株式会社INAP Vision

ICTベンチャー企業の株式会社INAP Vision（アイナップ・ビジョン）。同社は「社内の誰もが主役」という『ZOOポリシー』の下、「CXコンサルティング事業」「CXシステム開発事業」「ICTシステムインフラ・クラウド事業」という三つの事業を行っている。

2022年2月には業務拡大およびAfterコロナも見据えリモートワークとオンサイトを活用したハイブリットな働き方に向けて生産性が高く、社内社外のコミュニケーションが円滑がとれる環境のためオフィスを東新宿に移転した。
まだ設立7年目ではあるが、実績やお客様の信頼を獲得し、取引先の半数以上は上場企業が名を連ねている。
「現在は経営基盤を固め、様々な事業会社に仕掛けている」と代表取締役CEOの川島 祐一朗氏は語る。

同社にとって「仕掛ける」とは、必ずしも新規案件を意味しない。人によって得意分野は異なるからだ。攻めることが得意な人材は新規案件に。守ることに強みを発揮する人材は、既存のお客様支援、既存のお客様からの紹介・リピート等で新たな取引を生み出す“幅出し”に長けた人材には、その対応を任せる…というようにメンバーの得意分野を見据えた上で、顧客の依頼をフィットさせ顧客満足を最大化する。それが同社にとっての「仕掛ける」という意味だ。

この得意分野は、採用試験の適性検査と面談で本人と会話しながら決める。
また、入社後も、年1回は本人の志向を確認する機会を設け、エンジニアの成長と共に「攻め」「守り」、「エキスパート」「マネジメント」なのかを決めている。

得意分野が異なるエンジニアを集め、その才能を活かすことで企業としての守備範囲を広げ、顧客満足度を上げる。攻撃的アニマル、癒しのアニマル、ニッチなファンのいるアニマル…どのアニマルも主役であり、経営に不可欠な存在であるという『ZOOポリシー』は、このような形で具現化されているのだ。

『メンバーの得意分野を活かすことが企業としての強みに繋がる』

この組織観は、川島氏と取締役CTO 三窪一氏の二人の体験がベースになっている。
二人は、この組織観とは真逆の環境の中で出会い、組織に疑問を感じていた。その共通の体験・認識が、同社を生み出したのだ。
川島氏は新しい技術や経営論・組織論を学ぶために起業前に単身米シリコンバレーに渡り、右も左も分からない中、1年間で様々な企業やピッチイベントを回って学びを得て川島氏は帰国。
新たなことにチャレンジしようと想い起業した会社が同社である。

創業期には経営層の二人も“いちエンジニア”としてインフラ関連のプロジェクトに従事しながらお客様の信頼を獲得。お客さまからの依頼の広がりと共にメンバーが増え、冒頭で紹介したような三つの事業が確立されたのは2019年頃だ。

その頃になると、川島氏・三窪氏の二人で社内の状況を全て把握することが難しくなっていた。
そこで、一人ひとりが「社内の誰もが主役」という『ZOOポリシー』を日頃の行動に落とし込めるよう、5つの行動指針を掲げたのである。次項で紹介しよう。

同社の行動指針は以下

【1】すべてを自分ごとに
仕事が「自分ごと」になるとき、仕事の質が上がり、何より仕事がおもしろくなる。
「自分ならどうするか」「どう変えられるか」主体的に問いつづけることで、
「こなすこと」を「熱中できること」に変え、意志のこもった仕事にしよう。

【2】「期待を超えよう」
顧客やユーザー、仲間の想像を超えるような、発想や行動を大切にしよう。言われたことの「その先」を考えよう。
「思いもよらなかったこと」が、人の気持ちを動かし、期待を超える成果を生み出す。
だから、誠実さも、自分らしさも、スピードも総動員して、期待を超えていこう。

【3】「たちどまらず挑戦しよう」
挑戦しよう。日々のちょっとしたことでもいい。できなそうなことに一歩近づいてみよう。
たとえ失敗しても、大切な学びになる。その学びは、いつか必ず「何か」につながる。
だから、挑戦する集団でいよう。挑戦している仲間をたたえ、励まし、サポートしよう。

【4】「チームのシナジーを最大限に」
組織に所属して仲間とつくりあげるということは、一人一人の違いが強みとなると考える。
みんなの違いが相乗効果を生み、進化を起こし、ひとりではたどり着けない新しい時代をつくる。
たがいの「違い」を知り、生かしていこう。相手の強みを見出し、認めて、その力を受け取ろう。一人ひとりが、自分らしさで貢献しよう。


自立した個人として一人ひとり目指すところは違っても、同社のメンバーとしての方向性はこうである、ということを示した内容になっている。
改めて明文化したのは初めてだが、同社は創業当初からこの行動指針を貫いてきた。行動指針が単なる“かけ声”で終わらないよう、明文化に合わせて評価軸も刷新。評価項目の中に、上記の5つが盛り込まれている。

そして、面接でもこの行動指針にフィットする人材かどうかをしっかり見つめているとのことだ。その上で、何らかの得意分野を持ってジョインした“アニマル”が活躍できる環境を作る。それが経営者の仕事だと川島氏・三窪氏は語る。

「得意分野が活かせる案件のアサインはもちろんのこと、ワークライフバランスがしっかり取れる仕事環境を提供しています。そのためにSlack、Google Workspace、AtlassianCloud、MFクラウド、WEBミーティング、バーチャルオフィス等の各種ツールを用意し、働きやすい環境を整えています。最近では新型コロナウイルスの抗原検査キットも準備しました。全ては社員がパフォーマンスを出してもらい活躍してもらうためです。」（三窪氏）

株式会社INAP VisionというZOOで、これからどんな新しい“アニマル”が活躍し、顧客を引き寄せるだろうか。同社の今後が楽しみだ。