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インタビュー画像代表取締役 井上 俊一氏

エンジニアとしてキャリアのスタートは?

1995年、新卒で警備サービス会社の研究所に入りました。そこで画像処理の研究をしていました。Windows95が出たタイミングで、研究室ではずっとUSの企業が手掛けるWeb検索サービスを使っていました。時は折しも「インターネット黎明期」。警備サービス会社で働いていた頃に、インターネットが凄まじい勢いで興隆していました。研究する環境を自分で整えるため、インターネットでオープンソースのプログラムを探して、自分でコンパイルする時代。その頃は本当に検索エンジンのお世話になりました。 研究という仕事は、結果に繋がるまでの期間が長く、10年スパンで物を見なければなりません。もう少し時代の変化を感じられるポジションでエンジニアをしたいと思っていました。特に、インターネットで検索して必要な情報を得る便利さを広めたいと考えるようになり、検索エンジンを作っている会社に転職を希望。ちょうどUSの検索エンジン・ポータルサイト等を手掛ける会社が日本支社を立ち上げるタイミングで、日本支社の一人目のエンジニアとして入社しました。

USの検索エンジン・ポータルサイト等を手掛ける会社の日本支社ではどんな仕事をしましたか?

私が入社した当時、Web検索エンジンを開発している会社は世界に数社ありました。Googleが世の中に登場する直前です。私もWeb検索エンジンの開発に携わりました。検索エンジンは、クローラというプログラムが、いろんな言語のページをとにかく集めます。その後に、言語判定をしてインデックスを作ります。日本支社のエンジニアとして、本国でUSのエンジニアと一緒に検索エンジンの開発に携わり、特に日本語対応を担当していました。 その会社では、約6年間働きました。最終的には日本支社のCTOという立場で、技術系の全般を見るようになりました。ただ、USの本社が倒産して、日本支社だけが残り、Web検索エンジンの開発はストップ。新興勢力であったGoogleと提携して、Googleの検索エンジンを使用するようになりました。Googleの検索エンジンを使ってサービスを開発するのが面白くなくて、Web検索エンジンの開発ができるフィールドを求めて、検索エンジンやイーコマース事業等を手掛ける大手インターネット関連企業に移籍しました。

検索エンジンやイーコマース事業等を手掛けるインターネット関連企業での役割は?

私が検索エンジンやイーコマース事業等を手掛けるインターネット関連企業に入った頃、Web検索エンジンを開発する会社をいくつか買収して、自作のWeb検索エンジンを開発する大きなプロジェクトが動いていました。Web検索エンジンは、二つのタイプがあります。クローラと呼ばれるプログラムでウェブ上の文書や画像等を周期的に取得して自動的にデータベース化する「ロボット型検索エンジン」と、人手で構築したウェブディレクトリ内を検索する「ディレクトリ型検索エンジン」。その会社が手掛けるサイトはディレクトリ型のポータルサイトであり、当時はGoogleのサーチエンジンを使用していました。 検索エンジンやイーコマース事業等を手掛けるインターネット関連企業では、約4年働きました。私が入社して「検索事業部」という部署を作ってもらい、そこでWeb検索エンジンの開発を手掛けました。検索事業の日本での最高責任者というポジションで、知恵袋のサイトも私の部署で開発しました。プロダクトの開発だけでなく、広告収益に対する責任も担っていました。Googleに対抗するという触れ込みでWeb検索エンジンの開発を進めていたのですが、USの関連会社の業績が悪化し、Web検索エンジンと検索連動型広告エンジンを他社に事業部ごと売却することになり、会社が提供するインターネット検索サービスではGoogleの検索エンジンを使用することになりました。

検索エンジンやイーコマース事業等を手掛けるインターネット関連企業を辞めた後のキャリアは?

また検索エンジンの開発ができなくなって、会社を辞めることにしました。検索エンジンに関われる企業はどこか、と世界を見渡して考えていた頃、声を掛けてくれたのが中国の検索エンジンを提供する会社の創業者でした。日本法人を立ち上げたばかりとのことで、私は日本法人のトップに就任しました。 その会社は、中国でGoogleの真似をして成功した会社。サーチエンジンの巨人であるGoogleに対抗しようと考えましたが、厳しい戦いを強いられました。中国の検索エンジンを提供する会社での経験は、Web検索エンジンの開発に見切りをつけるきっかけとなりました。Googleと同じ土俵で戦っても、もう勝負はついている。その事実が、はっきりと分かったのです。加えて、ずっと「日本法人」で働いてきましたが、自分の考えたプロダクトを世に送り出したいという気持ちが強くなって、当社を立ち上げました。 起業を考えていたタイミングで、ヨドバシカメラで働いていた知人で現在はヨドバシカメラの社長を務める人物ですが、彼からEC検索エンジンの開発を依頼されました。検索エンジンやイーコマース事業等を手掛けるインターネット関連企業に勤務していた時の仲間と一緒に、EC検索エンジンの開発に日本で初めてチャレンジすることになりました。

ユニバーサルナレッジで実現したいことは?

ヨドバシカメラ向けに開発したEC検索エンジンは、狙い通りの効果を発揮して、ヨドバシカメラのEC事業は急拡大しました。日本で初めてのデータドリブンなECサイト検索エンジンを開発したのですが、見習うべきライバルがいます。Amazonです。私の対戦相手がGoogleからAmazonに変わった感じです。 Amazonの検索やレコメンドは、非常に良くできています。それに対抗できる日本のECサイトは、どこにもありませんでした。このままでは、日本人のインターネットショッピングは全部Amazonになってしまうという危機感をヨドバシカメラと共有しています。Amazonに対抗できるものを提供したいという気持ちで、ECサイト検索エンジンの開発を続けています。 ヨドバシカメラでの開発のノウハウを活用して『ユニサーチ』が生まれました。Amazonに対抗するには、ヨドバシカメラだけでなく、『ユニサーチ』を導入した日本のECサイトが総出で戦う必要があります。日本のECサイトがデータドリブンな検索エンジンを積むことによって、みんなでAmazonに対抗したいと考えています。社名の「ユニバーサルナレッジ」には、知識やデータを分かち合いたいという思いを込めています。ヨドバシカメラでのナレッジをパッケージ化したことで、中小規模のECサイトでも導入できるコスト感も実現できました。

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