まずはご略歴からお教えください。
神戸大学経営学部を卒業後、関西圏の準キー局である毎日放送に入社しました。当時は臆病で起業なんてする勇気はありませんでした。テレビ局では志望どおり報道局に配属となり、記者として望みどおり社会に影響力を発揮する仕事に就くことができました。 自分の手がけた報道で法律や制度を変えたり、人の人生を左右することもできましたね。例えば、東日本大震災の際、宮城県の南三陸町で取材を続けたのですが、その結果大勢のボランティアが集まる、といったことがありました。 どんどん影響力のあること、人を幸せにすることを行いたいという気持ちが 強くなっていきました。 そんな私は、映画評論家の水野晴郎さんが設立した映画会社に出入りしていたのですが、そこは水野さんの没後に宙ぶらりんな状態になっていたのです。そこで自分が代表として切り盛りしていこうと、当社を設立し直しました。そこには映画製作スタッフが在籍していたので、早くスタートを切ることができました。
アジアに着目した理由とは?また、どんな会社にしようと考えましたか?
報道記者の時にアジアの国々にも取材に出ていたのですが、現地の人々が昨日より今日、今日より明日が良くなると信じて、前向きに明るく頑張っている姿に魅せられたのです。 私もマグロのように止まったら死ぬようなところがあって、自分を成長させることが大好きなんですね。仕事をするなら、そんな伸び盛りの国としたほうが楽しいじゃないですか。当時の日本には閉塞感を覚えていたので、より一層そう感じたのかもしれません。 会社づくりについても同様です。全社員が成長できる環境を最優先しました。やりたいことをやれる会社、これが大前提です。しがらみは一切ありません。全てゼロベースです。常識にとらわれることもありません。社員が自分の好きなことを見つけ、成長していく体制にしています。
上野さんにとって『仕事』とは?
ゲームのような感覚があります。ドラゴンクエストのように、仲間を集め、武器を揃え、モンスターと闘って経験値を積み、グレードアップしてゴールにたどり着く――。 実際の仕事はビデオゲームとは比較にならないほど面白いと思います。ですから、自分にとって仕事は趣味のようなもの。できるだけ時間を割きたいものです。ビデオゲームが楽しくて仕事が楽しくないという人は、よほど変な仕事をしているか、組織に問題があるのではないかと思います。 それと、“ワークライフ・バランス”というものに違和感を覚えています。バランスなんてとらずに好きなことを好きなだけすればいいと思います。人生は1度きりです。オンタイム・オフタイムと分けることにも違和感があります。人生すべてオンタイムだろうと思うからです。もしも仕事が苦痛でしかたないならば、その仕事はやめるか、職場を変更した方がいいです。世の中には、たくさんの仕事と職場があります。 しかし、この考え方は私、個人の考え方です。 社員には会議とメールと社内ルールでこのように伝えています。 「うちの会社には、仕事大好き人間と、オンオフをきっちり分けたい人の 2通りの人がいます。どちらも正しいです。 人は自分の好きなように生きればいいのです。 どちらかの人がどちらかの人に 自分の考えを押し付けるとかケチをつけることは禁止です。 お互いの考え方を尊重しましょう。」と。 ちなみに私個人は、仕事はどちらかと言えばオフタイムでしょう(笑) ゲームをしている感覚、映画を見ている感覚ですから。
社員に対して、どんな人生を歩んでほしいかという思いをお聞かせください。
社員に、仕事とプライベートの夢を書いて出してもらっているのですが、その2つの実現を応援することが経営者である私の仕事だと思っています。ですから、会社を利用して自分の夢を叶えてほしい。そう強く思っています。
趣味などプライベートタイムの過ごし方についてお教えください。
できるだけ仕事に時間を割けるよう、自宅は会社のすぐ近くです。私は仕事に集中するために会食や飲み会もしませんし、ゴルフもやりません。人間関係で仕事を頂くことはしません。結果と成果を証明するスタンスです。取引先などとの関係づくりは、すべて会議室で行います。 ということで時間をほぼ全て仕事に使っています(笑) 唯一のプライベートは、妻と今2歳の子供ですね。私の時間とお金は、すべて家族のものです。家族に許してもらって仕事をしています。ですから家族からオーダーがあった場合は、世界中のどこへでも行きます。妻と子供の行きたいところへ。 会社では社員を幸せにすることが私の生きている意味。 プライベートでは家族を幸せにすることが私の存在価値です。 ということで、家族とは年に複数回、海外旅行をしています。 海外旅行は好きですから、ぜひ海外旅行好きの人とおすすめの情報を交換したいですね。最近、みんなにおすすめしているのはドバイの砂漠の真ん中のプールです。