セーフィー株式会社

セーフィー株式会社と聞いて「防犯カメラの会社でしょ」と思ったなら、それは同社のごく一部しか見ていないことになる。なぜなら、セーフィーは“映像から未来をつくる”というビジョンを掲げ、「日本中、世界中の映像をクラウド化し、社会のために誰もが活用できる映像プラットフォーム」を創ろうとしているからだ。映像を社会インフラ化することによって「どこでも場所という制約を超えてつながれる世界」を生み出す。さらに、AIをはじめとした技術や多様なシステムと連携させることで、単なる映像を「第３の目」へと進化。それを活用することで、私たちは意思決定のスピードや質、効果を飛躍的に高められるなどのメリットを享受できる――そんな次代をセーフィーは描いている。

「このビジョンへ向かうための最初の一歩が、防犯というフィールドでした。きっかけは単純なもので、家を建てることになった際、防犯設備を導入したいと思ったからです。しかし、調べてみると専用の機器を備え付けなければならず、アナログ方式で画質が悪いのに価格は非常に高い。正直、これほど遅れている業界なのかと驚いたほどです。これなら低価格で安心なシステムを提供できればビジネスになると考えました」（代表取締役社長 CEO・佐渡島 隆平氏）

クラウドを活用することで、カメラ以外の専用機器や難解な設定が不要な仕組みを構築。HD高画質を自動録画し、スマホやパソコンなどで簡単に映像を確認できるサービスを、従来型防犯カメラシステムのおよそ10分の１という低価格で実現した。

加えて、顔認識など画像処理を行えるアプリケーションやLTEモジュールとバッテリーを内蔵しグループ通話が可能なウェアラブルクラウドカメラなど、機能やバリエーションを拡充していったことで、活用シーンも大きく広がっている。
「飲食店に設置されているデシャップ台（調理した料理をホールスタッフに渡すときに置く台）や接客の様子を映像で確認してスタッフ教育の素材に活用したり、複数の工事現場の様子をウェアラブルカメラで映し出し、遠隔で映像を確認しているベテラン管理者がその場にいるかのように細かく指示を出したり。顔認証技術で来店客の属性分析に活用する店や再来店客が来たら通知で知らせてもらい接客の質向上に活用する店など、防犯カメラという受け身の利用からより積極的な映像活用へとセーフィーの利用シーンはどんどん拡張していっています。」（佐渡島氏）

その結果、設立からわずか3年でクラウド録画サービスシェア１位(※1)、クラウドカメラの出荷台数においてもシェア約48％という圧倒的な数字に達しているのだ。
(※1)テクノ・システム・リサーチ社調べ「ネットワークカメラのクラウド録画サービス市場調査」より

セーフィーは、キヤノンマーケティングジャパンやセコム、NTTグループなどにサービスをOEM提供している。これほどの大企業が同社のサービスを選ぶ理由には、サービスとしてのクオリティや拡張性だけでなく、セキュリティレベルの高さもある。
「一般的なネットワークカメラの場合、悪意ある第三者がカメラに不正アクセスして映像を取得したり攻撃したりすることはそれほど難しくありません。しかし、セーフィーは独自の強固なセキュリティを構築することで外部からカメラへアクセスすることはできないようになっています。この安心感があるからこそ、機密性の高い映像を扱うサービスやマーケティングなどに活用いただけているのです」（佐渡島氏）

しかし、セーフィーが映像プラットフォームとして定着するためには、「まだまだすべきことがある」と、取締役 開発本部長 兼 CTOの森本数馬氏は続ける。
「プラットフォームになるには多くの人が集まる“場”にしていかなければなりません。多くの人を集めるには、提供できる“価値”をどんどん増やしていきサービスクオリティをより一層高めていく必要があります。自動で検知し解析もできるAIカメラの開発など、クラウド式カメラだからこそのサービス開発を行っています」

一つの例にすぎないが、自治体による洪水対策への応用も視野に入れている。洪水の可能性がある河川にクラウドカメラを設置しておく。そのうえで、過去危険水域まで増水した際の天気図をAIに分析させ、似たような状況になった際、AIが自動で判断して映像の録画を開始。AIカメラによって増水の状況を監視して水位が危険域まで上がったらアラートを出す。これができれば、避難計画の立案や避難指導などに人的リソースを振り向けられるし、人的ミスを防ぐことにもなる。また、１年間のうち、注視すべき期間は数日程度でしかない洪水対策のために、高価な監視カメラシステムを自前で準備するコストを削減することにもなるだろう。
「大雨の危険があると録画がはじまり、水位が基準を超えたらアラートを出すというフローをローコード、あるいはノンコードでプログラミングできるようにすれば、IT知識の有無に関係なく現場での運用が容易になるでしょう。このように。私たちにできることは発想次第でいくらでもあります。実際、AIカメラやノンコードの仕組みなども2022年のローンチを目指しているところです」（佐渡島氏）

ただ、問題なのは、こういったチャレンジングな取り組みを担い、事業成長を加速させていくための人材がまだまだ足りないことだ。

セーフィー株式会社には、大切にしている『Culture＝価値観・行動規範』がある。①夢を語りまきこみやりきる、②先義後利、③異才一体、④迷った時はやってみる、⑤想像を超えろ、⑥超自分ごと化、⑦三方よしという７つだ。

同社が実現しようとしていることは、「映像の社会インフラ化」という未知なる世界である。その過程にはゼロからイチを生み出さなければならない場面が数多あるだろう。それを粘り強くやりきるためには“想い”が不可欠であり、その想いの強さが周りにいる人たちを巻き込む力にもなる。しかし、想いが単なるエゴであっては世の中に広まっていかない。あくまでも社会課題にフォーカスし、現場の人が感じる小さな「不」を解決するために大胆に挑戦するマインドが大切になる。そして、大きな成果を生み出そうと思えば、一人よりも多様な価値観や異なる才能が一体になったほうがいい――。
「このようなCultureを胸に刻み、行動するメンバーたちが、PDCAを高速で回しながらビジョンの実現に向かって走っているのが、セーフィーという組織です。新たな仲間も、７つのCultureに共感し、課題解決への強い想いを共有できる人であってほしいと思います」（佐渡島氏）

セーフィーで開発に携わる魅力を熱く語ってくれるのは、森本氏だ。
「AIやクラウド、IoTといった話題性の高い技術に触れる機会があるだけでなく、デバイスの組込ソフトウェアやWeb・モバイルのアプリケーション開発、セキュリティなど幅広い開発要素に関する経験や知見を積むことができます。当社が処理しているデータ量は365日24時間稼働のクラウド録画サービスということもあり10ペタバイト以上と圧倒的な大きさで、めったにお目にかかれない大規模なサーバ・インフラの開発に触れることだって可能です。何より、自分たちがつくり上げるサービスによって社会課題を解決していけるという手触り感は、モノづくりをする者なら一度は味わってみたいものだと思います」

夢を語りまきこみやりきることを大切にしているだけあり、まだまだ語りつくせない魅力がある。ここから先は、ぜひ直接セーフィーのCultureや熱量を感じながら自らの目で確かめてほしい。