるだけ瞬時に頭を切り替えるよう心がけています。 そのための私の一番の方法が、スポーツ。特に水泳です。泳いでいるときは余計なことを考えないというか、とにかく頭の中がフラットなんです。そういう意味では「筋トレ」も効果的ですね。
座右の銘を教えてください
行動するときに大事にしているのが「信じる力」という言葉で、これは以前、仕事でお世話になった方から頂いたものです。 誰かと仕事をする時に、自分自身がどこまで相手のことを信頼できるか、信じることができるか、そこが常に問われていると考えています。自分の気持ちは相手にも伝わるからこそ、お互い本気で信頼し合って仕事ができれば、それは素晴らしいことだと思います。 「信じる力」は「力」ですから、自分の力量が問われるものです。いきなり知らない人を信じるのは難しいですし、事前に調べて信頼に値するのかなどいろいろ考えてしまいますが、人と接する経験を積み重ねながら、相手から引き出すことも含めて私自身の「力」としてしっかり養っていきたいと思っています。