お客様からのリオーダー率が95%に上る理由をどう分析されていますか。
小西氏:たしかに、予算変更等のお客様側の事情がない限り、リオーダーを頂くことがほとんどですね。 西浦氏:しかもそれまでの案件の単なる継続ではなく、「次のテーマ」を頂けることが、技術者として嬉しく感じます。 川崎氏:リオーダー率が高いのはおそらく、当社は受託した案件を、必ず最後までやり切るからではないでしょうか。お客様と約束したことは徹底してゴールまで持っていきますから。決して途中で放棄したりはしません。「ベーシックさんは逃げないからね」と驚かれるので、逆にこちらが驚くこともありますが。 西浦氏:逃げるどころか、お客様に入り込みますよね。これまでの業務の進め方等を徹底的にヒアリングして、「もっとこうした方がいいのでは?」と立ち入った提案を行うことも珍しくありません。 小西氏:初めて当社にご依頼いただいたお客様は、その指摘がかなりしんどそうですが、案件終了後には当社のファンになってくださいます。
しかし、最後までやり切ることでエンジニアには負荷がかからないのですか?
川崎氏:納期が迫る中で「とにかく頑張ろう!」と発破をかける…というシーンを想像されているようですが、そういうことは当社では起こりません。 西浦氏:最後までやり切るのは確かにそうですが、当社の場合は「やる前」の方が長いのです。 小西氏:第一~第三統括という三つのラインがそれぞれ、内部に営業機能を持っています。つまり、エンジニアが営業を兼ねているのです。 西浦氏:スケジュール、必要な技術、インフラといった受託する前段階で、自分達で対応できる案件かどうかを熟考します。未来のことですから確証は持てませんが、「きっとできるだろう」と判断した上で、案件を受託するのです。 川崎氏:受託については、各事業統括が主体的に運営コンセプトを持ち、そのコンセプトに見合うお客様を開拓しています。「どういうお客様に当社の技術を提供するか」「どういうスケジュールで進めるか」という中期的な展望を持って事業計画を立て、業務を進めていくのです。
御三方の中で、西浦様はキャリア入社組ですね。転職の決め手を教えてください。
西浦氏:もう20年近く前のことなので、はっきりと覚えていませんが…。 小西氏:以前は中堅のシステムインテグレータに勤めていたんですよね?プロジェクトが解散したことが転職のきっかけと聞いていますが。 西浦氏:そうでした。新しい技術を手掛ける組織に入ったのですが、頓挫してしまい、以前の業務に戻らざるを得なくなりました。でも私は、新しい技術にチャレンジしたくて、思い切って飛び出したのです。 川崎氏:当時、当社は新しいWeb技術を習得しようとしていて、その流れを牽引してくれるリーダーが欲しかった。そこに西浦さんが合流してくれたのです。 西浦氏:当時、30代前半でした。 川崎氏:その後、あれよあれよという間に事業統括マネージャー、執行役員です。 西浦氏:当社で長く続けてこられたのは、組織も人も誠実だったからです。変な派閥も駆け引きもない。その風土のおかげだと感じています。 小西氏:当社が求めているのは頭数ではなく「仲間」ですからね。
コロナ禍では社員の方々の安全を優先して、即テレワークにされたそうですね。
川崎氏:実はコロナ禍に入る前から、当社は新しい働き方を模索していました。育児や介護をしながらでも無理なく働ける環境は、これから不可欠です。自然災害に備えて、BCPを整えておく必要もあります。そこでテレワークを推進しようとしていた矢先、パンデミックが起きたのです。小西さんにはすぐ、コロナ対策推進室の責任者をお願いしました。 小西氏:テレワークの目的は、コロナ禍でも事業を継続し、お客様の要望に応えること。社員の安全を守ること。この二つです。緊急事態宣言が発出される前、政府や自治体の対応に先駆けて、2020年2月にテレワークを実施しました。 川崎氏:インターネット通信のコストを手当として支給したり、お客様との関係で常駐先への出社が必要な社員には、臨時の就業手当を設けたり、状況の変化に応じてスピーディーに対応しました。 西浦氏:何らかの形で、社員にとって安定的な就労環境を提供したい。とにかくその一心でしたね。
最後に、貴社が社会性の高い課題の解決に向き合う理由を教えてください。
川崎氏:それが企業理念(「未来社会、創造への挑戦」)だからです。設立当初、高速道路の道路情報表示システムの構築にチャレンジしたことも、現在AI導入支援ソリューション『AI Façade』でAIモデル&アプリを一括で開発・提供していることも、全て企業理念が出発点にあると言えます。 小西氏:企業理念を実現させるためにテクノロジーを用い、マーケットを進化させる。場合によっては、マーケットそのものを創造する。常に新しい分野にチャレンジしているのはそのためであり、医療業界に向けてクラウド遠隔指導支援システム『DxDoor』を開発・サービスインしたのも、スタート地点には企業理念があります。 西浦氏:コロナ禍以降、最高益を更新し続けているのも、その進化・変化に全社を挙げて取り組んだ結果です。おかげで賞与が出なかった期はありません。「仲間」である社員の頑張りにはしっかり応える。それがベーシックという会社です。