株式会社Colobizは、どのようなビジョンで立ち上げられた会社ですか。
設立当時は明確なビジョンを持って事業を立ち上げたとは言えません。クライアントの課題解決に全力で向き合ってきた結果が現在に繋がっています。 前職で勤めていたイベント会社を退職した当時は、会社を設立するつもりはありませんでした。当初は、転職活動のつもりでフリーランスとして活動していたのですが、かつて在籍した大手IT企業からイベント制作の依頼を受けたことをきっかけに法人化しました。大手の上場企業ですので、法人化することが取引の条件でした。 ただ、設立に当たって企業理念は掲げました。その中で、「楽しんで時間を無駄にすることは決して無駄にならない」というジョン・レノンの言葉を引用しています。 私は、サラリーマン時代を含め、何が無駄かなんて分からないなと思っていました。今の一瞬だけを見れば無駄に思えることも、5年後、10年後には、その経験が無駄ではなかったということもあり得ます。同様に効率の善し悪しも一概に決めることはできません。今は非効率だと思ってやっていても、それをやったことがもしかしたら5年後に生きるかもしれません。 では、何が価値基準になるかというと、自分自身が本気でその物事に向き合えているかどうかじゃないかと思っています。本気で向き合えたことは無駄にはなりません。私は「仕事はやらされたら終わり」だと思っています。仕事がやらされたものになった瞬間にクオリティーは下がります。そうならないためには楽しまなければいけません。それはやりたいことだけをやるということではありません。与えられた仕事に対して、その都度、本気で向き合えるということが、楽しむということだと思っています。
設立から5年が経過しようとしています。現在の想いをお話しください。
最近は、人の人生が豊かになっていくところを見続けることができる会社にしたいという想いが芽生えました。 3期目にセールスプロモーション事業に集中し、ある程度のキャッシュを蓄えることができました。その後、システム開発事業に注力した結果、1年後には売上を倍増させることができました。しかも運営コストはほぼ変わっていません。そこで、利益が増えた分、社員への還元率も増やしました。 そうした結果、社員一人ひとりの人生が明らかに変わっていきました。還元する分、会社が求めるハードルも上がっていきますが、こちらが指摘したことに対する受け止め方は明らかにこれまでと違います。還元されている分、自分も変わろうと努力するようになり、その結果、スキルが上がり、自信にも繋がっていく等、みるみる変わっていきました。 こういったことは大手企業に勤めていた時にはなかった経験です。組織が大きい分、社員がやったことが報酬や待遇に反映されるまで時間がかかります。人の人生が豊かになっていく様子を間近に見ることができるのは楽しいと感じます。 もちろん、それまでの過程には苦しみも沢山あります。仕事として成立しなければ人生も豊かにはなりません。仕事として成立させるにはクライアントの評価を獲得しなければいけません。その苦労を乗り越えて人生が豊かになっていく。そういう人が一人でも出てくれば、周りも変わっていく。そういう循環が続いていく会社にしたいと考えています。
大手IT企業で経験されたことで、現在の経営に生きていることがあればお話しください。
ロジカル思考は、大手IT企業での実務経験を通して獲得できたスキルです。 個人規模の零細中小企業はマンパワーに頼りがちです。問題の見つけ方や問題を解決する際の考え方の全てがマンパワーを前提に成り立っています。 大手企業では、そういうわけにいきません。大手企業のやり方は、基本的に個人を信用していない、性悪説が前提となっています。だから誰がやっても同じようになるやり方を採用しています。 弊社もまだまだマンパワーに頼っているのが現状ですが、ロジカルな仕組みを構築していくための思考をスキルとして持っているのは私だけです。それは大手で実務を経験してきたからです。 現在、そういったロジカル思考に立ち、会社の仕組みを整えている最中です。特に注力しているのは、人材マネジメントの仕組み作りです。求人、採用活動、オンボーディングという三つのフェーズを見直して、一貫性を持って取り組んでいきたいと考えています。 弊社が目指していることはクライアントの役に立つことです。その目的のためには、仕事以外でのストレスは極力省く必要があります。クライアントの役に立つことを楽しんでもらえるかどうか。それが我々の持つバリューですが、そのバリューが全社員に浸透しているということを、内部からも外部からも見える会社にしていきたい。そのための仕組み作りを行っているところです。
今後のビジョンをお話しください。
システム開発事業に関連した動きとして、エンジニアのコミュニティを作りたいと考えています。オフィスを無料で開放して、自社の従業員だけではなく、フリーのエンジニアや、エンジニアを目指している学生、あるいは他社で働いているベテランのエンジニア等も自由に出入りして繋がれるような環境を提供できればと考えています。 IT業界は非常に変化の激しい業界です。その中で、技術力や概念等のトレンドをキャッチするには開放的である必要があります。オープンな場所で情報交換が行われなければ、エンジニアは取り残されてしまいます。閉鎖的だと自分が知らないことを延々と気付くことができません。世の中の基準と自分の基準がずれてしまっていることにさえ気付くことはできません。今はインターネット上で様々な情報に触れることもできますし、繋がることもできます。しかしリアルに開かれた場所で繋がることでしか得られない気付きもあると思います。 世の中には沢山のシステム開発会社がありますが、おそらく、そこにしかない特別な技術を持った会社はほんの一握りだと思います。ほとんどのシステムはどこに頼んでも作ることができる。その中で、皆さん差別化をしようとしていると思いますが、その戦いは苦しいだけです。最後には価格競争に陥るだけです。そういう苦しい想いをしているエンジニア達が、互いに戦うのではなく、協力し合えるような世界を実現したいです。 エンジニア同士が一旦繋がれば、長期的な関係に発展するケースが多いと思います。コミュニティで覚えたことや学んだこと、新しい気付きを、自分の仕事に活かしたり、職場に還元したりできる場所があれば、世の中のエンジニア達はもっと楽になれるのではないでしょうか。