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モリ環境衛生センター株式会社

  • サービス系
  • 不動産・建設系

人と自然環境の問題を科学的に解決する、環境衛生コンサルティング会社

自社サービス製品あり
シェアトップクラス

企業について

モリ環境衛生センター株式会社は、“人と自然に優しい”をテーマに事業を展開している。自然と人間との間に立ち、その境界線上で生じるトラブルを、生物学や化学、物理学等を用いて科学的に解決するコンサルティング会社だ。創業は1975年。現在(2022年12月)は専務取締役・森重樹氏が二代目として経営を引き継ぐべく、未来を見据えた事業展開を行う。

近年、国内では、都市部にイノシシが出没する、民家の庭や軒下にスズメバチが巣を作る等、野生生物が人間の生活領域に侵入し騒動となる事態が頻発している。それは国土が急激なスピードで開発される一方、地方の過疎化が進み、自然界と人間の生活領域を管理する知恵や人材が途絶えたことに起因する。

「多くの人々が“里山=人の手が入らない自然豊かな集落”だと思っています。しかしそれは間違いで、里山とは“管理されたはげ山”を指します。日本では古来、人間が自然に手を入れることで、自然界と人間界との境界を維持してきました。ところが過疎化が進むと、その里山が消失し、境界線を維持できなくなって、野生動物が都市部に直接下りてくるようになったのです。大きなスズメバチの巣が街中の民家の軒下にできてしまうという現象も、生物の環境と人間の環境が交錯することで起きています」(森氏)。

人間界と自然界との境界線の再構築。それが、モリ環境衛生センター社が手掛ける事業だ。顧客は、一般家庭から飲食店、民間企業、行政までありとあらゆる属性にまたがる。相談に対し一時的な処理を施すのではなく、クリーンで快適な状態を維持するためのスキームを組み立て、そのスキームに則った対策を示し、住民や従業員が自ら実施できるよう教育を施していく。当事者が自らできない場合は同社が委託を受け、定期的なメンテナンスを施していく。

民間企業からの相談も多い。例えば自動車のテストコースでは、カラスの群による被害の相談があった。カラスが施設内に停車してある自動車のワイパーを持ち去ってコースに落とす。猛スピードで走行する自動車が、そういった異物を踏めば大事故に繋がる。また、ある工業団地に誘致された工場からは、工場敷地内の施設を覆う樹脂製の幌が、何度も猿に破られるという被害の相談が寄せられた。

「一般的な害獣駆除の処理業者なら、殺処分等、駆除することだけを目的とした解決策を採りますが、それでは根本的な解決にはなりません。我々が提案するのは境界線の管理です。このケースでは、工場から5mの範囲を雑草や木が生えないよう伐採してください、とアドバイスをしました。それだけで被害はなくなりました。余計なコストをかけず、最大限の効果が得られる提案をする。それがコンサルタントとしての弊社の役割です」(森氏)。

モリ環境衛生センター社は、愛知県豊田市に拠点を置く会社だ。基本的には東海3県に軸足を置きながらも、関西や四国、北陸、関東等、広範囲からの相談に応えている。営業部をもたない稀な組織。口コミや紹介でビジネスが広がり、定期的なメンテナンスを受託している取引先との契約はコロナ禍の中でさえも一切途切れていない。

その理由は、同社のように技術に立脚し、原理原則に基づいた解決策を提示できる会社が、全国的に珍しいからだ。あえて競合を挙げるとすれば、廃棄物処理、害虫駆除等、限定的な問題に対処できる業者があるのみだ。同社のように本質的な解決策を示し、一気通貫で対策が取れる会社はほとんど存在しない。

2000年代以降、同社が対応すべき事象はさらに拡大した。グローバル化に起因して発生する被害も、同社が引き受ける領分である。日本では過去に、様々な感染症を克服してきた経緯があり、現状では国内にそのリスクはほとんど存在しない。しかしアジアやアフリカ等の新興国では未だに未開の感染症が残っている地域がある。海外への技術移転が加速し、グローバル経済が発展したことで、そういった地域からの物流や人流に紛れ、人類にとって有害な因子が紛れ込むリスクが増えた。例えば目に見えるものでは、2010年代半ば頃から、ヒアリやセアカゴケグモ等、毒性の強い生物が国内で発見され、度々騒動となっている。目に見えないものではデング熱やマラリヤなど感染症がある。2020年から始まった新型コロナウイルス感染症もその一例である。

これらは全て、新興国との繋がりの中で発生したものだ。そしてそれは、大陸と比べて日本の在来生物には毒性の強い種が少ないことに加え、島国で外国との人流も少なかったこと等から、防疫や検疫に対する意識が希薄なまま、未整備な状態でグローバル化を推し進めたことに起因する人災ともいえる現象である。同社はそういった生物の駆除や管理、感染防止対策等の相談にも応じる。

「新型コロナウイルスは、野生コウモリが持つウイルスで、濃厚接触した人との間で変異したものだと言われています。最近は国内でジビエ料理が流行っていますが、疫学的に衛生管理されていない野生動物を食べている点では一緒です。野生動物の肉を食べるという行為が、どのような事態を招くのか分からないまま食べている。日本人はそこまで自然のことを忘れてしまっている。それは現代人が抱える病です。そこに我々の知識や技術を活かせる領域が存在しています」(森氏)。

かつて公共の衛生管理を担ってきたのは全国の自治体だが、天然痘や腸チフス、マラリア、デング熱といった感染症を克服した後に、その機能やノウハウは失われた。欧米の先進国と比べ、防疫専門の教育機関や国家資格も存在しないため対応できる人材も不在だ。食品衛生法に相当するような、貿易を担う機関に予防や駆除等の管理を義務付ける法律も存在しないため、全て対症療法的な一時しのぎの対策で終始してしまう。そういった隙間を埋めているのがモリ環境衛生センター社なのである。新興国における開発の進行やグローバル化、地球温暖化が引き起こす気候の変化等、生物が生きる環境にインパクトを与える要因はこれからもなくならない。同社が果たす役割は今後、ますます重要となってくる。

現在、モリ環境衛生センター社が注力しているのは、ビジョン実現に向けた体制整備だ。大学で薬学を修めた森氏が新卒で入社したのが2005年。ターニングポイントとなったのは、2009年のリーマンショックである。創業当時の事業である有害生物の防除や廃棄物収集運搬の他、環境ホルモン(ダイオキシン等)の環境問題に端を発してリサイクル事業へと業容を拡大していた同社も大きな打撃を受けた。それがきっかけとなり、将来会社を引き継ぐことを明確に意識し始め、全国の経営者100人に直接話を聞くために全国を回り、経営の勉強をし始めた。そしてビジョンがまとまったのが、30歳になった2013年頃である。

以降、事業内容の見直しを図りながら、ビジョン実現に向け、人が成長し続けながら定着しやすい環境作りを進めてきた。例えば、会議等で社員一人ひとりが、自発的に発言し、能動的に動けるよう社内の雰囲気作りを行ってきた。また、社員の多様なライフスタイルや価値観を認め、柔軟な働き方を認めると共に、社員同士のコミュニケーションが取りやすい環境作りも行っている。2022年1月には、居心地の良い環境を提供するために社屋を建築。健康増進のため社内にストレッチルームを設置したり、天井が高く広い空間を設けることでストレスが溜まらない工夫を施したりしている。

今後の課題は、社内業務のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)だ。現在、従来の顧客管理システムを見直し、機動性を高めるための基幹システム構築を進めているところだが、今後はさらにITを活用した業務改善も随時行っていく計画である。

「今回のパンデミックのような有事においては、柔軟性や機動性といった点が組織において重要になってきます。それを担保するにはアナログでは追い付いていけない時代です。よりフレキシブルによりマルチにといった働き方が重要になってくるのではないでしょうか。現代のビジネス環境ではITを活用したコミュニケーションツールがなければ伝達すべき情報が漏れたり、お客様に迷惑をかけてしまいます。今後は総務部の中に社内SEを置き、より市場原理にあった内容に改善していきたいと思います。システムの専門スキルを持ち、外部のベンダーを管理しながら弊社のDXを実現できる人材を募集しています」(森氏)。

森氏が見据えているのは、社内の環境整備だけではない。“100年後の未来を創る”というビジョンに向け、啓蒙活動のプラットフォームとして自社メディアの構築・運営する計画もある。さらにその先には、少子高齢化や労働人口が減少して市場がシュリンクしていく中、失われた里山の代わりに自然界と人間界の境界を管理する仕組みを実現すべくITや機械工学の分野を取り入れていく構想も練る。そのためにもまずは、社内の事業基盤の強化に取り組む考えだ。

「IT系の人材にお伝えしたいことは、世の中は製造業だけではないということです。他にも社会的意義の高い会社は沢山あります。ITスキル×〇〇などという概念で、視野を広げてご自身のスキルが活かせる分野にチャレンジしていただければ嬉しいです」(森氏)。

地球上に人類と生物が存在する限り弊社の事業がなくなることはない。また参入障壁も高いため競争にさらされるリスクは低い。さらに同社のビジネスモデルはあくまでもコンサルティングを軸にしているため粗利が高く、財務基盤もしっかりしている。安定した経営基盤は、時間的にゆとりを持って仕事に取り組める要因である。人々の生活にとって必要不可欠なエッセンシャル・ワーキングを支えることが、モリ環境衛生センター社の社内SEの役割だ。居心地の良い環境で、社会的意義の高い仕事に従事できることが同社の魅力である。

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インタビュー

モリ環境衛生センター株式会社のインタビュー写真
専務取締役・森 重樹氏 1983年生まれ。愛知県出身。大学では薬学を学ぶ。2005年4月、新卒でモリ環境衛生センター株式会社入社。テレビ番組に出演歴多数。

── 新卒で入社されたのは、学生時代から会社を継ぐ意志がおありだったのですか。

いいえ。入社した理由は生まれ育った環境の影響が大きいと思います。ただ、入社するまで、弊社がやっているような仕事があることすら考えたことがありませんでした。

経営を継ぐことを明確に意識し始めたのは、リーマンショックの時です。エッセンシャル・ワーキングなので赤字になることはありませんでしたが、これまでにないような大打撃を受けました。その時に、将来、自分がこの会社を継ぐことに対してリアリティを感じるようになりました。

ただ、リーマンショックで大打撃を受けた要因がどのようなところにあったのか、今後、どのようにリスクヘッジを行うべきなのか等、市場分析や... 続きを読む

企業情報

会社名

モリ環境衛生センター株式会社

業界

サービス系 > その他サービス系

不動産・建設系 > プラント・設備管理・建材

不動産・建設系 > その他不動産・建設系

企業の特徴
自社サービス製品あり、シェアトップクラス
資本金

1000万円

売上(3年分)

202147.35億

202046.76億

201945.42億

設立年月

1983年04月

代表者氏名

代表取締役社長 森 延博

事業内容

■環境衛生コンサルティング
■廃棄物処理業(収集運搬から・中間処分を含む)

株式公開(証券取引所)

非上場

主要取引先

<官公庁> 県内市町村、愛知県、国  <製造業> トヨタグループ、小島プレス工業、フタバ産業、アイコクアルファ、パナソニック、LIXILグループ 住友ゴム アイホン 寿がきや食品 セリア NTT <衣料> ユニクロ、西松屋 <コンビニ> セブンイレブン、ファミリーマート <建設業> トヨタT&S 建設、清水建設、矢作建設、大林組、大成建設、太啓建設 <住宅メーカー> 積水ハウスグループ、住友林業グループ <不動産> ニッショー、ミニミニ、大東建託、積和不動産、JAあいち豊田  <リゾート> リゾートトラスト <ビルメンテナンス> オリックス、グローブシップ <医療> JA愛知厚生連(県内全ての病院) 及び関連施設(老人保健施設) <物流> クロネコヤマト

従業員数

40人

平均年齢

40.3歳

本社住所

愛知県豊田市月見町1-1-5

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