はじめに現在の仕事についた経緯を教えてください。
私は2005年頃から約6年間、中国上海市で仕事をしていました。上海では現地の日本人同士が週末に集まりフットサルを楽しんでおり、そのメンバーの中には現在私が代表を務める株式会社Looopの創業者である中村もいました。Looopには中村からの誘いで入社することになりましたが、エネルギー業界に知見や経験がなかったため、すぐに入社を決断できませんでした。 その後、中村から何度か誘いを受け、2011年12月に幕張メッセで開催された展示会に見学に来るよう言われました。業界を知る良い機会と思い展示会に行ってみると、なんと私の名刺が「セールスマネジャー」という肩書で用意されており、展示ブースの担当者は私がその肩書で展示会場の来場者対応を行うものと考えていました。こうして私は展示会を手伝うことになり、その流れでLooopに入社することになりました。 Looopに入社した当時は社員が5名程度でしたが、13年後の現在では約300名に増え、売上高も500億円規模に成長しています。この成長の中で、私は営業、調達、企画、管理など様々な職種を経験し、2023年4月に代表取締役社長に就任しました。
Looopのミッション、ビジョンについて教えてください。
Looop設立のきっかけは、東日本大震災に際して、取引先から太陽光パネルの提供を受け、電力供給の途絶えた避難所などにパネルを設置して回るボランティアに取り組んだことにあります。「どんな時でも電気を届けたい」という思いから創業しました。 現在、太陽光や風力の再エネ発電所の開発やメンテナンス、電力小売事業まで手掛ける私たちLooopのビジョンは「エネルギーフリー社会の実現」です。 このビジョンで私たちが目指すのは「人々がエネルギーを自由に使い、新しい価値を創造し発揮することで、持続的な豊かさを実現できる社会」です。 エネルギーが「フリー」(自由)に使えるようになるには、エネルギーが未来に対してサステナブルで、かつ安価で安定供給できるものでなければなりません。その最有力候補が再生可能エネルギーであると考える私たちは再生可能エネルギー普及に向けた課題解決を行うことで「再生可能エネルギーのニーズを引き起こしていく」ことをミッションに掲げて活動しています。
再生可能エネルギー業界における、貴社の強みについて教えてください。
創業後はお客様の必要なもの、ニーズに合ったものをスピーディーに市場へ投入し続け、おかげさまで「Looopでんき」の低圧契約件数は30万件(2024年7月時点)を突破し、成長を続けています(※1)。必要とされるサービスがあればすべて対応するという姿勢で取り組んできたことを考えると、あえてターゲットとする顧客セグメントを明確にせずに経営をしてきたというのが実際のところかもしれません。 ただ、業界が成熟しつつあるいま、自社のポジショニングや強みを見直しターゲットを明確にして、新たな戦略を描く段階にきていると考えています。そのためには、発電・需要・市場等の膨大なデータを利活用し、再生可能エネルギーを効率よく、安価に提供できる仕組みを深化させる必要があります。今回、システム統括部のメンバーを募集しているのは、そうした戦略を力強く推進するために他なりません。 ※1:低圧電力は、商店や飲食店、事務所、一般家庭などの契約電力が50kWに満たない施設向けに提供しています。
仕事へのこだわりを教えてください。
私の仕事へのこだわりは、ステークホルダーとの信頼関係を構築することにあります。同僚、取引先、お客様など、仕事に関わるすべての人々との信頼関係がなければ、仕事をスムーズに進めることはできませんし、何より仕事を楽しむことができません。 信頼関係を築くためには、約束を守ることが重要です。これは、提供する製品やサービスの品質を保証すること、適切な価格設定を行うこと、社内外の仕事の期限を守ることなどが含まれます。約束を守るには、自分の役割に対する責任感と貢献の意識が欠かせません。 また、ステークホルダーから信頼を得るためには、プロとしての仕事が求められます。自分の知見や経験がどうであれ、給料をもらって仕事をする以上、プロフェッショナルとしての姿勢が必要です。このプロフェッショナリズムを維持するためには、常に研鑽を積む意識が必要だと思っています。 そして、信頼関係を構築するには、言葉だけではなく行動が伴わなければなりません。口で言うだけでなく、実際に行動することで初めて信頼は生まれます。行動し続けなければ約束も守れず、プロとしての仕事も遂行できません。 私は、若手の頃から意識的に、あるいは無意識にこういった仕事へのこだわりを実行してきたと思っています。しかし、現在の組織のリーダーという立場では、自分が実行するだけでは十分ではなく、組織全体にこの仕事へのこだわりを実行してもらう必要があります。しかし、これは容易なことではありません。自分が実行することと他人に実行してもらうことには大きな違いがあり、特に多くの人々に実行してもらうことは一層困難です。 今期、Looopでは、企業のバリューを改めて見直すと共に自分事化してもらう取り組みを行っています。Looopの新たなバリューは「仲間を尊重する」「当事者意識を持つ」「挑戦を繰り返す」「顧客起点で考える」「理想から逆算する」です。いずれも、私の仕事へのこだわりである「ステークホルダーとの信頼関係の構築」と整合するバリューだと感じています。今後は、このバリューを浸透させていくことが、組織が私の仕事へのこだわりを理解することにつながると思っています。 リーダーとは、「実行し、実行させる」人です。今後も、私自身が仕事へのこだわりを実行し続けると共に、組織全体が同じこだわりを持って動いていけるように努力していきます。