会社を作ろうと思ったきっかけはいつ頃ですか?
起業とかベンチャーとかいう言葉もない中学生の時に、会社の社長ばかりを特集しているテレビ番組を見て将来自分も起業したい!と思ったのが一番最初ですね。 社長になればいい家に住めて、いい車を買って、いい暮らしをして…とやや不純な動機ではありましたが(笑)それからは起業するためには何が必要かをずっと頭の片隅に置いて行動していた気がします。 大学は理数系に進みましたが、経営者になるという野望(理想)があったので工業経営や管理工学、経営工学などを学びました。 大学での目的は2つあって、①生涯付き合える友達を作ること ②何らかの組織運営をして将来会社運営に役立ちそうなことをすることに注力しました。勉強度外視でサークル活動をがんばりましたよ。100人ほどいるテニスサークルで幹事長を努めました。 高校や大学の時には周りの友人などに社長になると宣言していたし、ずっとブレずに「社長になる」という思いは貫き通しましたね。
起業までの道のりを教えて下さい
就職先はIT業界。富士通グループのソフトウェア会社でSEとして働き始めました。人に恵まれて3年目くらいの時にはチームリーダーを任されるようになり、そこで今につながる人の縁が広がったと思います。 5年目くらいの時には普通のSEではしない提案活動やプレゼンなども行いました。その頃ITの世界では色々な技術が生まれ、それを使った提案を求められるようになりました。そこでベンチャー企業との付き合いが生まれたのです。自分が会社を起こすにあたって、ベンチャー企業が元気な社会というのが自分も元気になれるだろうし、ベンチャー企業に対してよかろうと思うことをすることは最後自分に返ってくるんじゃないかと考えていましたね。 2000年にシリコンバレー系ベンチャー企業の製品を社内で取り扱うことになり、自ら手を挙げ担当となりました。関わっていくうちにこの製品をもっと何とかしたいという気持ちが強くなり、他に抱えていた案件を当時自分が動かしていたプロジェクトに参画していた救仁郷(現・インサイト取締役)に任せる形で2003年に富士通からシリコンバレー系ベンチャー企業へ。技術担当取締役を5年ほど務めました。なかなか売れずに苦しい時期を過ごしましたが、製品を売るにはどうしたらいいかを考え、2007年に代理店として救仁郷ともう一人の仲間の3人でインサイトを設立しました。 ちなみにインサイトという社名はその時の製品名から取っています。
会社は順調に成長!しかし…
当初はベンチャー企業の仕事も並行していたので、バーチャルオフィスを借りて週末だけ集まっていました。 その後ベンチャー企業を辞めてインサイト1本になり、社員も5人になったのでオフィスを借りました。それから大きな案件を受注できたこともあり、順調に仕事も社員も増えていったと思います。 しかし仕事が増えていくにつれて採用の難しさが浮き彫りになりました。そこで未経験者を育てよう!という戦略を立てて転職サイトなどで採用を開始しました。毎月のように人が入り、彼らは2・3ヶ月の研修を経て現場へ。 2015年には社員が30人弱にまで増えたのですが、人が増えるにつれて社内でも人間関係が複雑化し、忙しさも相まって2016年には年間で10人近くが退職する事態になってしまいました。 その頃は精神的につらく、円形脱毛症にもなりました…。都度改善策を講じたり制度を見直したりはしていましたが、根本的には社長である自分に問題があると思い、勉強会などにも積極的に参加するようになりました。まずは自分を変えよう、と思ったのです。 順調だった会社運営が立ち止まる瞬間というのは、もう一度自分自身や社員のことを見つめ直すきっかけになったのかな、と今では思えますね。
インサイトの今後について
今では未経験から入った社員が力をつけ、中心となって動いてくれています。ひとりひとりの行動や考え方が会社に影響を与えていて、今のインサイトになっています。 インサイトの仕事はITを使って何かをする人たちの活動のために必要な技術や道具を提供することです。人の役に立つことをしたり人に喜んでもらうには、技術的なスキルやビジネスのスキルを上げて行くのはもちろん、人間性も磨いていくことも大事です。全員が「尊敬できる人」になってくれるのが理想です。 そしてインサイトに入ってよかったと思ってもらうにはどうしたらいいか、日々考えています。人生において会社にいる時間は総じて長いので、どうせ過ごすなら働きながら幸せになるのがいいですし、そのほうがお客様も幸せになると思います。 すべての事業がIT化され更に加速していく中、「ITの提供効率が高いところ、高品質のものを速く提供する」ということにアドバンテージを感じています。それを切磋琢磨していけば強みになっていくのではないでしょうか。作りながら事業を考えていく。選択肢は無限大にあるので、自分たちが発案したことを事業化できるようにするために動いています。