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インタビュー画像代表取締役 山川 誠氏  もともとモノづくりの世界での企業経営を志向しており、さまざまな商材に挑戦してきたが、「一点もの」への強いニーズにインスピレーションを得て起業。長きにわたるR&Dを経て、これまでメーカーが実現できなかった、消費者のクリエイティブな要望を実現する仕組みを開発した。1966年2月、愛知県生まれ。

コスト削減のためのシステム開発や自動化に関する取り組み

 起業した当初は印刷の素材を販売していましたが、途中で大きな商社が参入してきたことで立ち行かなくなってしまいました。そんな中、全国の同業他社について市場調査をしていくうちに、「世界に1つのオリジナルグッズ」のニーズに気が付いたのです。 確実に需要があるものの、収益率の悪さからこの「一点もの」のビジネスはあまり普及していませんでした。当社では、このビジネス実現のために様々な試行錯誤を行ってきました。  弊社での取り組みを一部ご紹介いたします。 コスト削減に向けた取り組みとして、生産効率を高めるシステム開発や自動化を進めてきました。しかし、それだけではコスト削減に限界があることがわかり、プリンターメーカーと連携した新たなシステム構築にも着手しました。 また、「一点もの」の印刷~出荷までには多くの工程が必要となり、コストが高くなりがちです。現状では少量多品種生産に対応した印刷や仕分け、梱包装置が市場には十分揃っていないため、当社では独自のハードウェア開発にも取り組んでいます。  さらに、これまで蓄積してきたノウハウを基にクラウドシステムを構築し、注文から出荷までを一貫して行うソリューションサービスを開発・提供しています。この仕組みにより、作業時間の大幅短縮が可能になり、倉庫や工場での人手不足や人件費の削減にも貢献しています。  時代が進むにつれてSDGsなどの環境意識が高まり、余剰生産を避けるという考え方が浸透するとともに、消費者のニーズもより多様化しました。  こうした環境意識の変化、消費者のニーズ変化により、一点単位での注文が増加してきました。当社では今後、さらに需要が高まるであろう「一点もの」ビジネスのニーズに応えていくためにR&Dを続けていきます。

世界のW2P市場と今後の世界展望

 Web to Print(W2P)市場は、デジタル印刷技術の進化とパーソナライズ印刷の需要増加を背景に、2024~2032年で年平均成長率5.2%の成長が見込まれています。 効率的で柔軟な印刷ソリューションを求める企業や、eコマースの拡大もこの成長を後押ししています。加えて、紙の無駄削減や資源活用等の環境面での利点も需要を高め、AIやクラウド技術の統合による効率向上も見込まれているため、W2P市場は今後さらに拡大すると考えられます。  W2P市場において、北米は2023年に34.6%という最高の市場シェアを占めました。特にアメリカでは、業界の大手が拠点を置き、広告業界や小売業界が確立されているため市場を牽引する上で重要な役割を果たしています。  ヨーロッパ大陸では現在、持続可能性と環境責任が重視されており、厳しい環境規制と環境に優しい製品や慣行に対する消費者の嗜好が高まっています。そのためにデジタル印刷の需要が著しく増加しています。  アジアのWeb to Print(W2P)市場は前述の地域と比較すると遅れが見られるものの、2022年から2027年にかけてアジア全体で約8%の年平均成長率が見込まれており、大きな成長が期待されています。日本や中国、インドが中心となって、高品質で効率的なカスタマイズ印刷サービスに対する需要を満たす投資が進むとされています。また、日本市場もこの流れに沿って拡大する見通しです。  国内の印刷市場では、既存インフラの維持や導入コストの高さが市場拡大の障壁となっている一方で、在庫管理コストを削減するための動きとして、オフセット印刷からデジタル印刷への移行が進んでいます。市場に関する調査によると、デジタル印刷市場は2021年には3,214億円、2022年には微増して3,290億円と成長しており、デジタル印刷が堅調に推移しています。コロナ禍に伴うワクチン接種券や経済対策関連の需要も市場規模を維持する一因となりました。日本の市場規模は他国と比べて小さいものの、デジタル技術の進展や需要増によって、今後は国内市場の拡大とギャップ解消が期待されます。  当社では、次世代のものづくりの基準となる装置の開発と普及を重要なテーマと位置づけ、ロボットアームで駆動する印刷装置の開発にも注力しています。 2024年2月には欧州での展示会に当社の製品を出品しており、今後はASEANの生産拠点にソリューションを提供し、海外展開を目指しています。  国内のW2P市場発展とともに、着実に海外展開への歩みを進め、オンデマンドプリントマーケットの成長に対して参画していきます!

事業拡大とサービス普及を目指した上場

 当社は認知度の向上と優秀な人材の確保を目指し、2022年に新規上場に踏み切りました。  当社では、20年以上前からオリジナルプリントサービスを提供していました。しかし数年前に大手他社が同様のサービスを開始した際にその注目度の高さを目の当たりにし、自社のサービスが十分に認知されていないことを痛感しました。 そこで、上場することで当社の認知度を高め、サービスの普及促進につなげようと考えたのです。  サービスの普及をおこなうためには、更なる事業拡大が必要です。 そしてその事業拡大を行うためには、優れた人材の獲得が欠かせないと考えていました。 上場によって自社のブランド力や社会的信用が高まること、当社の採用力が強化され、優秀な人材の確保につながることを期待して、当社は2022年に新規上場を果たしたのです。

当社の目指す最終目標

 私たちの最終目標は、完全自動化によるオンデマンドプリントの実現です。人件費の上昇と人手不足の中、無人化を目指してロボット導入を含む自動化投資を積極的に行い、少数のオリジナル製品を人の手をほとんど介さずに現状のコストで効率的に生産するシステム構築を目指しています。完全無人化が実現すれば、世界的に圧倒的なコスト競争力を持てると確信しており、少量多品種生産の需要増加に合わせて優位性を築くことができると見込んでいます。そのため、現在はDX技術やプリンター連携、ソフトウェア、ハードウェアへの徹底した投資を進め、早期実現を目指しています。

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