起業の経緯と、スポーツ/エンターテインメントを事業領域に定めた背景について教えてください。
3歳でサッカーを始めて、やるのも観るのもずっと好きでした。両親が共働きの一人っ子で、小学校から帰るとCS放送のスポーツ番組ばかり観ていました。ある時アメリカのプロレス団体の試合を観て、何百万もの人が熱狂するスポーツ・エンターテインメントショーがあることを知り驚きました。 野球もサッカーもスタジアムで何万もの人が一斉に歓声を上げて歌い、必死に応援します。その光景は圧巻で、自分にとってはスポーツが何より感動するものだったのです。 サッカーは高校まで続けましたが、選手になるよりも「監督かチームの社長をやりたい」と思うようになり、大学入学後はスポーツやエンターテインメント業界で働きたいと考えるようになりました。 しかし新卒では入りづらい業界だと知り、給料面での魅力も感じられなかった。ならば自分でスポーツに携わるビジネスを立ち上げて、お金を作っていけるようにしたいと思ったのが大学2年の時でした。そして「スポーツ」と「ビジネス」をキーにして繋がった仲間と共に、2017年に起業したのがventusです。
起業してから最もエキサイティングだったのはどのような瞬間でしょうか?また逆に不安や難しさを感じた出来事はありましたか?
最近が一番面白く、これからの方がもっと面白くなると思っています。 当初は「ものを作って売る」ことに全社で特化して、『ORICAL』を広げることに注力してきました。最近では『ORICAL』で関係性がつくられたパートナーへの別サービスの提供も広がりを見せています。手応えを感じているので、ここ半年ぐらいはとても面白いですね。 しんどかったのはコロナの始まりの頃。2020年の埼玉西武ライオンズの開幕戦に合わせて『ORICAL』をリリースする予定だったのですが、試合中止や無観客試合が相次いで、リリースを見合わせることになりました。 スタートアップへの投資も止まったタイミングでしたし、見込んでいた売上が入らなかったものですから、あの頃はなかなか大変でした。自分自身の給料をゼロにして、受託の仕事等を受けつつ凌いでいましたね。 2020年夏に『ORICAL』をリリースした後は伸びていって増資も行い、かなり良い状態になりました。
今後の展開予定を教えてください。またその事業展開によって何を成し遂げたいのでしょうか?
ファンビジネスに特化した事業をXYZ軸で伸ばしていきます。 X軸はチーム数や関連コンテンツを増やす方向。エンタメ領域への展開や海外への展開も視野に入れて進めていきます。 Y軸は深みです。一つのコンテンツホルダーに対して、どれだけのものを提供していけるか。『ORICAL』に止まらず、公式アプリ、ファンクラブ等、色々な切り口があります。ファンクラブを例にとっても、コロナ禍で会員数が減ったからといって人気が落ちているわけではなく、チケット優先予約の魅力が薄れているからであったりする。ファンクラブの存在意義をもう一度考えるタイミングにきています。それぞれのパートナーが抱える課題解決から、開発・実装まで含めた新たなファンシステムの構築をサポートします。 Z軸はリアルな世界以外での展開です。AIの活用が進み交通手段が進化すれば、仕事に費やす時間は短くなります。その時にファン活動へより没頭していくことが考えられ、リアルな自分の人格とは別に作られる「ファン人格」が大きなテーマになってくると思っています。ファン人格を向上させる事業展開がZ軸です。 3方向の軸で「全てのファンが、自分の『好き』に誇りを持てる世界をつくる。」ミッションを果たしていきたいと考えています。
日々心掛けていることや影響を受けた言葉があれば教えてください。
心掛けているのは「迷った時は常に難しい方を選ぶ」です。棋士の羽生善治さんが語っていて、羽生さん自身も他で見聞きして心に留めている言葉だと紹介していました。 何手も先を読みながら激しい攻防を繰り広げる局面では、安全な指し手ではなく、勇気がいる方を選んで踏み込むそうです。そうすることで「運命は勇者に微笑む」と話していて、とても印象に残っています。 私が目指しているのはまだまだ先なので、瞬間の勝ち負けに一喜一憂せず、成長を考えて難しいところへ敢えて突っ込んでいく。そこはすごく意識していますね。
御社のカルチャーのご紹介と共に、Greenユーザーへのメッセージをお願いいたします。
ventusスタイルとして、大切にするのは次の三つの価値観です。私は選考に当たって、カルチャーフィットを最も重視しています。 1.「道を切り拓く」 当社で新しいチャレンジをして、どう伸びていくかが大事。そして新しいチャレンジで得た知見は自分のためだけでなく、周囲にも伝播してください。 2.「プロフェッショナリズム」 若いメンバーが揃うスタートアップですが、パートナーは大きな組織が多く、求められるクオリティーは高いです。全てはファンのためであることを忘れず、自身がプロであることを意識してほしいです。 3.「ギークであろう」 中途半端な取り組みはファンにバレます。自分自身が熱量高く楽しみ、熱中しましょう。 スポーツ/エンターテインメント領域のスタートアップは少なく、新しい価値をファンに届けられる環境もそう多くありません。当社はそれができる場所です。拡大期に入り、能動的に動きたい人にはどんどん任せていきます。自分の働きで会社を大きくしていく。それができる人、やりたい人に是非来てほしいです。