株式会社ステップ

株式会社ステップは、ITシステムの開発・運用に関わるあらゆる業務を手掛けている企業だ。具体的には、PMO（プロジェクトマネジメントオフィス）、BA（ビジネスアナリスト）、SI（システム開発）、QA（品質保証）、さらに自社プロダクトも提供。特に外資系生命保険会社に対して強みを発揮している。

代表取締役社長の白鳥和明氏は、以前、外資系生命保険会社でBAとして活躍。その知見や経験を武器に、「年金システムを導入したい」「システムを法改正に対応させたい」といった要請が寄せられ、情報収集・分析から設計・要件定義、開発チームのアサインおよびマネジメントまでを担っている。

QAにおいては、他社の開発したシステムも含めてSIT（システム統合テスト）を設計から実施まで受託するケースが多い。企業の情報システムは、基幹システムといくつかのサブシステムで構成されていることが多く、各システムのテストはそれぞれの開発ベンダーが独立して行うことが多い。ただ、業務システム全体として各システムが整合的に稼働するかをテストする必要があり、システムの知見に加えて業務フローにも精通していることが求められる。各ベンダーでは気づけないエラーも含め、システムを回した時の落とし穴を見つけ出してフィードバックする力量が問われるのだ。

「当社は、外資系生命保険会社に対するBAからSITまでにおいて、国内でトップの存在であると自負しています」と白鳥氏は胸を張る。

加えて、システム構築の最終工程であるSITに向けて、それ以前の全工程のスケジュール的なしわ寄せが起こりやすい。そこで、SITとともにPMO業務も受託し、初期の工程からスケジュール管理にも取り組む。「こうした仕事ができるところは、そうそうないのでは」と白鳥氏。

SIにおいては、外資系生命保険会社に限らず、広範な領域に対してSESを提供。自社プロダクトとしては、訪問介護事業者向けのシフト管理やスタッフの自動アサイン、実績登録、伝票自動作成の各機能を備える「みんなの介護システム」を提供。現在は、第２弾のプロダクトを開発しているところだ。

創業者の白鳥氏は、18歳の頃から将来の独立を志望。外資系生命保険会社に在籍し、日本人からは2名しか選ばれなかった次期リーダー育成プログラムに指名される。そのプログラムを卒業した2006年、36歳の時に上層部から「好きなポジションを選んでいい」と言われる。

「この言葉で、このままここにいては辞められなくなると感じたのです。そこで、このタイミングで以前から思い描いていた独立を決めました。育成プログラム卒業直後なので怒られるかと案じましたが、“Congratulation！”と言ってもらえたのです。アメリカ人は懐が深いと思いました」と白鳥氏は述懐する。

当初は習熟していたBA業務の受託からスタート。その後、グローバルコンサルティングファームから業務システムを総点検するプロジェクトを受託する。

「ところが、エラーを一つも見つけられなかったのです。あらゆる条件が重なって発生するバグを見つけるというテスト業務に、奥深さを実感しました。これを機に、SITも手掛けるようになり、徐々にPMOやSI業務にも広げていったという流れです」

今後の成長戦略は、『既存サービスの拡充』と『新領域へのチャレンジ』。既存サービスにおいては、QA業務の幅を広げるべくIT検証産業協会に加盟し、テストの自動化などの機会拡大を図る。新領域へのチャレンジについては、外資系生命保険会社が導入しているSalesforceの保守運用や、広告代理店と連携してのビッグデータによる消費者インサイト解析といった領域への展開を図っていく。

企業理念は「人を成長させる場を創造する」。“ステップ”という社名には、社員に対して「当社を“踏み台”にし、次なる仕事・ポジションを目指してほしい」という思いを込めている。“社員重視”のスタンスについて、白鳥氏は次のように話す。

「お客様から『ステップの社員はかっこいいね！』と言われたいんです。輝いている社員と仕事がしたい。そのために、社員のキャリアや福利厚生、労働時間について、社員の生活が充実するための施策に力を入れています」

同社のキャリアにおいては、人材育成の取り組みが大きな特徴としてある。中途採用で未経験者を積極的に採用しており、OJTとして自社サービスの開発を、最上流からの全工程を経験させているのだ。『みんなの介護システム』は、こうしてリリースされたものである。

「私は『こういうものをつくってほしい』という大枠のイメージを伝えるだけで、『壁にぶち当たったら手を挙げよ』と言っています。後は自分たちで試行錯誤しながら取り組んでもらうわけですが、最初に使うかわからない技術やノウハウを教わっても身にならないでしょう。困った時にどうすればいいかを知ることで、俄然吸収できるということです。なお、つくってほしいプロダクトはまだまだたくさんあります」と白鳥氏。

福利厚生においては、女性社員の出産後でも働きやすい環境づくりが挙げられる。SESでの時短勤務は難しい場合が多いことから、QA業務の受託を拡大。また、就労形態も社員自身に理想の内容を考えさせている。

「時短勤務の場合は、そうではない社員と平等の待遇となるよう、例えば給与体系で差をつけるなどの工夫を考えてもらっています。こうして全体に納得感のある仕組みが出来上がっています」（白鳥氏）

労働時間は、長時間労働をしないことが大前提。しかし、SESでは顧客都合によりままならないケースもある。そうした場合、有給休暇を使って調整させる会社が多いが、ステップでは「調整休暇」を用意して有給とは別に休みを用意。「本来の有給休暇はオフタイムを楽しむためにあるもので、長時間労働の帳尻を合わせるためにあるものではないから」と白鳥氏は言う。

また、毎月第2月曜日の19時30分から全員必参加の定例会議と、続いて同じく必参加の懇親会が行われている。さらに、全員参加の社員旅行も行い、2020年は宮古島に出掛けたという。

「母親の社員の場合は不参加も認めていますが、この参加は入社の条件にするほど重視しています。こういう機会で一体感をつくりたいからです」と白鳥氏。（なお、コロナ禍以降は定例会はリモートで行い、懇親会は中断している。）

そんな同社が求める人材像は、自ら考えて行動し、カルチャーを理解しポジティブに参画できる人材。独自性のある業容で、社員を大切にし、未経験から成長していける風土のあるステップ。少しでも魅力を感じた方はぜひ一度話を聞きに行ってみると良いだろう。