代表取締役　桑原 弘明氏

ご略歴をお教えください。

広島県にある高等専門学校を卒業後、大手電機メーカー系のプラントエンジニアリング会社に入社。19年間主にSEとして官公庁系の大規模設備のシステム設計や営業サポートに携わりました。そして2008年、父親が創業し経営していた東洋電装に入社します。 当時、大手企業のコンプライアンスが急に厳しくなり、それまで自由にやれていたことができなくなったのです。それで仕事が面白くなくなるとともに、その会社での自分の将来像も見えてきたので、父親の会社でチャレンジしてみたいと思ったことが動機です。 事業承継が既定路線であったわけでは全くなく、父親は一代限りでこの会社を事業譲渡なり売却なりするつもりでいました。したがって、私も一度も「継いでほしい」等と言われたことはなかったのです。だからこそ、チャレンジしてみたいと思ったのかもしれません。父親は、それならば会社を存続させようと思い直し、受け入れてくれました。2008年に入社し、2014年に二代目の社長に就任しました。

御社をどういう会社にしていこうと考えていますか？

まずは、会社として正しく成り立たせることを基本とした上で、売上高10億円のグループ会社を10社設立させ、100億円の企業グループにしていこうと考えました。それには、次のような背景があります。 当時の東洋電装は制御盤の専業メーカーでしたが、制御盤の業界は顧客の業種ごとに品質や納期、価格がバラバラなのです。例えば、ビルの空調分野は品質を落としてでも安い製品を早く納品することが求められる一方、官公庁系の納期は1年半後で、高品質でそれなりの高価格の製品を納入する必要があります。問題は、これらを一つの工場で混在してつくることにあり、混乱の原因となっていました。そこで、業界ごとに体制を分けてやっていくべきと考えていたのです。 そして、東洋電装が制御盤とは異なる新規事業として高速道路会社からネットワークやシステム構築の仕事を獲得して多角化することになりました。現在は分社化ではなく事業部を分けて対応していますが、カスタム品をつくるには顧客ごとにアジャストしたものづくり体制の方がいいと実感しており、改めて2030年までに10億円・10社体制を目標に掲げています。 進捗状況としては、2015年にバロ電機工業にM&Aを行い、2018年にはTD衛星通信システム、2019年にはZIPCAREを事業譲渡の形でグループ化しています。 2030年までに、まずは現行の事業拡大に取り組み、経営者人材を育成して分社化を図るとともに、事業承継難の企業等へのM&Aも積極的に行っていきます。 グループ経営のコンセプトとしては、ものづくり集団という基本をブラさず、“技術”“顧客志向”“スピード”という3軸を重視して技術者を中心に事業を組み立てていきます。企業や事業にある元々の価値を見極め、強い部分を大切に伸ばすとともに、グループ共通プラットフォームで効率化を図るといったことが基軸となります。

桑原さんの仕事観をお聞かせください。

人生時間の3分の1を費やすことであり、自己成長、自己実現の上で最も重要なことであると思います。したがって、決して疎かにはできません。特に社長になってからますますその思いが強くなり、仕事中心の人生となっていますが、そのことが非常に楽しいと感じています。

社員に対して、御社でどんな人生を過ごしてほしいかの思いをお聞かせください。

当グループはほとんどが自社ブランドの製品を手掛けており、基本的に下請け仕事はありません。かつ、社会課題の解決に直結するものばかりと自負していますので、やりがいを感じてもらえると思います。そんな当グループで仕事をするからには、自分なりの目標を決め、達成感を覚えながら成長に繋げてほしいですね。現在のグループの総売上高は20億円強で、目標まで80億円ほどの余地があります。社員には、仕事で自己成長、自己実現を図り、グループの成長に貢献してほしいと願っています。

オフタイムは、どういった過ごし方をしているのでしょうか？

仕事中心の毎日ですが、たまに休息を取らないと頭がパンクしてしまうと感じています。そこで、月1～2日は仕事のことは何も考えずボーっと過ごしたり、ゴルフや釣りをしたりして、頭の中がクリアになるよう心掛けています。釣りは瀬戸内海に船を出し、仲間やお客様と一緒に楽しむことが多いですね。