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インタビュー画像太田滋 代表取締役兼CEO 博士(経営管理) オーストリアのウィーンに生まれ、スイスのジュネーブで育ち、小学2年生から東京で過ごす。 大学を卒業後、2000年4月IMJに入社し、社長室に配属。入社半年でアメリカに赴任となり、1年間ロサンゼルスで働く。 その後、2001年9月ソースネクストに入社。広報宣伝部に配属となり、そこで初めてPRに従事。広報から宣伝、インターネット広告、イベントの企画・運営など多岐にわたる経験を積み、2003年10月にビルコムを創業。

ビルコムを立ち上げた理由を教えてください。

社会的矛盾を解消したいという思いが、ビルコム創業の出発点です。前職のソースネクストで広報宣伝の仕事に携わる中で、私は広告業界の縦割り構造に疑問を持つようになりました。 広報宣伝活動を進めるために広告を活用しようと思っても、テレビCM・雑誌広告・インターネット広告とそれぞれの領域で強い会社があり、どの手段を選択するかによって依頼する会社が異なります。加えて、PRやイベントの専門会社・販売促進を担当するセールスプロモーション会社等、とにかく関連企業がたくさんあるのです。自社の商品を、誰に対して、どれぐらいの予算で、どうやって販売していきたいか、それぞれの会社に毎回説明する必要がありました。 企業のイメージアップや商品の売上向上など、企業は何かしらの目的を持って広報宣伝活動をしています。ですが、広報宣伝の業界は非効率な部分がいまだに多く、企業の広報宣伝活動の目的を達成するためにはもっと効率的な手段があるのではないかと感じました。 そこで、企業の広報宣伝活動の目的に寄り添い、業界に横串を刺す新しいコミュニケーションの手段を作りたい。そんな思いを込めて、ビルディング・コミュニケーションズ、略して「ビルコム」という社名のPRコンサルティング会社を立ち上げました。

広告会社ではなく、PR会社を作ったのはなぜですか?

広報宣伝活動で新しくコミュニケーションをしていく時、PRは手段の中立性を持って企業とユーザーのコミュニケーションを提案できると考えたからです。 広告会社の立場だと、媒体費の仲介手数料を獲得するために、テレビCMなど全体の広告費が大きくなるような提案をすることがあります。これは"供給者の論理"です。高額の広告費を払えばクライアントの目的が必ず達成されるわけではありません。大切なのは『目的の達成から考えること』です。 創業から15年以上たち、実際に広報宣伝活動の主流はPR主軸に変わってきていると感じています。企業のマーケティング目的を達成するためには、マスメディアだけでなく、ソーシャルメディアやオウンドメディア、イベントや動画など多様なメディアや手法を活用してコミュニケーションをおこなう必要があるからです。 また、PRは事実に立脚したストーリーを作り、記者や専門家・インフルエンサーなど第三者に情報を発信してもらいます。こうしたPRを主軸にした統合的なコミュニケーションは今後ますます求められていくと思います。

PR Tech®局を創設した理由は?

PR Tech®局は「PRを科学する」をコンセプトにしています。裏を返せば「PRは科学されていない」という課題につながります。 ビルコムのメイン事業であるPRコンサルティングは、属人的になりがちな専門職です。特に、戦略策定や効果測定の部分においては「主観」「経験」「勘」といった曖昧な要素が入り込む余地が大いにあります。そうした曖昧さを減らし効果的にPRコンサルティングを進めるため、客観的なデータとしてPRの効果や戦略立案の根拠をお客様に提示できるようにしたいと考えました。 お客様が当社のコンサルティングに満足していただけたとしても、本当に成功しているのかどうかは定量化したデータでなければ判断できません。お客様の満足を見える化して次の施策に結びつけるには、データを使って戦略を策定しなければならず、効果測定もデータで行う必要があります。 PRにおける不確実な要素をデータによって確実なものにしたい。そんな思いでPR Tech®局を創設しました。

ビルコムをどんな会社にしたいですか?

当社は、ミッションとして「クライアントの事業に貢献する」を掲げています。そのためには、日本企業が直面する新市場創造と評判形成の2つの課題に資するデータドリブンなPRサービスを提供していきたいと考えています。 『PR Analyzer』でいえば、お客様から「4マスのデータとWebサイトのデータ、小売のPOSデータなどと連携できないのか」といったお声をよくいただきます。将来的にはPR Analyzerで扱うデータをよりリッチにして、お客様の経営課題や事業成長に役立つSaaSツールに発展させていきます。 『PR Analyzer』もビルコムという会社も、まだまだスタートしたばかりのフェーズです。高めていける余地がたくさんあります。世の中には、SNS・Web・スマホアプリ・リアルデータなどさまざまなデータがありますが、まだテレビ・新聞・雑誌・Web・SNSといったメディアのデータしか扱っていませんので、もっとデータを拡張していきたいと考えています。 特に質的データの分析にも力を入れていくつもりです。言語を解析することでPRに活かす方法があると思いますので、自然言語処理を用いた機械学習も視野に入れています。やりたいこともやるべきこともたくさん残っていますが、一つずつ着実に達成していきたいと思います。

趣味は何ですか?

趣味は旅です。長期の休みがあればよく旅に出ます。これまで29カ国に行きました。私はウィーンで生まれ、ジュネーブで育ち、仕事でもロサンジェルスやシンガポールに駐在していました。五感を触発する自然や文化、歴史に触れる旅が好きです。 「仕事」と「旅」、そして「人生」は、よく似ていると思っています。旅は、事前に計画を立てても、たいていはその通りに進まないもの。そして、旅に出るといろんな人との出会い、新しい発見、学びがあり、偶発性や運命を感じられます。 仕事も同じで、目標や計画を立て、予算を割いて時間を配分しても、その通り遂行されることはほぼなくて、新しい出会いや時には失敗、ハプニングがあり、思いがけない喜びや悲しみもあります。いろいろな課題を仲間と乗り越えて、最高の時を過ごす。本当に旅と仕事は似ていますよね。

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