株式会社ヴィクサス　（旧社名：富士ソフトディーアイエス）

株式会社ヴィクサス（旧社名：富士ソフトディーアイエス）は、流通分野において多彩なソリューションを提供する企業だ。<br />その目指す所は、流通ソリューションをテーマに、お客さまが直面するさまざまな問題を解決するサポートを行う「ベスト・ソリューション・パートナー」である。<br /><br />そもそも同社の出発点は、株式会社ダイエーの情報システム部門にあった。1985年に分社独立することで、ダイエーの100％子会社の株式会社ダイエー情報システムとして設立されたのである。当時のダイエーはグループ企業も含めて日本全国に多数の店舗を展開しており、同社は流通分野におけるシステムの企画・設計から保守・運営までを一貫して担っていた。<br /><br />そんな同社が分岐点に立ったのが2001年だ。<br />この年、富士ソフトＡＢＣ株式会社（現：富士ソフト株式会社）が同社の株の過半数を取得したため、ダイエーから独立することになり、同時に社名も富士ソフトディーアイエス株式会社に変更された（2009年6月に株式会社ヴィクサスに社名変更）。このことにより、ダイエーグループ以外の企業との取引を開始するようになった。<br /><br />いま、同社は関東と関西に大規模なデータセンターを保有し、総合小売業（ＧＭＳ）、カードビジネス、コンビニエンスストアという三つの事業分野を柱に、情報システムの企画・開発から保守・運営までを一括してアウトソーシング受注している。<br />ダイエー時代から培ってきた流通分野のノウハウを活かすことで、この分野におけるベストソリューションを提供しているのである。

同社の強みは何と言ってもダイエー時代から培ってきた流通業界におけるシステム構築のノウハウだ。そもそも小売業などは薄利多売が主であって、他の業界と比べるとシステムへの投資が少ない上に、独特のノウハウが必要になってくる。したがって、これを専門にしてソリューションを提供しようとする企業は比較的少ない。<br /><br />しかし、同社はダイエーグループという企業集団を通して日本各地で流通分野を専門にしたソリューションを提供してきた歴史をもっている。<br />そのために、流通業界についての現場の用語やニーズや戦略ということを熟知しており、数多くの信頼と実績を勝ち得てきた。つまり、他社が手にすることが難しい現場でのノウハウを最盛期のダイエーグループ傘下ですべて手に入れてきたのである。ここに、同社独自の他社がもちえない優位性があるのだ。<br /><br />同社の主力事業であるシステムの開発・運用はそれを見事なまでに物語っている。<br />ダイエー時代から引き継いできたコンピューターセンターをもち、ダイエー、ローソン、マルエツ、ＯＭＣカードなど旧来から結びつきのある大企業のシステム保守を行っている。<br />そして、その上で、新規顧客に対してアプローチをかけ、ファンケルやユニーといったクライアントのシステムを開発から保守・運用にいたるまで手掛けているのである。<br /><br />総務人事部の部長　田淵氏は次のように語る。<br />「流通業界には、卸業者との関係など独自の特性があります。そのため、システムをつくる時はこうしたことを取り込んでいかなければならないのです。要は、そうした点で流通システムを熟知したソリューションを提供できるかどうかというのが、当社と他社との決定的な違いなのです。技術的なものというよりも、業務知識・スキルの分野でのノウハウがシステムにどれだけ活かせるかということですね」

また、同社はこのような長年培ってきたノウハウを活かしながら新しい事業展開をしていこうともしている。2002年ごろから始めた流通に特化した業務コンサルティング事業がそれである。<br /><br />田淵氏は次のように説明する。<br />「コンサル事業では、地方のスーパーへの業務コンサルを行っています。具体的には、商品・売り場・従業員の管理やデータの管理についてのノウハウを伝えるためのものです。当社にはダイエー時代に店長やシステムオペレーターやバイヤーを経験したメンバーが多くいます。そうした人たちのノウハウを地方のスーパーに提供することで新しい道を切り開こうとしているのです」<br /><br />ただし、同社が行っているのは単なるコンサル事業ではない。<br />コンサルによって地方の企業とつながりをもち、その中で同社のシステムソリューションを提供していこうとしているのだ。そういう意味ではコンサル事業は同社の事業を全国展開させるための先導役といえるのかもしれない。<br /><br />総務人事部の小須田氏は次のように語る。<br />「地方の小売店では、まだまだデータを十分に活用されていないことも多いです。例えば、全国展開しているような大企業ではレジで集めたＰＯＳデータを使って売れる商品や仕入れるべき商品などを即座に提示するような取り組みを行っていますが、地方ではレジは会計作業だけで終わってしまって、それ以上のところまで活用されていないことが多いのです。当社としては、コンサル事業によって地方の小売店との結びつきを強めながら、そうした新しいシステムを提案していきたいと考えているのです」。

これまで見てきたように、同社は流通業界を専業としていることを自認している。<br />システムの開発・運用からコンサルティングにいたる幅広い事業を手掛けながら、ぶれないのは流通という核がしっかりとしているからだろう。<br /><br />田淵氏はこういう。<br />「当社は流通業界をメインとした精鋭集団でありたいと思っています。だからこそ、当社としてはその強みをより大きくしていきたいのです。この業界はお客様との長い付き合いが不可欠になってきます。何年、何十年という付き合いの中で、そのニーズに応えて開発を行い、保守を任せてもらうものなのです。そういう意味では、当社は自らの専門分野から離れることなく、それでいて新しい世界を切り開いていきたいと思っているのです」<br /><br />現在、流通・小売業界は、非常に変化に激しい業界の一つであるといえよう。支払い方法一つとっても、おサイフケータイ、スイカに代表される電子マネーでの支払いや複数の企業間でのポイント交換など毎年のように新しいものが導入される。こうした世の中の変化は、流通システムをつくりだす同社にとっては一つひとつがビジネスチャンスなのである。<br />だからこそ、この分野にしっかりと根を下ろし、新しい製品や時代の流れに対応しながら、より素晴らしいソリューションを提供することで事業の拡大を目指しているのだ。<br /><br />中途入社したソリューション・サービス事業部の鬼頭氏はこう語る。<br />「私は流通業界についての知識を持っていませんでしたが、技術を評価してもらって入社しました。この会社はその人の持っているものを評価して、受け入れてくれる風土があるのです。また、この会社はいい意味での放任主義です。主に上流工程を事業の中心として行うのですが、お客様とのやりとりの中で自分のアイディアをふんだんに盛り込むことを許してもらえるのです。もちろん成功させなければならないという重圧はありますが、そのぶん自分の意志が反映されるのでとてもやりがいがあります」<br /><br />やった上での失敗ならば咎められないというようなチャレンジ精神を奨励する環境だ。自分の力で成長していきたい人にとっては、こうした風土が追い風になることは間違いない。