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インタビュー画像代表取締役CEO・森 啓悟氏 1981年生まれ。滋賀県長浜市出身。福岡の大学に在学中、デザイン、動画、アニメーションの制作を始め、フリーランスに。大学を卒業後、関西に戻り、引き続きフリーで働く。主に自治体のWebサイトやECサイト制作の受託を行う他、自身でもECサイトを運営。2004年、ショッピングモールの運営やレンタルサーバー事業、システム受託開発等を行うジーワン株式会へ参画。役員を経て2009年より現職。2018年、医療分野に専門特化し現在に至る。

医療および製薬の領域に特化した経緯をお話しください。

私がジーワンに参画したのは、自分で会社を興そうとしていた時に、当時のオーナーからオファーを頂いたことがきっかけでした。いずれ自分が代表になることを条件に引き受けたのですが、医療に特化したいということは、自分で会社を興そうとした当時から考えていました。 私は若い頃から介護や医療等、人の命を扱う分野に関心を持っていました。祖母の急死や友人の事故死、病死等、身近な人の死に直面する機会が多かったことが要因です。特にショックを受けたのは祖母の死です。そのため高校は介護職の専門学科に進学し、介護施設でアルバイトをしていました。ただ、介護の現場は非常にきつかったです。典型的な3Kの職場ですし、配膳の時に「こんなの食えるか」と、料理を顔に投げ付けられること等は、日常茶飯事でした。IT化も立ち遅れた業界でした。 そのような経験から介護は諦めて、もう一つ、関心のあったITの道を志したのですが、起業しようと思った際に、「IT×医療」で何かしたいと考えました。そして2009年、大手外資系の製薬会社と取引を始めた際に、医薬品プロモーションに特化したメディカルITサービス事業部を開設し、徐々に病院や医療施設へとお客様を広げ、2018年に完全に特化する決断をしました。 2018年に決断したのは、その前に自分自身が体調を崩す等、全てが上手く回らず、どん底を経験したことがきっかけでした。これ以上、落ちることはないだろうと思い、この際、好きなことをしようと考えたのです。軌道に乗るまで時間がかかるかなと思っていましたが、コロナ禍の影響で社会がシフトチェンジしたことで、我々に出番が回ってきました。この3年間、順調に事業は成長しています。

御社が目指す企業像をお話しください。

私は代表になった頃から、社内でずっと「小さくても世界一」というビジョンを言い続けてきました。きっかけはある本でこのフレーズを見たことでした。その本で、世界中のサッカー場で使われているゴールネットを作っている海外のメーカーが紹介されていました。サッカーゴールのネットはニッチな市場ですが、世界中でその会社しか作っていません。当然、ワールドカップの試合で採用されているのも、そのメーカーの製品です。弊社も同様に、どんなにニッチな分野でも構いませんので、小さくても世界を超える決定的な強みを持った会社にしたいと考えています。 現在、IT企業は数え切れないほど存在しますが、20年以上存続できる確率は1%未満です。そういった市場で生き残っていくには、どんな時でもぶれない軸というものが必要だと考えています。そのぶれない軸というのは、弊社の場合、ドクターや製薬会社等のネットワークです。それは他社にはない強みだと考えています。 近年、幼い子供が事件や事故で亡くなる痛ましい事故が頻発しています。私はプライベートでもドクターとのお付き合いがありますが、会食の席や電話で話す時は、そういった事故を何とかなくせないかという話をよくしています。病気や怪我を治すことがドクターの仕事ですが、医師不足、看護師不足が深刻化する現在、医療当事者も、病院に来る前の病気や怪我を予防することに注目しています。医療とIT、専門は異なりますが、問題意識は共通です。我々はITの領域で、医療従事者をサポートし続ける会社を目指しています。

今後の事業展開についてお話しください。

2022年6月、ジーワンは医療統計データサービスを核としてヘルスケア領域で多角的な事業を展開する株式会社JMDCのグループに参画しました。グループ各社の経営者や従業員は、それぞれ得意な分野を持っていますが、日本の医療を何とかしたい、人の健康寿命を延ばしたいという想いに変わりはありません。同じ山を目指すのであれば、沢山のチームで登っていく方が安心です。自分達では失敗の可能性が高い山でも、仲間達と一緒なら登っていけると考えています。 その一方でファーマデジタルストラテジー事業部が手掛ける製薬会社向けのデジタルマーケティング支援にも、引き続き力を入れて取り組みます。病気や怪我の予防に努めるとはいっても、例えば世界中を混乱に陥れる災害級の疫病は人為を超えたものです。製薬会社が担う役割の重要性は今後も変わりません。新型コロナウイルスのワクチン等は製薬会社の中でも、一部のメガファーマだけが開発できるものですが、世界各国の何百社ものベンダーが関わり、必要としている人々に、タイムリーに届けるために、何百社というベンダーが関わっています。私達が支援するプロモーションやマーケティングもそういった活動の一環です。そういった活動に関わることで、医療に貢献できることは、非常にやりがいのある仕事だと思います。

御社の企業風土についてお話しください。

弊社は「IT×医療」で事業を展開するITベンチャーです。間違っていたらすぐに改めますし、やってみて駄目だなと思ったことはすぐに諦めて次のやり方を考え、新しいものは積極的に取り入れます。これはベンチャー精神の根幹となる部分です。私はこの会社を引き継いだ時から、そういった精神で事業に取り組んできました。 私は10代の頃から社会勉強のために色々な仕事をしてきましたし、学生時代は海外でバックパッカーを経験しました。頭で考えるよりもまずは体を動かすというマインドセットがされています。フリーランスを始めた時も仕事が欲しいから「何か仕事をさせてください」と、必死で営業をしました。チャンスを自分からつかみ取りにいく精神です。それがそのままジーワンの企業風土になっています。私のマインドに共感した人が集まり、定着してくれていると思っています。 弊社に限ったことではありませんが、これからの時代、自ら考え、動いていける人材でなければやっていけません。与えられたものをこなすだけの仕事は、今後、ロボットに全て置き換えられていきます。使う側ではなく、作る側になる。弊社が求めているのはそういった発想を持つ人材です。

医療や製薬の業界は、一般生活者には馴染みが少ないイメージがあります。実際はいかがですか。

私も初めてドクターとお話しして、ご飯に行こうと誘われた時は、何を話したら良いのか分かりませんでした。しかしドクターは決して神様ではないと思っています。確かにドクターは、命を救ったり、人の体にメスを入れたりする特権を持った職業であり、皆さん、ご自身の仕事にプロフェッショナルとしてのポリシーを持っています。ただ、私達もITに関してはプロフェッショナルとしての意識を持って接します。お互いがお互いの立場を尊重し、尊敬し合って話をしていますので、どちらが偉いということはありません。自分の思いをきちんと主張することは、双方にとって必要です。 もちろん自身の思いを主張するには、相手のことを知ろうとする努力は必要です。そのためドクターやMRの方と会う時は、相手と話せるだけの知識を勉強した上で会います。またただの御用聞きでも付き合うことはできません。「その問題はITを使えばこのように解決できる」「ITを使えばこういう分析ができる」等、会話が成立するための引き出しをできるだけ多く持つことが重要です。実際「会話ができるから話しやすい」とおっしゃっていただけるドクターやMRの方が多いです。 今私達が付き合っているクライアントは、日本の医療を支えていくキーオピニオンリーダーと呼ばれるドクターが中心です。そういったドクターと一緒に、ITの力で日本の医療体制を変えていく。それをリアルな現場で体験できるのがジーワンです。大手の広告代理店やシステムベンダーは、多重構造のため中が見えづらくなっていますが、我々が運営を受託しているサイエンスカフェの真上は、小児科病棟で、十数名のお子さんが生活しています。一つ屋根の下で医療現場に触れながら仕事ができることは、感慨深いものがありますし、社会的意義も大きいと思っています。

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取締役CBO 平井
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