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インタビュー画像代表取締役社長 綾部貴淑氏 1971年千葉県生まれ。東京工業大学情報科学科卒業。日本オラクルを経て、IAFコンサルティングへ。ITコンサルタントとして企業の課題解決にあたる。仕事の傍ら、起業への強い意志を持ち、中小企業診断士の資格取得にチャレンジ。独自に編み出した学習法で合格を果たし、2008年にこの学習法を事業化した「スタディング(旧通勤講座)」をスタート。2010年、KIYOラーニング設立。本格的にビジネスパーソンの教育、目標実現を支援する事業を展開。

起業の経緯を教えてください。

社会人になった当初から、自分で事業を立ち上げたいという思いは強くありました。何故かというと、既存の仕組みの中で仕事をするのではなく、新しい物事を作っていくのが好きだからです。ただ、その思いはあっても何をやったらいいのかがわからない。そこで、自分がお金を出したことや困ったことを事業にしたらいいのではと考えました。 そのときに思い出したのが通信教育です。実は、中小企業診断士の資格講座に申し込んで、結構高いお金を払ったのに、すぐに挫折してしまった経験が二度もあったのです(笑)。このことから学んだのは、ビジネスパーソンにとっては、机に向かってみっちりテキストを読むという行動が、そもそも無理だということ。そこで色々な勉強法や心理学、脳科学、MBAのメソッドなども調べて研究して、思考ツールの「マインドマップ」をベースにした勉強法を考えました。膨大な中小企業診断士のテキストの内容を、100枚ほどのマップにまとめて読み返したのです。 記憶はつながりで覚えるので、関連性を表現すると記憶も整理されます。短期間で復習もでき、しかも持ち歩ける。これはいいと思いました。そして、実際に合格。「これはもう事業化するしかない」と。この教材と、当時はiPodなどの音楽プレーヤーが出てきていたので音声教材がいいのではと思い、音声を聞きながらマップを見て教材を整理するというコンセプトを考えました。そこで実際に教材を作り、事業を立ち上げたというわけです。

この事業の目指すところを教えてください。

根底にはまず新しい価値を生み出したいという思いがあって、会社という器を作りました。私にとって会社は、単に売上を上げたり、知名度を上げたりが目的ではなく、それによって大きく言うならば、世界を変えていけるような新しい商品やサービスを生み出していく場にしたいのです。競合に勝つことが目的でもなく、新しいことを切り拓く。業種は違いますが、例えばアップル社がなければ、世の中にスマートフォンは存在しなかったかもしれない…というのと同じように、当社がなければできなかっただろうということを、教育の分野でやれたらいいなと思っています。 そしてそれは、単に資格を取得して終わりというサービスではありません。本来、資格を取るのは、合格後に何かやりたいことがあるからなので、その夢もサポートしたい。実際に今、少しずつ始めています。例えば中小企業診断士は、去年から合格者の集まりをスタートしています。当社のスタジオで、合格者の方に出演してもらって、合格後にどうしたら独立できるかといったテーマでライブ講座をやったりも。そのような活動を通じて、その方たちの中で新たなビジネスを一緒に始めるなどの展開も、実際に出てきています。 スタディングというプラットフォームは、単なる資格講座ではなく、その人の夢に向かって進んでいけるようなキャリア開発のプラットフォームになっていきたいと思っています。

御社の仕事のやりがいは何でしょうか。

ユーザーの役に立つ革新的なサービスを立ち上げて、会社が成長する中で、自分自身も役割を見つけて成長する。それが一番のやりがいではないでしょうか。当社は今、大きく動いています。去年も来年も同じことを、同じ規模でやっているような世界とはまったく違う。来年は社員数が倍になるかもしれないし、講座数も倍々で増えているかもしれません。 そしてもう一つは、やはりBtoCならではの手応えですね。自分が受講するかもしれないし、友達に勧めたりもできるし、受講者の声も、オンラインとオフ会の両方を通じて直接聞けます。そこで実際に「役に立ちました」、「いいですね、これ」と言ってもらえるのは大いに励みになります。私自身も前職はBtoBのITコンサルタントだったのですが、ふりかえると担当者レベルの「助かりました」という声はいただくものの、当社で得られるようなお客様の役に立つ実感はなかなかなかったですね。

学びについて、社長ご自身のお考えを聞かせてください。

学ぶのは「目的」ではなく、何かやりたいことがあり、それをかなえるための手段だと私は思っています。学ぶこと自体ももちろん喜びですが、私どものビジネスでいうならば、学ぶこと自体よりも、その人が活躍することを目標にしたいと考えています。 この先は本当に私の主観ですが、今の日本は、個々人の能力をあまり活かせてないように感じるのです。会社の因習とか周りへの気遣い、上司の圧力など、個人の能力を発揮できない要因が多々あって、その結果、日本は世界の中で地位を落としてしまったのではないでしょうか。かつてはHONDAとかSONYとか、世界的に知名度の高いものを生みだしたポテンシャルがあるはずなのに、今はそれがありません。 一人ひとりの能力を活かすために私自身が、そして当社ができることは何かというと、今、みんなが忙しすぎて一歩も前に進めないでいる、その状況をまず変えること。少しずつでも前進してもらえれば、きっと新しい景色が広がる。その一歩一歩の積み重ねで、その方たちが、私がいなければ実現できなかったような夢を見つけ、スキルアップするという姿を目指していきたいと思っています。 「勉強しないと遅れてしまうよ」と危機感をあおるアプローチは、私は好きではありません。もっとみんなにはポテンシャルがある。そのポテンシャルを発揮するお手伝いをするというのが、当社の基本的な考え方ですね。

最後に目指す会社像を教えてください。

第二創業期としていよいよ本格的に横展開するために、昨年から、採用に力を入れ始めたところです。組織もこれから作っていく段階ですが、私としてはプロスポーツのチームのようなイメージを持っています。サッカーでも野球でも、人それぞれ役割は違いますが、目標は一緒で、そこに向けて切磋琢磨し、サポートしあい、成果を上げていく。そんな常勝集団になりたいですね。 いつも勝っているチームであるために大事なのは人の成長。今後、事業が大きくなるにつれ、私がカバーできない範囲も増えてくるでしょう。ですから、これからお入りいただく皆さんにはどんどん独り立ちしてもらって、プロプレーヤーとして世界に打って出るような、そんな組織を作れたらいいと思います。その中で私も一人の役割として参加していきたいですね。

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