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インタビュー画像代表取締役社長 弁護士(日本・ニューヨーク州) 藤田 美樹氏

弁護士時代はどんな仕事をしてきましたか?

私は日本最大規模を誇る法律事務所に所属していました。国際・国内の企業法務や金融法務、争訟を得意としており、私も企業間紛争の処理に関わっていました。誰もが名前を知る大企業がクライアントで、企業名は明かせませんが、有名な企業間紛争の弁護士を務めた経験もあります。 18年間、その法律事務所に在籍しましたが、その内の2年間はニューヨーク州の法律事務所で働いていました。在籍していた法律事務所には、4年間勤務した弁護士の希望者全員に、留学の学費と1年分の生活費を補助してくれる制度がありました。それを利用して、アメリカで弁護士資格を取得して働きました。 留学中にアメリカのリーガルTechに触れ、日本よりもかなり進んでいるのを目の当たりにしました。当時は私がリーガルTechの仕事をするとは思っていなくて、便利なサービスがあるんだなという程度の印象でした。アメリカから戻り、法律事務所でパートナーのポジションに就きました。そこから5年間、パートナー弁護士として働き、2018年に株式会社リセを設立しました。

大手法律事務所のパートナーを辞めて、株式会社リセを立ち上げた背景は?

リーガルテックを仕事にするのを最初に意識したのは、スカウトでした。海外のリーガルTech企業からの営業を受け、Web会議ツール上でデモを見せてもらいました。そのクオリティーの高さにビックリしました。弁護士の仕事はテクノロジーによって代替されないと思っていたのですが、クオリティーの高さに考え方を改めました。AI弁護士が誕生して弁護士の仕事がなくなるとは思いませんが、弁護士業務の一部をAIが代行する未来はすぐそこまで来ていると感じました。 法律の業界がテクノロジーで変わっていくなら、変える方をやりたいという思いが湧き上がりました。加えて、中小企業が万全の法務体制を築けないばかりに損をしているのを現場で見ていて、何とか合理的な価格で契約書のリーガルチェックを提供できないかという長年の私の課題を、テクノロジーならできると直感しました。 契約書AIレビューは、既に類似のサービスがあったため、どんなサービスを作れば良いかはすぐに決まりました。けれども、私はテクノロジーに関しては素人。開発をしてくれるエンジニアを探しました。これまでに培ったコネクションを生かして、スタートアップに詳しいいろんな人に助けてもらいながら、開発を進めることができました。

契約書AIレビュー『LeCHECK』の開発で気を配った点は?

サービス開発時から、中小企業でも利用できるように「合理的な価格」を意識していました。ただ、「安かろう・悪かろう」にならないように気を配りました。知り合いの弁護士に空いた時間を使って、サービス開発に参画してもらい、サービスのクオリティーにはこだわりました。良い物は売れるという強い信念で開発を進めました。 契約書AIレビューは、弁護士の業務をAIが代わりに行うのですが、それを作るためには弁護士の知識と経験、そしてそれをAIに学習させる地道な作業が必要です。私の18年間における弁護士キャリアの全てを『LeCHECK』に注ぎ込んでいますし、知り合いの優秀な弁護士にも協力してもらっています。 弁護士の仕事は、クオリティーが見えにくいのですが、弁護士の力量によってアウトプットの質は大きく異なります。『LeCHECK』には、実績ある弁護士のノウハウが詰まっていますから、契約書AIレビューの中でも高いクオリティーを持っていると自負しています。ただ、一般の人には理解が難しい点でもあるので、リーガルTechとともに、その辺りの認識も深まることを期待しています。

『LeCHECK』を成長させる上で苦労した点は?

物を売るのがこれほど大変だとは思いませんでした。前職では、大手の法律事務所に在籍していたので、その看板で仕事が取れていました。その当時は考えたこともありませんでしたが、今にして思うと、看板に守られていたんだなと思います。 サービス開始直後の『LeCHECK』は、簡易版として低価格で提供していました。弁護士時代、意見書を書いて数百万円といった世界で生きてきた身としては、年間数十万円で契約書チェックができるのは破格だと考えていましたが会社の知名度も何もない中で戦っていくことがこんなにも難しいことなんだと痛感しました。 誰もが気軽にリーガルチェックをできる世界を作るためには、挫折を味わっても負けるわけにはいきません。そこから各方面の優秀な人材に入社してもらい、私も学びながらセールスやマーケティングを強化。2024年1月には2,000社導入を実現しました。リーガルTechは、まだまだブルーオーシャンが広がる業界。今後も優秀なメンバーに助けられながら、当社のミッション『争いのない「滑らかな」企業活動の実現 』の実現に向けて前進します。

弁護士キャリアを築きながら四人の子育て。子育てと仕事を両立するコツは?

各方面で育児と仕事の両立について質問を受けるのですが、外注できることは全て外注します。コツでも何でもないので申し訳ないですが、任せられることは任せないと私自身が潰れてしまいます。家事を人にお願いするのに抵抗がある人もいるようですが、我が家は料理や洗濯、掃除は全てアウトソースです。お風呂掃除やベッドのシーツ交換までお願いしています。 大手弁護士事務所は、かなりのハードワーク。そうやって時間を削って、激務の中でも子供と接する時間を作ってきました。それでも、ほかの家庭に比べると家族の時間が少ないと思います。そこは、子供に申し訳ないと思いながらも、子供達に協力してもらっています。 私は本当に仕事をしているのが大好きで、人生において仕事はかなり大きなウエイトを占めています。仕事をしていない自分は考えられません。チャレンジ精神が旺盛な性格なのか、目の前にやるべき事があるとじっとしていられません。大手弁護士事務所のパートナーを辞めて当社を創業したのも、目の前にある問題を解決し、社会により良いインパクトを与えたいと思ったからです。

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