株式会社B4A

業種を限定したSaaSである「バーティカルSaaS」は、ターゲットとなる業種に特化した機能を持ち、業界特有の問題を解決できる。株式会社B4Aが開発・提供している自由診療クリニック向けの電子カルテ・DXツール『B4A（ビーフォーエー）』は、自由診療クリニックにターゲットを絞った「バーティカルSaaS」だ。

『B4A』は、予約・電子カルテ・顧客管理・決済まで、自由診療クリニック運営に必要な機能を網羅的に備えている。『B4A』を導入するだけで、新規集客獲得、リピート率向上、業務効率改善を通じ、売上・収益アップを実現するツールだ。

「美容クリニック、AGAクリニック、脱毛クリニック等、自由診療クリニックの運営に特化したSaaSを開発しています。自由診療は病気や怪我で受ける保険診療とはオペレーションが似て非なるところがあり、従来の保険診療向けのツールではニーズとマッチしづらいです」（CTO・前原秀徳氏）。

自由診療クリニックの運営に必要な機能をオールインワンで提供しているのが『B4A』の特徴。予約・電子カルテ・請求書発行・スタッフ管理といったクリニック運営に必要なツールを備えるだけでなく、マーケティング機能やレポート機能といった自能も搭載している。

「自由診療クリニックでは、積極的なマーケティング活動も重要です。売上アップのために、メールやSNSを駆使してマーケティングやブランディングを行っています。そういったマーケティング活動をサポートするために『B4A』には、マーケティング機能やレポート機能も備わっています」（前原氏）。

そして、『B4A』最大のストロングポイントといえるのが「リアルタイム予約」。自由診療クリニックのニーズに特化して作り込んだものになっている。

「B4Aの予約機能は自由診療クリニックのニーズに特化して作り込んでいます。予約時に診察・カウンセリング・施術といった各ステップごとに必要なリソース、すなわちスタッフ、部屋、機材のアサインが自動で決定するロジックを作りました。これによりユーザー・クリニック双方に便利なリアルタイム予約を実現させました。また、診察・カウンセリング・施術といった各ステップごとに必要なリソースをアサインをしますので、不要な枠を押さえて稼働率を下げてしまうといったこともありません」（前原氏）。

同社の代表取締役CEOである植松正太郎氏は、医療情報サイト、ゲノム医療、遠隔医療等の会社でディビジョンヘッドやボードメンバーを務めてきた人物。医療IT業界でビジネスを続けてきた経歴を持っている。その中で、自由診療クリニックにおけるDXが、保険診療のクリニックに比べ遅れている課題を発見。自由診療クリニック向けの『B4A』を開発した。

既に200医院以上で導入されている『B4A』だが、開発はまだまだ続く。事前決済機能やポイントシステム等、自由診療クリニックで求められている機能を追加すべくアップデートを続けていく。

「2023年9月にシリーズAラウンドの資金調達を実施しました。この資金調達により累計資金調達額は約5億円に到達しました。ここからプロダクト開発や人材採用を一気に加速していきたいと考えています」（前原氏）。

バーティカルSaaSは、どの業界にベットするかによって、ビジネスの成功が左右される。その点でいえば、同社は「自由診療クリニック」という的確なターゲティングに成功したといえるかもしれない。あとは、技術力とアイデアで『B4A』を最高のUI/UXを備えたツールに育て上げ、業界トップの地位を揺るぎないものとすることで、ビジネスは成功へと導かれる。

「まだまだ開発しなければならない機能が沢山あります。『B4A』は毎日使われるプロダクトですし、機能ベースで見ればゼロイチの開発がある状態なので、やりがいのある仕事が体験できると思います」（前原氏）。

『B4A』は、モダンなアーキテクチャを採用しており、技術が好きなエンジニアも開発を満喫できる環境が整っているといえるだろう。

フロントエンドは「Next.js」「TypeScript」。バックエンドは「Ruby on Rails」で書かれており、一部パフォーマンスの最適化が必要な箇所は「Go」を使っている。インフラは「AWS」を使用し、「Terraform」で管理。全APIに「GraphQL」を採用している。

「フロントエンド・バックエンド・インフラの担当を分けずに開発をしているため、フルスタックエンジニアのキャリアを構築できます。また、クリニックの現場で働く人の声を頻繁に拾い上げて開発に生かすような体制にしています。」（前原氏）。

スタートアップで事業を爆発的にグロースさせる局面に差し掛かっているため、開発スピードは非常に重要だ。一方、毎日使われる基幹システムで医療情報を扱うシステムでもあるため、安定性とセキュリティも非常に重要となる。

「中長期の観点で開発スピードを維持するには、設計・テストの段階で手を抜かないことが非常に重要だと考えています。特に、後から変更するのが大変なデータベースのテーブル設計や、サーバサイドのテストは手厚く行っています。また、医療データというセンシティブな個人情報を扱っているため、セキュリティも最重要事項です。厚生労働省、総務省・経済産業省のガイドラインを参照しながらセキュアな実装をする必要があります」（前原氏）。

働き方に関しては、開発チームは裁量労働制でフルリモートが可能である。

「開発チームの中にはまだ一度もリアルで会ったことがないメンバーもいます。今後も開発チームに関しては、住んでいる場所は全国どこでも問題ありません。毎朝デイリーMTGでコミュニケーションを取っていることもあり、フルリモートでも特に問題は起きてません。東京に在住していない方でもぜひご応募いただければと思います」（前原氏）。