9割を占めるエンジニアの方々のために注力していることを教えてください。
私自身がエンジニアの出身なので「エンジニアの理解者でありたい」と思い続けてきました。新しい知識・スキルを身に付けるための研修や、資格取得に必要な費用も会社負担です。 東京・名古屋・札幌と拠点が分かれているので、必要に応じて出張し社員の話に耳を傾けてきました。ただ、地方拠点とのコミュニケーションについては、コロナ禍以降良い意味で状況が変わっています。現在は各拠点のリーダークラスの社員が積極的に部下をケアしてくれるので、私が顔を出さなくても問題はないようです。名古屋や札幌の社員とは対面で話ができていなかったので、正直に言うと私は顔を出したいのですが、なかなかチャンスを頂けない状況ですね。それほど各拠点のリーダークラスが育っているので、私はあまり出しゃばらない方がいいだろうと考えています。
受けたプロジェクトは必ず最後までやり切ることが会社の方針と伺いました。
仕事を途中で放り投げて逃げてしまったら、もう二度と仕事を頂くことはできませんよね。明らかに当社の瑕疵でなければ話は別ですが、当社に何らか至らない点があり、それが原因でのトラブルになったのであれば、最後までやり切るのは当然だと私は思います。 一時的に社員は厳しい状況になりますが、まずは私が駆け付けてお客様に対応します。また、全拠点の社員が応援に入りますし、やり切るという姿勢は最終的に当社の評価に繋がります。当社の姿勢を評価して長くお付き合いしているお客様も少なくありません。 そもそも仕事をやり切らないと達成感は得られませんよね。我々はプロのエンジニアですので、受けた仕事は最後までやる。これは当然のこととして最低限社員に守ってもらわなければならない義務だと伝えています。それは先代が当社を創業して以来掲げている経営理念の根底にあるものだと受け止めて、私は引き継いできました。
吉橋様ご自身の職業観を教えていただけますか。
実を言うと元々好きで入った業界ではなかったので、若い頃はこの仕事を「お金のためだ」「生活のためだ」とドライに捉えていました。いい車に乗って、いい生活をしたい、という欲が前面に出ていたんですね。 でもIT業界で長く経験を積んだ今感じているのは、ITは想定していた以上に人々の生活に入り込んでいる、ということです。つまり自分の仕事はかなり世の中のためになっているし、上手く生活と共存できているのではないか。そう感じるようになったのです。パソコンもスマートフォンも一人一台が当たり前の今、大げさかもしれませんが、コンピュータがない生活は考えられませんから。そういう意味では私達が担うべき役割は大きいし、人々の生活のかなり深いところまで入り込んでいます。 自分の生活のためだけにお金を稼いでいた頃に比べるとかなり責任感が増していますし、仕事に対する誇りも高まっていると感じます。
最後に、社員の皆さんにはどのようなことを望んでいらっしゃいますか。
技術が進歩するスピードがさらに速くなっている今だからこそ、従業員の皆様には様々なことに挑戦してほしいと考えています。もっと言えば、挑戦して、沢山失敗してほしいです。そして失敗を次の成功に結び付けてほしい。やる前から「できない」と決め付けるのではなくて、やってみて失敗して、そこから学べばいいのです。 例えば、お客様から「人工知能のプロジェクトをやってみませんか」という声掛けがあるとします。当社には人工知能に関する知見はまだそれほど蓄積されていません。ですから当然スキルがない状態で社員を送り出すことになります。損益は度外視して、そこでしっかり覚えてもらうわけです。会社としても最初からプロジェクトをそう位置付けて、「沢山失敗をしておいで」という形で社員を送り出しますから、後はとにかく失敗して勉強して覚えることだけに専念してもらいます。このような当社の環境を生かして挑戦してほしいですね。