株式会社GOAT

システムインテグレータ（SI）事業、システムエンジニアリングサービス（SES）事業を通じて、コンサルティングからスマートフォンアプリケーション開発まで幅広いサービスを提供する株式会社GOAT（ゴート）。「史上最高のパフォーマンスを発揮し、史上最高のモノを生み出す」というフィロソフィーを掲げて2018年に設立した同社は着実に顧客の信頼を獲得し、業績を伸ばしてきた。社名のGOATは、フィロソフィーの「史上最高」（Greatest Of All Time）に由来する。

同社の開発実績は新規・改修案件とも多岐にわたる。例えばSI事業で手掛けてきた案件の一部は以下の通りだ。

〈新規開発・構築〉
■建築商材ECサイトの用件定義〜リリース／使用言語：Symfony (4.4)、HTML5、CSS3、Javascript
■生活支援業者データベースサイト画面設計〜フロント＆バックエンド開発〜データ移行／使用言語：PHP (Laravel)、HTML5、CSS3、Javascript (jQuery)

〈改修〉
■金融機関系スマートフォンアプリのクロスプラットフォーム開発／使用言語：Apatch Cordova、HTML5、CSS3、Javascript
■ドローン系イベントサイトの機能追加／使用言語：PHP (Smarty)、HTML、CSS、Javascript

このほかにもFlutterを用いた視力検査・視力回復トレーニングアプリのクロスプラットフォーム開発、大手店舗系ポータルサイトのマイグレーション等、あえて顧客の業界を絞らず様々な案件を請け負い、会社としての守備範囲を常に広げている。

もう一つの柱が自社プロダクトの開発だ。2022年8月、同社はマルチイベントカレンダーメディア『UNDAR』（アンダー）をリリースした。チケットの予約日・抽選日、新商品の発売日、映画の公開日等、世の中の様々なカレンダーを結合し、ユーザーの目的にあったイベントを発見できるメディアである。同社はこのようなプロダクトの開発にも力を入れている。

「どの業界の案件を請け負うかを考える必要はないと思っています。WEBアプリやスマホアプリに注力してエンジニアに経験を積んでもらい、ノウハウを蓄積して自社プロダクトの開発に繋げるほうが、仕事は楽しくなりますから」（代表取締役社長・荒木諒哉氏）。

同社のエンジニアは現在17名。SI事業とSES事業にほぼ半々に分かれていて、SES事業はさらにアプリ／インフラ／ITS（ローキャリア向けのテスト、ヘルプデスク等のITサポート）の3チームで構成されている。「週1回は出社」を原則に、出社とリモートワークのハイブリッドで開発を進めている。

どの案件についても、エンジニアが一人でアサインされることはまずない。例えばマネージャーとローキャリアのエンジニアというように、必ず複数で現場に入り、OJTを行いながら開発に当たっている。ここで注目したいのは、同社では「OJT手当」を支給していることだ。ローキャリアのエンジニアを一人指導する場合は月1万円を支給。「実務未経験者を教える場合は1年かけてもらうことになる」（荒木氏）とのことなので、年間12万円になる。

「真剣にやればやるほどOJTは大変です。単に仕事が増えるだけで、役職が上がるわけでもないですから。私自身“タダで教えるなんて冗談じゃない”と考えるタイプなので、設立間もない頃からOJT手当を支給するようにしました」（荒木氏）。

このような環境で、元電気工事士や元植木職人など未経験からスタートしたエンジニアが3〜4年でマネージャーに昇進している。そして、マネージャークラスの育成は荒木氏自身が行う。荒木氏が入るSI事業の案件にマネージャークラスのエンジニアを帯同。荒木氏の近くで仕事をすることで顧客との折衝などマネージャーに必要なことを学んでもらうのだ。特に重視しているのは、顧客とエンジニア両方の視点を持つこと。それぞれの立場になり「こうしてほしいだろうな」と考えて行動できるエンジニアの育成に力を入れている。そんな取り組み姿勢が同社の成長を支えてきたからだ。

OJT手当という収入面でのサポートと、社長から直接仕事を学べる機会を得られることから、同社にはマネジメント志向のエンジニアが多いという。

「当面はSI事業に力を入れていきたいと考えています。というのも、SI案件であれば会社としての対応が可能になるからです。会社として、つまりみんなでお客様の要望に応えることがこの仕事の魅力ですし、エンジニアの成長にも繋がります。一人でできる限界値とみんなでできる限界値は、後者の方が比較にならないほど高い、というか多分無限ですよ。だから“みんなで”案件に入ることが大切なのです」（荒木氏）。

OJTを通じた育成は先述の通りだが、同社のエンジニア育成は入社したタイミングですでにスタートしている。「史上最高のパフォーマンスを発揮し、史上最高のモノを生み出す」というフィロソフィーの下、エンジニア一人ひとりに合わせたキャリアビジョンを策定しているのだ。

まずエンジニア本人に自らの将来像を描いてもらう。その将来像を、会社での役割、身につけたい技術、理想とする働き方や年収などの具体的な目標に落とし込み、1年ごとに進捗を確認していく、という流れだ。

「スマホアプリのプロフェッショナルになりたい」
「フルスタックエンジニアになりたい」
「フルリモートで安定して働けるようにしたい」
「残業が多くなってもよいので年収をこのレベルにしたい」
…など、わがままに将来像を設定してもらい、実現に必要な目標を決めて、会社としてサポートしていく。案件の獲得もエンジニア一人ひとりの要望に合わせることが最優先で、無理やり案件を増やすことはしていない。このようにきめ細かいアサインを行うため、「いたずらに人員を増やすことは考えていない」（荒木氏）そうだ。

また、勉強会の開催にも力を入れている。月1回は社内のエンジニアによる勉強会を開催。Udemyなど社外の研修も、申請をすれば基本的に自由に受けられる。

何より注目したいのは収入面だ。同社ではフリーランスに高還元を行っているSESの報酬額を参考に、ベースの給与を高めに設定。単価連動制ではなく、年4回の昇給制度を導入することで、エンジニアは安定した収入を得られるようになっている。入社後の1〜3年で年収を90〜150万円アップさせたエンジニアは珍しくない。

このような取り組みの根幹にあるのが、「エンジニアの市場価値を上げたい」という荒木氏の思いである。

「請負と自社プロダクトの開発の両輪を実現させて、今いるエンジニアを全員年収1,000万円プレイヤーにしたいと考えています。そして当社を辞めた後も活躍できる市場価値の高いエンジニアにすること。それが社長としてだけではなく、私個人としての夢です。夢を持ってワクワクしながら働くことが大切です。入社時にキャリアビジョンを策定するのも、みんなに具体的な夢を持ってほしいからです」（荒木氏）。

夢を持ち、楽しく働ける環境でキャリアを実現したいエンジニアにとって、同社は最適な環境と言えるだろう。