Cellidを立ち上げるまでの経歴は?
大学で素粒子物理学を専攻し、スイスにある世界最大規模の素粒子物理学の研究所で研究をしていました。その研究所では、地下に全周27kmというとても大きな円形加速器を持っています。その加速器を使って、陽子を加速させてぶつける実験に従事していました。陽子を加速させて非常に高いエネルギーにして衝突させることで、ある確率でまだ発見されていない「ヒッグス粒子」が発生するといわれていました。ただ、ヒッグス粒子が発生するのは、非常に小さな確率。データを溜めて探したいところですが、円形加速器で陽子を衝突させると、1秒間に1ペタバイトというビッグデータどころではない巨大なデータが発生します。 1秒間にスマートフォン1,000台分のデータが発生するのを、さすがに全ては保存できないため、その場で1秒間1ペタバイトのデータを確認して、破棄するか保存するか決定するチームに私は所属していました。1秒間に1ペタバイトを捌く計算機やアルゴリズムを扱う中で、ニューラルネットワークやグリッドコンピューティングといった最先端の技術に興味を持ち、高性能な計算機やアルゴリズムを社会実装したいと考えて、Cellidを創業しました。
ARグラスのディスプレイ開発を始めた理由は?
高性能な計算機やアルゴリズムを社会実装するのに、いくつかトピックスがありました。その中で私が着目したのは「画像認識」。世の中のあらゆる画像の特徴をスコアして、その特徴と比較して、カメラに何が移っているのか判断する画像認識のエンジンを最初に作りました。ニューラルネットワークやグリッドコンピューティングの技術を活用したエンジンで、それを基に3Dの空間認識へと拡張したのが当社のサービス『Cellid SLAM』の原型です。 空間認識のサービスを提供するために、ARグラスのリサーチを始めました。その過程で出会ったエンジニアと話すうちに、ARグラスのディスプレイに当たる箇所のハードウェアがボトルネックとなっていることが判明し、光工学と半導体の素材というARグラスの開発に必要な技術を、日本が世界トップレベルで有している事実を知り、ARグラスの『Display Module』の開発に着手しました。
仕事をする上で大切にしていることは?
私達が歩んでいるのは、誰も歩いたことがない道。これまでに培った経験に創造力をプラスして、難しい意志決定をしなければならない局面もあります。その時に、チャレンジをいとわない強い心を大切にしたいと考えています。誰も経験したことない世界で力強く歩むため、チャレンジとイノベーションを推奨しています。さらに、マーケットのニーズをくみ取ることも同じくらい大切にしています。技術ドリブンで進むと世の中のニーズとマッチしません。私達の顧客と、さらにその先にいるエンドユーザーが求めているものを作りたいと考えます。 コンピューティングの歴史の中で、パラダイムシフトに直面しています。私達はこれを非常に大きなチャンスだと捉え、ARグラスの開発においてハードウェアとソフトウェアの両面で、グローバルマーケットで存在感を示せるプレイヤーを目指します。街を歩く人々が、今のスマホのような感覚でARグラスを利用し、そこに当社が開発したディスプレイやソフトウェアが活用されている。そんな世界を実現したいと願っています。
Cellidをどんな組織にしたいですか?
私達の顧客には、アメリカのビッグテックもいます。彼らはグローバルカンパにーであるにもかかわらず、地域に根ざした経営をしており、だからこそ優秀なメンバーが集まってくるのだと思います。当社もグローバルマーケットで存在感を示せる企業となるためには、地域や社会に貢献する企業でありたいと考えています。これから入社する人にも、専門知識を生かして新しいことにチャレンジし、ARグラスを通して社会に貢献してもらいたいです。 スペシャリストが多い会社ですが、今後は若手の人材を中心に将来性のあるエンジニアとも働きたいです。社内には優秀なエンジニアが沢山います。どんどん彼らから知識や経験を吸収して、キャッチアップしてください。これまでは、少数精鋭のスペシャリスト集団でやってきましたが、これからのフェーズではチームで動くことになります。チームワークを意識してスムーズなコミュニケーションをできるメンバーも活躍できると思います。私達が実現しようとしている世界は、一人では成し遂げられません。推進力を持ったパワフルな人材も必要です。
求職者にメッセージをお願いします!
ARグラスという人々の生活をより便利にし、大きな価値を生み出す領域を事業にしており、情報デバイスをより身近なものにする、私達のチャレンジに共感してくれたメンバーが集まってくれています。チームアップすることで、登れる山は段違いに高くなります。高い山を登る過程は。それ自体が楽しいものです。さらに、登り切った先に私の「夢」があるから、登るのが本当に楽しいです。 ARグラスの大きな波が来ているのを、日本にいては実感できないかもしれません。世界のビックテックは、ARグラス時代の到来に向かって、水面下で着々と準備を進めています。私達も知恵と技術と熱意でマーケットをプッシュしたいと思っています。私達の理念やミッションに共感して、グローバルなフィールドで一緒に戦う仲間を求めています。これまでに培った経験とスキルで、ARグラスの波を乗りこなしましょう!