Bless International株式会社

「日本と世界をHAPPYでつなぐ」をコーポレートミッションに掲げ、「購入代行」と「クロスオーバー（越境）EC」という二つの事業を柱に、日本の魅力的なプロダクトを世界中のユーザーに届ける独自のビジネスモデルで成長を続けるBless International（ブレス・インターナショナル）株式会社。ユーザーは中国、アメリカ、スペイン、ドイツ、フランス等、世界150カ国以上に広がっている。

同社のサービスを世界中に広げたメインエンジンは、同社が開発・提供する海外購入代行サイト『Neokyo』。現在のように越境EC市場が活況を呈するずっと前から、メイドインジャパンのプロダクトに興味を持つ海外在住のユーザーは多数存在した。だが、決済や発送のハードルの高さと相俟って、Web上で日本の商品を手に入れることは困難だった。この強固な障壁を一掃したのが『Neokyo』だ。日本国内の幅広いマーケットプレイス（ECサイト）から、欲しいものを見つけて入手するプロセスをワンストップで提供する画期的なプラットフォームである。

『Neokyo』のトップ画面を見れば、その実力は一目瞭然。画面上部のバーに、日本国内のフリマアプリやマーケットプレイスの大手が軒並み名を連ねている。その全てが、同社と緊密に連携する公式越境パートナー。海外ユーザーは日本国内の消費者と同じように、画面上で欲しい商品をリクエストするだけで購入完了だ。
あるフリマアプリでは、選んだ商品を45日間カートに留めて送料を抑えつつまとめ買いを容易にするという、日本国内にはないサービスまで付加。こうした快適で使い勝手の良いユーザビリティが評価され、2024年5月現在、会員ネットワークは世界150カ国以上に広がっている。

『Neokyo』全体では日本文化、とりわけクールジャパンの世界的な支持の広がりに伴い、フィギュア、DVD、カード、ゴスロリファッション等、アニメやゲームに関する商品の取扱いが目立つ。近年では大手タレント事務所とも提携し、公式サプライヤーとして世界中のファンにアイドルの推し活グッズを届けている。

『Neokyo』のローンチは2018年10月。その後、新型コロナウイルスの感染拡大に伴ってステイホームのライフスタイルが世界中で浸透した2020年以降、会員数が急激に伸び、同社の右肩上がりの成長を支えた経緯がある。『Neokyo』は現在バージョンⅡ。バージョンⅢへのグレードアップをはじめ、世界中の新規ユーザーの開拓を視野に、さらなる改良・改修を進めていく。

少子高齢化と人口減少を背景に国内市場の縮小が続く中、インバウンドと並ぶ数少ない成長領域として、越境ECの重要性は年々高まっており、多くの企業が海外市場に活路を求め始めている。その一方で、言語の壁、物流の壁、決済の壁といったハードルを越えられず、越境ECに踏み出せないでいる企業も少なくない。そうした企業をサポートし、日本の魅力的なプロダクトを世界市場に押し上げるのが、『Neokyo』と並ぶ同社の主力事業「クロスボーダー（越境）EC」のミッションだ。
『Neokyo』が海外ユーザーの具体的な購入意志、つまり「ニーズありき」のビジネスであるのに対し、越境ECは「提案ありき」「発信ありき」のBtoBのスキーム。高品質だが知られていない「良いもの」を生み出すメーカーを発掘・協働し、世界的に人気の高い文房具をはじめ、雑貨、日用品、玩具等、様々な日本製品を世界各国のECモール等を介して販売している。
同社の創業者で、現在も代表を務める佐藤光男氏は、「唐津焼やプロ仕様の包丁等、伝統工芸品も扱っています。日本の素晴らしい製品を手に取り、日本に思いをはせる…そんな交流を、当社のプラットフォームを通じて広げながら、日本の文化を世界に発信していきたいと思っています」と話す。

佐藤氏は高校時代から「いつかは起業したい」と目標を定め、大学卒業後、2年間の事業会社勤務を経て2009年、福岡市で同社を創業した。2011年には、『Neokyo』の前身となる購入代行サービス『Buy Nippon』をリリース。やがて、主に日本国内の中古車や自動車部品を扱う中で、日本製品を求める海外ユーザーが想像以上に多いことを実感する。その後、『Neokyo』を立ち上げ、着実な成長を続けている。
「業績とは、お客様の“ありがとう”の集積であり、顧客満足に向けて全員で努力を重ねた証しです。日本の越境ECの市場規模は、アメリカ・中国だけでも約3兆円（2020年）に達し、今後さらに加速度的な成長が見込まれています。これからも“ありがとう”を誠実に集め続けながら、事業拡大を目指します」（佐藤氏）。

着実な成長ぶりを映し出すように、同社の事業拠点は福岡市内と近郊に続々と広がっている。本社機能は中央区平尾に。春日市の春日オフィスには物流倉庫もあり、Neokyo事業部の主力メンバーが揃う。今年（2024年）春には、博多区山王にも倉庫が開設された。同様に、博多駅至近の位置に最近新設された博多オフィスでは、人事や総務等のコーポレート本部、『Neokyo』のセールスチームとエンジニアチームが勤務。このほか南区高宮と的場のオフィスにはグローバル事業部が在籍し、越境ECや「EC×商社」案件に取り組んでいる。

越境ECの可能性を追求するベンチャーだけに、外国籍の社員も際立って多い。フランス、イギリス、インド、インドネシア、コスタリカ、中国、台湾、ブラジル…と、正社員の3割が外国籍。日本人社員のバックグラウンドも多種多様で、フリーター、物流系、コールセンター、接客業等のほか、留学・ワーキングホリデー・バックパッカー経験者等、グローバルな社内環境に魅かれて入社した人も目立つ。
また佐藤氏も含めてお互いに役職名でなく「～さん」付けで呼び合うフラットなカルチャーがある。自由に話し合える空気の中で、業務改善提案等、キャリアに関係なく意見を出し、お互いを否定することなく協議を進め、業務のブラッシュアップにつなげている。

「当社の本当の強みは、オペレーションの質の高さにあると思っています。丁寧な梱包、誤配がほぼゼロ等、お客様の口コミやサービス評価が際立って高いのは、社員一人ひとりが高いモチベーションを持って日々の業務に真剣に取り組んでいるからこそです」（佐藤氏）。

伸び伸びと成長できる環境に加え、各事業部のマネージャーが定期的に社員と1on1で面談する目標管理を徹底していることも、個々のモチベーションアップにつながっているようだ。

年間休日数は124日。オンとオフの切り分けは鮮明で、残業時間も月間平均10時間程度にとどまり、男女共に産休育休制度の取得実績がある等、ワークライフバランスも良好だ。
一方で福利厚生制度についてはまだまだ整備途上だが、外部講師による英会話レッスンの補助、業務に必要な図書購入補助等、徐々に充実を図っており、今後もメンバーの要望に対応しながらさらなる充実を図っていく方針だ。

「越境EC市場の伸びが加速する中、早ければ3年で年商100億円、近い将来には1,000億円の達成も見据えています。マーケティング、システム開発、物流管理と、どの部門、どの職種であれ、共に大きな成長を達成する手ごたえは共通しています。ぜひ、前向きな意欲に溢れた方と出会いたい、と思っています」（佐藤氏）。