代表取締役社長　加藤 格 IHIグループ一筋32年の経営者。 IHIグループの基幹システムや国際宇宙ステーションの技術管理情報システムなど, 数々の重要なプロジェクトでマネジメントや開発のリーダーを担ってきた。 「スマートワーク推進部」では，IHIグループの働き方改革にもチャレンジ。 2023年4月,IHIエスキューブ代表取締役社長に就任。

IHIグループではどんなキャリアを歩みましたか？

慶應義塾大学理工学部管理工学科を卒業後, 新卒で石川島播磨重工業株式会社（現在のIHI）に入社しました。情報システム部に配属となり,約7年間，主に製造現場のシステム開発に携わりました。 その後,宇宙開発事業団（現在のJAXA）に出向となり,筑波宇宙センターの宇宙環境利用推進部という部署で国際宇宙ステーション「きぼう」の開発プロジェクトで技術情報を管理するシステムを担当しました。 余談ですが,宇宙飛行士が所属する部門と同じフロアで働いていて，その中でも野口聡一さんは,IHIの同期でもあります。昨年度IHIのエグゼクティブアドバイザー就任された際には，再び近くで仕事をする機会を得て，何か縁のようなものを感じます。 3年間の出向を終えてIHIの情報システム部に戻り，全社の基幹システムの開発を6年間担当しました。2007年度にIHIの大型プロジェクト案件の計画精度の向上が全社の大きな経営課題となり，新たに受注前のプロジェクト審査機能の強化に取り組むことになりました。私はその推進部門に異動し，3年かけて受注前の大型プロジェクト案件審査のルールとプロセスを構築し，その運用を軌道に乗せました。

IHIエスキューブの社長としての抱負は？

IHIの大型プロジェクト案件審査の仕事を3年間担当した後，IHIエスキューブに籍を移しました。グループや副事業部長を経験し，大勢の部下を持つことになり，組織マネジメントを学ぶ非常によい機会だったと今振り返ると思います。 その後，IHIに戻り7年間情報システム部門の企画管理部長を務め，さらに2年間，スマートワーク推進部でIHIグループの働き方改革に取り組みました。そして，2023年4月にIHIエスキューブの社長に就任し現在に至っています。 IHIエスキューブの社長としてまず手がけたいのは，エンジニア全体のスキルの向上を図り，プレゼンスを高めることです。IHIグループ内の情報子会社という立ち位置は，ともすると下請けという意識に陥ってしまいがちです。当社エンジニアのスキルや意識の向上をとおして，IHI本体を含むグループ各社にとって「信頼できるパートナー」の立場で，デジタル技術によって事業や経営を牽引できる会社にしたと考えています。 IHIグループの事業部門は，今やデジタル技術無しでは競争力を強化することはできません。受け身にならず，どんどん意見やアイデアを出し，デジタル技術のプロ集団としてIHIグループをリードする姿勢と行動をとっていきます。

IHIエスキューブの社員に求めるものは？

社員に求めるのは，チャレンジするマインドと気概です。自分なりの夢や目標を持って，それを実現するために小さなステップでもよいので,一つひとつチャレンジを積みあげていく。それがやがて，長期的には，社員一人ひとり，そして組織にとって大きな夢や目標の実現につながっていく。そんな行動を，自ら能動的にとってほしいと思います。 　私は「変化を待たずに，自ら迎えに行く」という言葉が大好きです。IHIのスマートワーク推進部で働いていた時に部下が作った言葉なのですが，自ら変化を生み出しチャンスを作っていく姿勢は，当社の社員にも求めたいです。 　チャレンジマインドを持っている社員には，会社でも成長をバックアップする様々なサポートをしたいと考えています。 　また，社会人歴の長いベテランもたくさん在籍しているので，経験ある人にアドバイスをもらえる環境もIHIエスキューブで働くメリットだと思います。私もIHIグループで32年働いてくる中で，様々な経験をさせてもらいました。それを若い世代に伝え，双方向の対話に繋げたいと思い，社内ブログを発信することにしました。上から下へ，前から後ろへ，経験や知識を伝え，若い人たちからは夢や目標などの思いを聞き，未来に向けて夢のある議論ができる，そんな会社にしていきたいと思っています。

仕事をする上で大切にしていることは？

　一番大切にしているのは，何事も前向きに捉えることです。一生懸命に働いていれば，誰にでも嫌なことはあるものです。ただ，嫌なことを嫌の一言で片づけずにそこから得られるものもあるだろうと前向きに捉えることで，仕事も人生も様変わりすると思っています。 　仕事は自己実現の場でもあると考えます。１日の時間のうち3分の1は仕事をしているわけですから，仕事の時間を大切にして，そこで自己実現ができれば人は幸せになれると信じています。 　もう一つ，これは社内ブログでも発信したのですが，「自分事に捉える」「人のせいにしない」のが私のポリシーです。 「自分には関係ない」と他人事や他責にすれば，そこで「思考停止」に陥ってしまいます。苦しい局面に置かれると自分だけではどうしようもないことも多々あります。そんな状況でも，「自分にはできない」と簡単に諦めずに，「自分にも何かできることがあるはずだ」と知恵を絞り出すことが大切だと考えています。 　例えば，自分の身の回りで起こっている課題であれば，誰かに相談して影響力のある人につながることで局面を打開できることもあるはずです。諦めないで粘り強く努力していると，不思議とフォローの風が吹いてきます。アンテナを高くし，そのチャンスを的確に捕まえて気運に乗れば，物事は好転していきます。

趣味は何ですか？

　水泳歴46年です。小学校でスイミングスクールに通い，中高大とずっと水泳部に所属していました。社会人になってからもスポーツクラブに所属し水泳を続けました。そのクラブにはマスターズ選手クラスというのがあって，高校や大学で本気で水泳やっていた人たちが集まっていました。20年前にそのスポーツクラブは閉鎖してしまったのですが，その時のメンバーでチームを結成し，新メンバーを加えながら今でも活動を続けています。 　最近は，プールで行われる競泳の大会だけでなく，海で行なわれる長距離の水泳競技「オープンウォータースイミング」の大会などにも，そのチームメイトと参加しています。