ポケットペアを立ち上げるまでの経歴は?
大学時代から大手ゲーム会社で働きたいと考えていました。その会社に入社するために、必要な技術を身に付けようと、学生時代はイラストコミュニケーションサービスを提供する会社でアルバイトをしていました。大学3年生の時、ゲームセミナーに参加して、コンシューマー機用のゲーム開発を体験。開発したゲームは無料で配信されて、色んな人に遊んでもらいました。 狭き門を突破してゲームセミナーに参加したのですが、ゲーム開発の大変さを痛感し、大手ゲーム会社に入社するのを止めて、ほかの仕事に就くことに。ゲーム作り以外で特にやりたいこともなかったので、高年収が見込める外資系金融機関で働こうと証券会社に入社しました。 ところがというか、案の定というのか、入社1カ月で「この仕事はつまらないかもしれない」と思うように。同僚に一緒に会社を作ろうと誘われて会社を設立。2012年にユーザー投稿型メディアをリリース。2014年にビットコイン売買・決済サービスをローンチしました。
ポケットペアを創業した経緯は?
大学の後輩と作ったビットコイン売買・決済サービスの事業でしたが、そのままプロダクトをグロースさせるキャリアも考えたのですが、やはりゲーム作りを仕事にしたいと思い、設立した会社から身を引き、証券会社も辞めて、2015年にポケットペアを創業しました。長期的に自分の人生を考えた時、いつかどこかのタイミングで、ゲームが好きな自分はゲーム作りを仕事にすると思いました。それなら、早い段階でチャレンジしようとゲーム会社を立ち上げました。 最初の2年間は、小さなゲームをいくつか作りましたが、パブリッシャーが見つからず、どれもリリースできませんでした。それなら自分達でやろうと「Steam」でリリースしたのが、リアルタイム型カードゲーム『Overdungeon(オーバーダンジョン)』です。『オーバーダンジョン』は、ローグライク、タワーディフェンス、そしてカードゲームを融合させた、全く新しい新感覚アクション・カードゲーム。ゲーム用語で「インフレ」というのですが「数の力」を楽しめるゲームで、攻撃したら1ポイントや10ポイントのダメージをチマチマ与えるのではなく、3,000万ダメージを与えるような豪快なインパクトが魅力。カードを出すたびに派手な演出で攻撃するのもユーザーにウケました。『オーバーダンジョン』がスマッシュヒットして、次にリリースした『クラフトピア』が大ヒット。会社は軌道に乗りました。
ゲーム開発をする上で大切にしていることは?
プレイヤーがクリエイティビティを満足させられることです。ゲームをプレイしてクリアすれば終わりではなく、そのプレイヤーだからこその表現を拾って大切にできるゲームを開発していきたいです。一人でゲームを楽しむだけでなく、SNS等でゲーム体験を共有したり、仲間を増やしてオンラインでゲームを楽しんだりと、ユーザー間でコミュニケーションが生まれるゲームを作りたいと考えています。 ゲーム作りで大事なのは「観察力」。ファミコン時代なら全く新しい創造的なゲームを生み出す余地も沢山あったでしょうが、今は数多のゲームタイトルが色んなゲーム機やデバイスで楽しめるようになっており、見たこともないゲームを作るよりも既出のゲームをしっかり観察・分析して、ヒットするための要素を抽出、それを複数組み合わせることでユーザーが満足するゲームを作ることができます。ヒット作を作るために、先人が切り開いてくれた道があります。売れたゲームをしっかり観察して、自分が作るゲームに生かす。これが売れるゲームの作り方です。
ポケットペアをどんな組織にしたいですか?
常にチャレンジする組織でありたいです。ゲーム開発はやり方を工夫すれば、そんなにコストがかかる物ではありません。こんなゲームを作ってみたいというのがあれば、社内に発信してくれれば、誰かが反応してプロジェクトになるかもしれません。仕事でのゲーム作りと並行して個人でゲームを開発することもできます。実際、当社は個人でゲームを作っているメンバーが多いです。業界内でも珍しいかもしれません。ゲーム会社で働く人材が趣味でゲームを作ることは、意外と少ないんですよ。副業禁止の会社も多いからかもしれません。ポケットペアは、副業OKです。個人で開発をすることでスキルアップしますから、ポケットペアのタイトルを作る時にも生かせます。 個人的な夢として「Minecraft」のような誰もが知っているゲームを世に送り出したいですね。「Minecraft」のようにゲーム業界を変えるような多大な影響を与えるゲームを作るのは至難の業ですが、夢があっていいですよね。今のスタイルで進めば、近い将来、誰もが知っているタイトルを生み出せそうな予感はあります。
人材を採用する上で、どんな採用スタンスを取っていますか?
個性的な人材を積極的に採用します。普通の会社では収まりきらないような個性的な人材も大歓迎です。一般的な会社が「個性の強い人材」を敬遠するのは、マネジメントが大変だからだと思います。当社はマネジメント層よりも、現場で開発する人材に重きを置いています。だから、マネジメント層には苦労してもらいます。そうすれば、光るものを持った個性的な人材が活躍し、ユーザーにウケるゲームを生み出し続けることができます。 超絶プログラミングスキルがあるのに、遅刻癖があるエンジニアがいたとすれば、当社は自由に働いてもらい、最大のアウトプットを出してもらえるようにバックアップします。遅刻しないように管理してアウトプットのクオリティーが下がるようなら、それこそ本末転倒です。当社には勤怠を守れないエンジニアが沢山いますよ。 大手ゲーム会社が作るゲームは大きなプロジェクトで、そこで働く人材は自分のポジションの仕事で最大の結果を出すことを求められます。コミュニケーションができてスケジュールに沿って仕事をこなせる人材でないとプロジェクトが破綻します。どれだけ高いコーディングスキルを持っていても、組織の枠からはみ出てしまう人材では、役割を担えません。当社のような規模の会社は、人材の個性やスキルをエンジンにして開発が進みます。他社で窮屈な思いをしているゲームエンジニアがいれば、是非ポケットぺアで大きく羽を伸ばして縦横無尽に羽ばたいてほしいですね。